ようこそ観光ダンジョンへ (電撃文庫 か 8-1)

著者 :
  • メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840216128

作品紹介・あらすじ

かつて破壊神ガルヌガンウが封印された伝説の地メイズビルは、その迷宮を目玉とした、一大観光都市と化していた。王都への途上、この街に立ち寄った青年ジャスターは、そのあまりの軽薄さに憤慨する。が、そんな彼の眼前で破壊神が覚醒!完全復活する前に迷宮の最深部に乗り込み封印せねば、世界が危ない!だが、集められた討伐隊は、新人戦士のジャスターをはじめ、見習い魔法使い、大根役者、落ち目のアイドル、そして観光ガイド…。果たして世界の運命は!『電撃hp』に連載されたコメディ・ファンタジー、電撃文庫に登場。

感想・レビュー・書評

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  •  かつて勇者に倒された魔王。その封印が今なお残るダンジョン跡を観光資源として栄える都市に、勇者に憧れを抱く生真面目な戦士の少年が訪れ…
     そんなふうに始まる「世界の危機後日譚」。
     この時点でもう「あー観光客のせいで魔王復活しちゃって平和ボケが戒められる展開ねー」などと先読みできた気になれそうなのだが、この作品は一味違う!(※全然違うとは言わない)
     この作品の魅力はメインストーリーではなく、バトルでも神秘性でもロマンスでも説教でもない。
    「ファンタジーな登場人物たちの個人史」をきちんと掘り下げ、物語に矛盾なく取り込んでいること。これに尽きると私は感じた。
     作中には、美形二流役者として身を立てる勇者(役)の青年や、かつては人間の敵とされたダークエルフの案内嬢などが登場する。その誰もが単なる記号に留まらず、非常に人間的な個性を持っている。言うなれば、この作品の登場人物は、全員俗っぽい(あるいは人生経験の足りない)「凡人」なのだ。だからこそ、その世界が、出来事がひどく身近に感じられ、その彼らが成し遂げたことにもまた、勇者の偉業とは異なる意味が生まれるのだ、きっと。

     物語自体はあまり動きがなく、ぶっ飛んで笑えたり和めるというのとも違うが、なんとなく「人間っていろいろあるけど、でも捨てたもんじゃないなぁ」などとしみじみできる作品だった。
     レビューを書くにあたって調べたら、今月頭に電子化されていたらしい。ということは、あまり有名ではなさそうだが、評価は高いのだろうか? この作品が好きなので、嬉しい限りだ。

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