時空のクロス・ロード ピクニックは終末に (電撃文庫 た 12-1)
- メディアワークス (2000年9月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840216104
作品紹介・あらすじ
「それにしても、平和だよな」気が置けない仲間達に囲まれ、平凡だが平和な日々を過ごしていた富子市の高校生・木梨幸水。そんなある日、「お前さんには才能があるようじゃ-」彼は不思議な爺さんと出会い、時空転移装置なるものを手渡される。スイッチを入れた彼が辿り着いた先、そこは、「この世界は、地獄だ…」崩壊した富子市だった。そして、困難な状況の中で必死に生き延びてきた仲間達が彼を待っていた。「よかった…生きてたんだ…」生還を喜ぶ幼なじみの香織。だが幸水は戸惑いを隠せなかった。「ここは、僕の世界じゃない…」電撃hpに一挙掲載され、読者人気第1位を獲得した注目作、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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ご主人は山猫姫シリーズが面白かったため、作者のデビュー作を手に入れた。絵柄の古さとデビュー作であることからあまり期待していなかったのだが、いやぁ、予想以上に面白かった!
高校で写真部に所属し個性的な仲間と平凡な日々を過ごす主人公が、パラレルワールドへ移動できる機械を貰う(モバイルギアと書かれてもなんのことかわからん。ゲームギアの亜種かと思った)。主人公が飛んだ世界は世界規模の感染症により人類の大多数が死亡し国家が機能しなくなっている。同級生は難民キャンプのようなところで細々と暮らしていた。主人公の幼なじみの女の子が登場し、パラレルワールドと元の世界とで対比されるのだが、それがもう秀逸。高校生らしい、平凡な日常を忌避する想いとヒーロー願望と、平和な世界で生きてきた甘さと、色々なものが混じり合いながらラストまで突き進んでいく。頭脳を駆使し、作戦をたて行う戦闘という筆者の特色・特長もこの作品から見え始めている。これは続きも読むしかない!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。
個人的にすごく好きなシリーズの1つ。
ごく普通の男子高校生が滅びかけた大人の死に絶えた世界へと自由に行き来できるようになり、ソコでの戦いに巻き込まれるパラレルワールドな話。
もし自分が同じ立場だったとしたら、主人公と同じように観光気分になってしまうか、死に接するということに恐怖しそんな世界などに行くことを拒否してしまうのではないかと思う。
それにしても、世の中の大人が死滅するような時が来たとしたら本書のようなギャングが力を得てでかい面をしていくものなのかな -
平凡な高校生活を送っていた主人公が、パラレルワールドに行く話。そこは平和だった自分の世界とはうってかわって、あるウイルスによって崩壊した世界だった。主人公はそこで生き延びていた友人達と出会い、その違いに戸惑いと恐れを抱いてしまう。
平和から一転して、サバイバルな世界で生きる登場人物達のギャップに驚かされた。こういう物語が特に珍しいわけではないけれど、それでも強く衝撃を受けたのは、キャラ達が本当に普通な少年少女だからだと思う。別段萌える容姿や特徴もなく、特殊能力や魔法のようなラノベらしいキャラ設定も無い。平和で高校生らしい青春しか持っていない。そんな彼等が紡ぐ物語だから、読み終えた後に涙が出るくらい感動した。
オーソドックスで王道な内容なのに、シーンの一つ一つが印象に残っている。
食事の場面が多く、それが二つの世界の価値観と日常を繋いでいて、じんわりと生きる喜びが伝わってくるのが、感動になるのだと思う。美味しい食べ物の力ってすごい。
お好み焼きとホットケーキが猛烈に食べたくなるね。コンビニのじゃないやつがいい。 -
時空のクロス・ロードのシリーズの第一冊目。
パラレルワールドにある偶然(?)から行くことになる主人公の話。パラレルワールドに行く話しは結構あると思うが、これはお勧め。
作品の中によく食べ物の話が出てくる。ストーリーの中での味付としても食べ物が上手くスパイスとして利いていていい。読んでいると登場する料理を作って食べたくなる。
*この話の元々オリジナルを榎野さんと言う人が書いたものを鷹見さんがリライトして世に出た作品とあとがきにあり。 -
平凡な日々に飽き飽きしている奴はもう世界の真実を知るが良い、という感じです。パラレルワールドの味が十分に活かされていて好きです。
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週末にはピクニックへ
でも、主人公が行くのは、世界が滅びそうな、未来の見えない「終末のピクニック」だった。