はじめまして、本棚荘(MF文庫ダヴィンチ) (MF文庫 ダ・ヴィンチ こ 1-1)
- メディアファクトリー (2010年2月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840132282
感想・レビュー・書評
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なんとなく読んだ短編集に入っていたとげ抜き師という話を読んで、不思議な世界観に引き込まれた私はその日のうちにこの本を探して読みました。
とげに関するいろんな人々、少し変わった住人たち、山とは違う東京という場所。
自分はもしかしたらとげだらけかもしれない。
野良となってもサラリーマンを続ける、とげだらけで疲れていることも気づいていないような登場人物を見て、なんだか少し自分や今の世の中との共通点を感じました。
不思議だけどそれだけじゃない深みや、実はよくある現実を表現した作品だと感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
姉の代わりに住むことになった場所は
たくさんの本棚、があった。
家賃が本、というのは、田舎でも都会でも普通じゃなく
ここだけで通じるものだと思われます。
しかし、部屋にそこまで本棚があるのなら
本を大量に所持している人にとって
楽園としかいいようがない環境です。
なのに、そこに住んでいる人は
本を読まないという現実。
住人として登場してくるのは、眠るのが好きな女性と
猫使い、という男性のみ。
後は後半になって登場する、野良サラリーマン。
バイトをしつつ山でもやっていた仕事をする
姉に代わってする主人公ですが
とげを抜く、という不思議なもの。
とげ、とはもしかして、感情、だったのでしょうか?
それを抜いたら、何かに対してのものが
すっぽりと抜け落ちる??
大家さんの仕打ちもすごいですが、家賃を払ってない
猫使いもすごい。
ここまで払ってないのだから、そうなっても
何の文句もないと思いますけど。
しかも最後の方、何だかぐだぐだです。
どうしたいの? どうするの? という疑問が
いっぱいの最後でした。 -
作品に流れているのは独特な不思議な世界観。
人物や状況設定に細かな説明はまったくない。そこがいい。
物語の中から、読者が何かを掴みとり、想像し、ふくらませるて・・・そして初めて物語は完成する。
個性的な登場人物が、ユニークな自由さで物語の中で生きている。
拾われたサラリーマンって何だろう?
猫芝居ってどんなもの?
そもそもとげ抜き師って?とげって何?
明確な答えがないところが魅力に思えた、不思議な作品だった。
もしかしたら、私の背中にもとげはあるのだろうか? -
屈折した女性って、どうしてこうも魅力的に見えるんだろう。今のところ本の中限定だけど。現実にこんな人たちがいたらお近付きになりたくないけど。
とげを抜く変わり者の姉妹、過去に囚われたキャバ嬢、卒業も危ういグウタラ女子大生。
かつて猫を使って後家さん向け見世物を演じていた家賃滞納男、本棚荘の玄関に捨てられていたうらぶれサラリーマン。
そんなクセのある女性陣と、アクの強い男達が織り成す一つ屋根の下の物語。
人々に刺さった「とげ」を抜くことを天職とした姉の留守を預かる妹と、彼女を取り巻く本棚荘の人々の交流が描かれます。
個性的すぎるキャラクタに対して、文章の方はすごくサラッとした読み応えなのが心地よかったなあ。没個性でこの文章だと面白くないだろうし、このキャラでクセのある文章だと読んでて疲れそう。絶妙なバランス!
本棚荘ってタイトルだからてっきり本好きな住人達の話かな〜と思ってたら、出てくる主要キャラ全員が本を読まないとは!(笑)
そんな中、チラホラ出てくる「本棚」の存在感(笑)。
それはそうと、「とげ」ってそもそも何なんだろう?
話の流れからして、精神的なダメージとかストレスとか、メンタルな内容よね?と思ったら、マテリアルなものでもあるようで、結局最後まで正体は分からずじまい。
前回のツクツク図書館を読んだ時にも感じたけど、面白い!とか退屈!とか評価し辛い作風だなあ…。相性がいいのかなあ。 -
とげ抜き師とか猫遣い師とか野良サラリーマンとか変わっていてダメな人たちが住んでいる本棚荘。家賃は本、らしく本好きばかりが住んでるのかと思いきや、住民たちは本を全く読まない。しょうがなく現金で受け取っているのよ、なんて。大家のおばさんもだいぶぶっ飛んでます。
個性的な登場人物たちが繰り広げるちょっと現実離れした日常のお話。ほっこりとした気分になれました。 -
久しぶりに「これは…!」と思う作家さんに出会いました。丁寧な筆で綴る不思議な物語がいい味出してます。イメージとしては、川上弘美さんの物語の不可解さを小川洋子さんが表現したような感じ。紺野さんの他の作品も読みたいと思いました。
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「川上弘美さんの物語の不可解さを小川洋子さんが」
って言われたら、とっても気になります!(表紙のイラストも良い感じ)「川上弘美さんの物語の不可解さを小川洋子さんが」
って言われたら、とっても気になります!(表紙のイラストも良い感じ)2013/02/15
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装丁とタイトルに惹かれた。あらすじにかかれた「昔は本がお家賃だったのよ」という台詞も魅力的。
旅に出た姉の代わりに本棚荘に留守番にきた主人公と同じアパートに住む変わった人たち。内容はというと「真面目な大ウソ」が表現しているとおり。身体に生えるとげを抜くのを生業とする主人公姉妹、猫遣い氏、寝てばかりの女子大生、捨てサラリーマン。それぞれの日常が切り出してある。なので完結などではなく、読み終わっても読了感なし。想像は尽きずもわもわしてしまうのです。
なんともまあ不思議な一冊でした。 -
本棚はあまり関係が無かったかな 時々迷子にさせられる感じはあったけど面白かった
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同作者の別の本を読んで興味を持ったので買ってみた。
不思議な人物ばかりで面白く、想像力が広がる。色々な疑問が残るが、そんな事はどうでもいい。深く考えずに読むのが、この作者の本かなと思った。