アタゴオル外伝 2 (MF文庫 6-1)

  • KADOKAWA(メディアファクトリー)
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840110587

感想・レビュー・書評

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  • アタゴオル物語以前に描かれたシリーズ。

    ヒデヨシ、テンプラ、ギルバルス、パンツなど後にアタゴオル物語に出てくるおなじみのキャラも登場するが、その役回りや見た目はかなり異なっている。

    ヒデヨシはアタゴオル物語より、かなりまともな性格、テンプラはヒゲをはやした老け顔(映画「明日に向かって撃て」でロバート・レッドフォード演じるサンダンス・キッドがモデルらしい)
    パンツは、ほとんど「その他大勢」の一人(いや一匹)、ギルバルスは、かなり悪人顔になっている(名前も違っている)

    後のアタゴオル物語に通じるようなエピソードもあるが、全体としてシュールでブラックな話が多い。
    また登場するキャラも、どこか水木しげるの描いた妖怪を思わせる絵柄が多い。

    中でもネコが人間の抹殺に立ち上がるという話の「霧にむせぶ夜」「理科室の地下で」の2本は特にブラックさが際立つ。
    また、この2編より、かなりマイルドになっているが、「星ふる夜の天使たち」でもネコと人間が争う。

    あとがきにも書いてあるが「ネコが人間を滅ぼす」というテーマはかなり強かったのだろう。
    作品中、人間の身勝手さを糾弾するネコ達の言い分には思わず身がすくむ。

    当時の公害問題を背景にしていたのだろうが、それを「環境問題」という言葉に入れ替えても、ネコ達の糾弾の言葉は、そのまま突き刺さる。

    マンガの中のネコ達は、ついに立ち上がるが、現実のネコ達には、人間に対して、せめて「執行猶予」をつけて欲しい。

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著者プロフィール

1952年、山形県生まれ。1973年に「霧にむせぶ夜」が第5回手塚賞に準入選しデビュー。ヨネザアド大陸のアタゴオルという架空の土地を舞台にした代表作「アタゴオルシリーズ」をはじめ、ファンタジックで童話的な作風が特徴。1997年、第26回日本漫画家協会賞大賞受賞。一連の宮沢賢治作品の漫画化の業績が認められ、2001年には宮沢賢治学会より第11回イーハトーブ賞を贈られている。現在、「しんぶん赤旗」日曜版に『銀河鉄道の夜 四次稿編』を連載し、全4巻の予定で刊行中。

「2023年 『グスコーブドリの伝記――ますむらひろし賢治シリーズ③』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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