- Amazon.co.jp ・本 (38ページ)
- / ISBN・EAN: 9784841605273
感想・レビュー・書評
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88年の本なのだが、Amazonに表紙の画像がない。
調べてみたら、この本を出版した佑学社が倒産して現在絶版となっているらしい。
改題・改訳をした【おじいちゃんのところ】が童話館から出版されていて、そちらも読んでみたが佑学社版の方が訳が断然良かったので、こちらで載せておこう。
夏休み、ジャネッタは列車に乗って母さんと長旅に出る。
向かう先は初めて訪れる母さんの実家―おじいちゃんの家。
ところが、おじいちゃんの家の何もかもが気に入らない。
古びた家と壊れかけの垣根、意地悪そうな顔の猫とスズメバチの巣。ニワトリもラバも、ちょっと怖い・・
まぁ、ここまではとても良くある話しで、面白いのはこのおじいちゃん。
ジャネッタを叱りもしなければ笑いもしない。
淡々と、この世ならぬものの話を展開していって、飽きさせないのだ。
「星が落ちてくる話」なんていかにも面白くて、大人の私が読んでも笑える。
ジャネッタとのやりとりもだんだん堂に入ってきて、お母さんには「似た物どおしの悪い子ふたり」とまで言われるのだから、このおじいちゃんはさすがである。
後半、ジャネッタがおじいちゃんの周りのものに名前を付けていく場面があるが、ちょっと【赤毛のアン】を連想させて微笑ましい。
そうして、いつの間にかふたりが心を通わせあう様子が描かれていく。
釣り上げた魚を逃がすときの、おじいちゃんとの共犯者の感覚もワクワクである。
よく海外の映画では、このおじいちゃんのような小粋なお年寄りが登場するが、こんな風に歳を重ねたいものだ。
お互いに受け入れあって、まるで違う価値観を与え合う。
とても素敵な孫とおじいちゃんの関係だ。
夜のポーチでお喋りしあう場面で話が終わるが、きっと来年の夏もジャネッタがここにやってくるだろうことは、容易に想像できる。
成長した暁には、ひとりでやってくるかもしれないね。
色々と思うこともあるが、絵本から教訓を持ち出すのは好きではないので、これにておしまい。
ほのぼのとした挿絵とともに、おじいちゃんとジャネッタの交流をお楽しみください。
約15分。小学校中学年から。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こんなおじいちゃんがいたら、楽しくなっちあうね~