木犀!/日本紀行

著者 : セース・ノーテボーム 松永美穂

• 論創社 (2010年8月1日発売)

感想・レビュー・書評

[なつめさんの感想 · 2011年1月9日]

30年前の日本を舞台にした小説と随筆。後半の随筆集の『日本紀行』が良かった。旅行中の、ちょっと宙に浮いたような、心もとないような気分が伝わってくる。近場の温泉でぼんやりするときのお供にお勧め。

著者がおかしみを出そうとしたのかどうかわからないのだけれど、旅館の湯船のお湯が熱すぎたことを記述する個所には笑ってしまった。

前半の小説の『木犀!』は日本女性との恋愛物語。こちらは特に良いとも思わなくて☆みっつだけれど、ヒロインの手に届かない感じ、交渉の余地のなさそうな感じが村上春樹の小説に出てくる女の子みたいだなと思った。