危険ドラッグの表と裏 ~学生に知ってほしいこれからの薬物乱用防止について~

  • 薬事日報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840813631

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  • 加藤哲太、北垣邦彦、嶋根卓也、益山光一、松田勉、安田一郎『危険ドラッグの表と裏 学生に知ってほしいこれからの薬物乱用防止について』(薬事日報社、2016年)は危険ドラッグなど薬物乱用防止を訴える書籍である。興味本位で危険ドラッグに手を出しかねない大学生らを対象に分かりやすく解説する。
    埼玉大学の2018年の学園祭の第69回むつめ祭で入場者に配布されたチラシは、表面がSDGs (Sustainable Development Goals)、裏面が薬物乱用防止であった。薬物乱用防止は学生に対する重要テーマである。
    危険ドラッグなどの薬物は人体を破壊する。酒やタバコとは依存性も危険性も次元が異なる。酒やタバコの依存性も問題であるが、そこから相対化することはできない。特に危険ドラッグは中毒に陥る以前に一回の摂取で死に至ることもある。
    危険ドラッグは人類にとって退行である。危険ドラッグという安易な方法で刺激を求めることは愚劣である。危険ドラッグの製造は杜撰である。危険ドラッグが、それこそ危険だらけであることは危険ドラッグ製造者の能力からしてむしろ当然である。
    危険ドラッグ使用によって、意識障害、おう吐、呼吸困難に陥り、病院に運ばれたり、死亡したりする事件が多発している。薬物使用者は妄想や妄言、幻覚、幻聴が多い。感情失禁の話も聞く。危険ドラッグ使用者の発言は人語になっていない。「でゅるわぁあああああ」「ぶるわっひゃあひゃひゃひゃひゃ」「どぅるわっはあああああああああ」
    危険ドラッグ利用者は真っ暗な谷底に飲み込まれてしまう。危険ドラッグ使用者の人生は「薬を飲んで寝る」の繰り返しになる。危険ドラッグ使用者は熱を出して寝込んで何もできなくなる。危険ドラッグ使用者は自分の空っぽさや無能さにトコトン向き合わなければならない。
    法律学では薬物犯罪を被害者のない犯罪とする議論がある。自分で薬物を摂取して廃人になることは個人の勝手であり、それを国家が干渉すべきではないという考えである。しかし、危険ドラッグ使用者による交通事故に巻き込まれて死傷した被害者が続発した。危険ドラッグは、被害者のない犯罪という議論が成り立たないことを示した。
    2019年に問題となった煽り運転でも依存性薬物が指摘される。あおり運転をしながら、走行中の車にエアガンを発射したとして逮捕された容疑者(40)は、車を運転する際、覚せい剤を使用することがあった(「エアガンあおり運転 覚せい剤使用し運転か」東海テレビ2019年9月16日)。依存性薬物は無関係の周囲にも害悪をもたらす。
    薬物犯罪の最大の問題は、薬物を購入する際に使った金銭が誰に入るかということである。薬物を買うことは犯罪組織を援助することである。この想像力が必要である。

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著者プロフィール

日本くすり教育研究所

「2017年 『くすりと体の関係は?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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