それでも女をやっていく

著者 :
  • ワニブックス
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784847072819

作品紹介・あらすじ

「肥大化した自意識、『女であること』との様々な葛藤との向き合い方。
自分の罪を認めて許していくこと。
その試行錯誤の過程がこれでもかというほど切実に描かれていて、
読む進めるのが苦しくなる瞬間さえある。
それでもここで描かれているりささんの戦いの記録に、私自身も戦う勇気をもらうのだ」

――「エルピス」「大豆田とわ子と三人の元夫」プロデューサー
佐野亜裕美さん推薦!

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女らしさへの抵抗、外見コンプレックス、恋愛のこじらせ、BLに逃避した日々、
セクハラ・パワハラに耐えた経験、フェミニズムとの出会い――。
実体験をもとに女を取り巻くラベルを見つめ直す渾身のエッセイ!

感想・レビュー・書評

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  • 自分のめんどくさい思考と、とことん付き合わずにはいられない筆者の苦しみや、それらを言語化することに対する陶酔にも似た感覚がビシビシ伝わってくる一冊。
    もちろん、たとえば「親友」に彼氏ができたときのモヤモヤした感じとか、日常にうっかり入りこんでくるルッキズム的価値観とか、共感できることもあるのだけれど、筆者の言語化がうますぎて、表現が生々しすぎる気も……。
    でもたぶん、筆者は自分の長所も短所も、よく自覚している。わかっていても器用に生きられないところが、人間らしい。

  • ひらりささん「それでも女をやっていく」インタビュー 私の話から、あなたの話を始めてほしい|好書好日
    https://book.asahi.com/article/14889048

    It all depends on the liver.
    https://zerokkuma.hatenablog.com/

    それでも女をやっていく(ひらりさ) | ワニブックスオフィシャルサイト
    https://www.wani.co.jp/event.php?id=7632

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「生まれながらに『女』だった?」と質問をくれたりさへ。私はある時「女になった」と思う|ひらりさ⇔鈴木綾 Beyond the Binary|...
      「生まれながらに『女』だった?」と質問をくれたりさへ。私はある時「女になった」と思う|ひらりさ⇔鈴木綾 Beyond the Binary|鈴木綾 - 幻冬舎plus
      https://www.gentosha.jp/article/22892/
      2023/03/02
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      セクハラ・パワハラに「女」葛藤…ひらりさ「それでも女をやっていく」 | 大手小町
      https://otekomachi.yomiuri.c...
      セクハラ・パワハラに「女」葛藤…ひらりさ「それでも女をやっていく」 | 大手小町
      https://otekomachi.yomiuri.co.jp/lifestyle/20230317-OKT8T365261/
      2023/03/17
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      誠実な自分語りをするには? ひらりささん×絶対に終電を逃さない女さんが思う、「私」を書くことの効用 | 【GINZA】東京発信の最新ファッシ...
      誠実な自分語りをするには? ひらりささん×絶対に終電を逃さない女さんが思う、「私」を書くことの効用 | 【GINZA】東京発信の最新ファッション&カルチャー情報 | INTERVIEW
      https://ginzamag.com/interview/hirarisa-syudengirl/
      2023/04/21
  • web連載が好きだったので。
    ひらりささんの自己分析の深さ、「女」というものに対する曲がりくねった感情、肥大する自意識、共感できるところもできないところも胸が苦しくて頁を捲る手が何度も止まった。
    でも、自分だけは自分と別れず、生きていかなきゃならないんだよね。

    特に神風怪盗ジャンヌと闇の末裔の回がどうしても好きなんだけど「腐女子」と言う言葉への気持ちとか、わかる〜〜!の連続でそれもまた胸が苦しかった。だけどひらりささんの素敵なところは、自分に影響をもたらし、負の部分まで自意識に落とし込んできた作品も、それでも好きと言い切るところと思う。

    あと私も定期的に友達関係を壊すので、ひらりささんの女友達に対する感情とか、身につまされすぎてまた苦しい。わかりすぎる。でも、本当なら書かずに仕舞っておきたいような記憶でも丁寧に洗い出して書き切っているのはひらりささんの誠実さの表れだよなと思いました。

    自分の半生をつぶさに振り返って、自意識も屈折も劣等感も全部を書くのだという姿勢は雨宮まみ『女子をこじらせて』を思い出しました。雨宮まみは「デトックス」だと語っていたけど、ひらりささんはどうだったのかな。

    私も自分の話をしたくなるし、いろんな人の話を聞きたくなる本でした。

  • 一筋縄ではいかない、割り切れない、きれいに昇華できないところが人間らしさと思えなくもない。別にエッセイとは希望が持てたり幸せになったりできる代物ではないと思っている。

    しかし作者には終始自分勝手で幼稚で僻みっぽい印象を受け続け、理解よりも呆れが勝ってしまった。
    特に「女子校で“人間”でいられた」と言う人を素直と評しつつ「それはあなたが“人間”枠以外の人が見えなかっただけでしょう」とそれを言う人の視野が狭いかのような表現には何様なのかと思わざるを得なかった。作者の言う通り社会の縮図の、“人間”の学校だから見た目ジャッジも上下関係も謎ルールも陰口もあるし清く正しく美しくなくて当然である。「女子校で“人間”でいられた」と言っている人たちは別に女子校をユートピアとは言っていない。同年代の男から「女だから」、「女のくせに」と言われ、「女(という名の二等市民)の役割」を押し付けられることが当たり前な世界から見れば、清く正しく美しくなく嫌な部分があったとしても女(という名の二等市民)扱いされない女子校は間違いなく「“人間”でいられる」空間で快適だった、と言っているだけである。何を勝手に過剰な期待をして勝手に八つ当たりしているのだ。男社会の大学で「男が何の疑問もなく女の容姿をジャッジする」という“ゲロ”は、女子校では掛けられなかったにもかかわらず。
    友人××の件でもそうだが、作者は度々周囲の女性に一方的に期待し試し行動をとる。××に絶縁されたことについてああしていればと後悔はするが反省の色は薄い。そこに相手はいるのだろうか。

    曝け出された生々しい傷跡と葛藤を見て共感する人も勇気をもらう人もいるのだろうと思う。自分にはわざわざ時間を割いてまで他人の他人に対する八つ当たりと傷跡を見る余裕はなかった。

  • ずるいな。安全なところから石投げてるんじゃないよ。と思ったけど、人には人の地獄があるのか。
    行間から読み取れる自意識が鼻につくのは、私も同類だからなんだろうな。

  • 明らかに対象読者ではないので、読んで良いのか…?と思いつつも結局読了。
    (なお、買って家に置いておく勇気はなかったので図書館で借りた)
    正確な言葉は覚えていないが、「事故を起こした」のくだりが一番共感したかもしれない。時にはそういう気分になることもあることを肯定されたような。
    これだけ自分のことを書くのはしんどかっただろう、と思う。ちょっと羨ましくもある。
    あと、表紙の絵も良い。読んで良かったと思う。

  • あまりにもヒリヒリする内容に、一度本を閉じて心を整える時間が必要だった…。ひらりささんの語る過去の出来事や感じたことの中に、自分の思い出したくない「何か」を見出してしまいそうで。このモヤモヤを追い出すためには、ひらりささんのように自分のことを見つめ直す必要がありそう。こんなにうまく言葉にできそうにはないが。

  • 自分がフェミだと自覚したことないし、フェミの文脈で物事を見たことすらなかったけど、読んでいて『あ〜〜〜〜………』となる箇所がいくつもあった。それはつまり、自分も多かれ少なかれ似たような経験をしたことがあって、その時は嫌な気持ちになるんだけど、それを咀嚼して考える努力を避けていたからなんだと思った。例えば飲み会の席で「女要員」として呼ばれるとき。『このメンバーなのに一人でよくきましたね』と意味深なことを言われるとき。ただの友人だと思っていた人に急に押し倒されるとき。

    思い出したくなくて記憶から削除されていた過去のシーンがいくらでも甦ってきて、気分が悪くなった。笑

    私が考えることを放棄していたことについて、正面から向き合って、その現象を、思いを、言葉にしてくれていることに感銘を受けた。私もそんな気持ちだったのかも…と。

    そして、これは個人的なことだけれど、フェミニズムの文脈で書かれた文章のいくつかは、自分の仕事の分野に置き換えてみても結構当てはまって、言葉にできなかったモヤモヤが少し晴れた気がした。(特に、学問をすると偉ぶりそうになるけれど、知っていることだけが正義ではないというような箇所に。)

    しかし、ひらりささんの自己開示の仕方はすごい。自分に同じことができるかというとできないから、本当に尊敬する。そんな思いに至って、自分はまだまだプライドが高いのだなぁと思ったりした。

  • ・非常に書くのがしんどそうな内容だった。お疲れ様でした、としか言い様が無い。
    ・ある程度生きてきて、子供の頃とは社会が変わって来ている、と感じている。それを考える手掛かり、この世界で自分はどう生きていったら良いのか(生きるべきなのか?)を考える手掛かりとして、この本を手に取ったのは間違いない。
    ・ひと昔ならこの本は今の様な意味を持ち得たのだろうか?今だからこそ、知りたかった内容だった。(何かを分かりやすく解決する為ではない)

  • 自分でも忘れてたようなざらざらした記憶。池のヘドロの底から何かをズルズルと引き揚げられた感じ。ヒリヒリし過ぎて、アルコールにまつわるところなんか読みながらリアルに「痛たたた」言うてた。

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著者プロフィール

【PROFILE】
ひらりさ
文筆家。1989年東京生まれ。オタク女子ユニット「劇団雌猫」のメンバーとして活動を開始後、オタク文化、BL、美意識、消費などに関するエッセイやインタビュー、レビューを執筆する。単著に『沼で溺れてみたけれど』(講談社)。劇団雌猫としての編著書に、『浪費図鑑 ―悪友たちのないしょ話―』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。
Twitter @sarirahira

「2023年 『それでも女をやっていく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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