- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840241175
作品紹介・あらすじ
文化祭以後、少し距離が縮まったような竜児と実乃梨。一方、学校内には大河と北村が付き合っているという噂が流れる。そんな中、迫る生徒会長選挙でも本命と目される北村は突然…グレた。それに対して、突き放すような態度をとる現・生徒会長のすみれ兄貴。やたらと攻撃的な幼馴染の亜美。心労で老けていく独身。竜児と大河は北村がグレた原因を突き止め、立ち直らせようと奮闘するが…。すべてが白日のもとにさらされたとき、大河がとる選択は?波乱ぶくみの超弩級ラブコメ第6弾。
感想・レビュー・書評
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「それはもう本当に本当に、二人揃ってひどい顔、なのだけど。あのとき握った指の熱さは忘れることなどなくてーーきっと、一生ものだろう。時が過ぎ、どんなにつまらない大人になってしまったって、あの温度だけはいつだってこの手の中に鮮やかに蘇るのだろう。それだけは確かにわかる。」
「わかりあうことなんて、奇跡みたいなものなのだ。人と人がわかりあい、まして愛しあうなんて、奇跡みたいに難しくて有難いことなのだ。世界中のカップルや、友や、夫婦や、親子や、兄弟やーーすべての奇跡を思って、竜児は静かに目を閉じる。それはあまりにも難しく、だけど得がたいゆえに、多分、素晴らしい。」
「わかってやれる、助けてあげる、そんな未熟な思い上がりのツケを、今、支払っているのだと竜児は思う。全然成長なんかしていない。繰り返し、繰り返し、同じような馬鹿な真似をしては失敗ばかりしている気がする。」
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文化祭が終わりみんな日常に戻ったかのように思えたのだが、一人だけぼーっとしている北村。周囲は文化祭が終わったことによる燃え尽き症候群とし、やる気を出させるために生徒会長の話を出すのだが北村はそれを拒否。そして翌日には髪を金髪にして登校。一体北村に何があったのか・・・。
今回は北村の話・・・と思いきや最後のほうで実乃梨と亜美の話にまりました。今回は亜美の実乃梨へ向けた「罪悪感は消えた?」の一言を表現するための壮大な伏線だったと思います。もちろん伏線の話は面白かったし、会長の男気がよかったです。だがやはり上にあげた亜美の台詞のインパクトが強かったです。
解釈としては
①「罪悪感は消えた」と文字通り受け取るか
②「罪悪感は消えないよね?」と反語的に受け取るか。
実乃梨はどのようにとらえたんでしょうね。
①だと大河は北村のことが好きだから竜児のこと好きになってもいいんだとなり、②だと大河はやっぱり竜児のことが好きだから竜児を好きになってはいけないとなります。つまり罪悪感とは竜児のことを好きになってしまった気持ちのことということになります。
少し前の喧嘩シーンや生徒手帳のシーンを見るとどちらともとれますが、後者のように感じました。
次が気になる終わり方です。 -
★読了日不明。
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なんだかいろいろありそうだぞ?相当まわりくどく、相当もったいぶっているが。みのりが気になる。
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過去の既読本
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いや〜、青春してるね。
今回は北村の物語だったけど、生徒会長の狩野すみれとの関係性は一言では語れる内容ではなく、主要人物達の関係性にも類似した問題だったよ。
今回に一つの人間関係が終わった事で主要人物の人間関係にも影響がありそうだ。大河の北村への思いはクラスメイトに知られる事になったし、旧来からの大河と竜次の関係が恋愛関係ではない事が明らかとなった。実乃梨もその人間関係に気が付いた事で別の思いに気が付いたみたいだ。亜美も最後からすると何かあるみたいだ。
これからが本番だな。 -
小説
ライトノベル -
今回は、北村と狩野すみれの関係にスポット・ライトを当てたストーリーです。
生徒会の副会長であり、竜児たちのクラス委員をつとめる北村が、ある日とつぜんやさぐれてしまいます。金髪になって学校に登場した彼にいったいなにがあったのかをさぐろうと、竜児や大河たちは右往左往することになります。
最後の大河とすみれとのバトルは、わざとわちゃわちゃした展開にもっていったのかな、という気もしますが、正直なところ全体を通して、テーマが明確なだけにいっそうキャラクターの行動にまとまりのなさを感じてしまいました。もっとも、これがライトノベル的なノリだといわれれば、その通りなのかもしれないのですが。 -
今回の話の肝は『よく見知った人間が普段口にしていることとは全く別のことを考え、自分が今まで見ていた面は一端に過ぎないかもしれないと考える』ということではないだろうか。北村がいざという時頼りになる賑やかな人間というわけではなく、きちんと悩みを抱え下らない事で躓き動けなくなってしまうようなある意味自分と同じ『人間』だと竜児は気付く。思い返せば竜児は自分のことを『何も出来ない無力な子供』として認識しているフシがある。そして、無力なりに出来ることを探し続けている。
今回の件で竜児は『無力な自分に何が出来るか』ではなく、『無力な北村は何をすべきか』を探している。数々の衝撃を目撃し北村と同じ目線で物事を見た竜児は北村が何を考え何を悩んでいるのかを必死に見つけようとする。つまりは自分と同じ位置に北村を置いたのではないだろうか。
親友がどうしようもない理由で悩んでいる時、どの様に対処すべきか。今回の北村は冒頭からラスト付近までずっと悩み、イジイジし続ける。それに対して竜児は明確な対処法を見出せないまま、結局は問題の中心の兄貴の力を借りて北村を立ち直らせてしまっている。その時、竜児はこうすれば良かったんだというような反応をしているがここで描かれている方法が正しいわけではなく、正しい方法など見つかるはずも無い。
その時どの様に行動すべきか、作中で実乃梨も言っているが正しさを知っている『最後の救い』がいれば問題無く対処できるのかもしれないが、実際にはそんな者は居ないからこそ彼らは大いに悩み続けなければならない。そんなことを思った。