「放送と通信の融合」がよくわかる本 ~激変する視聴シーンとビジネスモデル~

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  • 毎日コミュニケーションズ
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784839928568

感想・レビュー・書評

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  • 放送と通信の関係の著書が多い西正氏の2008年刊の本。

    2014年の現在からすると、6年前だと当たっていることも当たらなかったこともあるが、2008年時点でどのようなことが問題となっていたのかを検証するにはよいかなと思った。

    内容は、改正放送法について、アナログ放送の停波の問題と跡地利用、IPTVとしてのVOD等の利用、無料広告モデルの限界とビジネスモデルの今後の展開、デジタル衛星放送の可能性についてなどである。

    6年前の課題を押さえつつ、現在の状況を確認するのもよいかもしれない。

  • 「放送と通信の融合」については、日本は遅れているとして、その原因を放送業界に求める書籍やブログが多い中、著者は一貫して放送業界寄りの視点を崩さず現実的な問題点を指摘し続けています。その内容の是非は別として、放送業界から見るとこの問題がどう見えるのか、そのロジックがどうなっているのか、を知るためであればよい本かもしれません。通信業界にいる人にとってはバランスを取る意味でもこれを理解することが必要なのかもしれませんね。

    内容についての問題は、同じ著者の他の著作でも見られますが、バイアスなのか無知なのかは分からないですが、通信業界に関する記述にはその公平性や客観性に疑問がある点は目立ちます。
    「iPodは家電量販店に販売奨励金を支払わなくても急速に普及していったため、モバイル端末の売り方についても見直しを迫る結果となった」と書くセンスはやはりどうかと思われるところです。ISDB-TmmとMediaFLOの比較にも公平性を欠く記述が多いです。

    また、結論の傾向がユーザの利便性よりも業界の利益に重きを置いてしまっているところにも問題がありそうです。だいたい最後を「新BSをめぐる論点は多いが、民放地方局の経営に与える影響も、決して無視できないのである」で締めるのはいかがなものかと思われます。「(私的録音・録画補償金制度について)コピーワンスが見直しに至った理由と同様に、"その場限り"に近いユーザーのクレームに振り回されている訳にはいかないはずである」と言い切るのは潔いですが、他の記述内容の説得性への影響も含めてさすがにどうかと思います。さらに欧米で流行し、NHKが2008年12月から始める"キャッチアップTV"について、「わが国の番組制作と広告収入の関係を、短期間に抜本的に変えることは考えられない。そのため、ビジネスモデルを決めるに際して慎重にならざるをえないのである」とだけして解決策を提示する姿勢も全くないのも副題が"激変する視聴シーンとビジネスモデル"なのにどうかと思われます。

    ある意味、「放送と通信の融合」がよくわかる本かもしれませんね。

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著者プロフィール

西 正(にし・ただし)
1958年4月東京都生まれ。
1982年3月東京大学法学部卒業。4月三井銀行(現三井住友銀行)入行。1991年9月日本インベスターズサービス出向。
1994年4月さくら総合研究所(現日本総合研究所)出向。2001年4月日本総合研究所、調査部メディア研究センター所長。
2003年8月オフィスNを起業、代表に

「2016年 『広告(2018年度版 産業と会社研究シリーズ 1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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