- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861370014
感想・レビュー・書評
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【短評】
玄人向けに、四間飛車(後手)と居飛車(先手)のさまざまな戦法・対策の組み合わせ、その変遷をわかりやすく解説しています。既に本書への評価は非常に高いことはもちろんですが、玉頭位取りや右四間飛車の章では他の定跡書に見られない興味深い部分があることも見逃せません。
この第一巻は、詳細な定跡を示した2~4巻と違い、戦法ラインナップの意味もあり、「読み物」としても楽しめます。
【目次】
第1章 基本図をめぐるダイナミズム―― 5七銀左戦法の急所
・戦型の急所
(1)“自然な三手”の消滅 ─ 鷺宮定跡
(2)反撃筋の発見 ─ △6四角と△1二香
(3)端角からの新構想 ─ 新旧端角作戦(▲9七角)
(4)見直された悪形 ─ △4三銀型
(5)一手早く、一路深く ─ 新鷺宮定跡
(6)新感覚の△1二香 ─ 斜め棒銀
(7)革命的新手 ─ 4五歩早仕掛け(郷田新手)
(8)必要な△4三銀 ─ 藤井システム
(9)新時代の基本図へ ─ △4一金型
・定跡と実戦から
第2章 四間飛車は《矢倉化》するか―― 居飛車穴熊の急所
・戦型の急所
(1)作戦のバリエーション
(2)大山流高美濃
(3)作戦負けを避ける三つの方法
【△5四銀型】
(4)銀を出るタイミング
(5)陣形のバランス
(6)上部に備える
(7)手詰まりが不満
【△3ニ銀型待機策】
(8)左銀の活用法
【△4四銀型】
(9)天王山を目指して
(10)最も自然な順
(11)中央突破
(12)やわらかい銀引き
(13)居飛車の理想形
(14)タイミングをずらす
(15)手待ちから反撃へ
【△7八金型】
(16)よみがえる升田将棋
【石田流】
(17)石田流─昭和から平成へ
(18)居飛車の転換点
(19)軽いさばきを狙う
(20)最新形に合流
・〔番外編〕端角作戦
・〔番外編〕藤井システムのヒント
・定跡と実戦から 2
第3章 単独では生き残れない―― 右4六銀戦法の急所
・戦型の急所
(1)新時代の基本図へ (2)進化する戦法 (3)不思議な局面
(4)苦心の仕掛け (5)左美濃の影響 (6)藤井システムとの関連
・定跡と実戦から 3
第4章 なぜ主流の座を譲ったのか―― 5筋位取りの急所
・戦型の急所
(1)6筋交換を目指す (2)有力な反発 (3)左銀の5筋位取り
(4)四手一組の受けの形 (5)先手の一手勝ち (6)振り飛車の決定版
・定跡と実戦から 4
第5章 この局面をどう見るか―― 玉頭位取りの急所
・戦型の急所
(1)理想形とバリエーション
【△5四銀型】
(2)駒組みの基本手順
(3)袖飛車に備える
(4)飛車を十字に使う
【石田流】
(5)石田流へ (6)位の均衡
【△4四銀型】
(7)最有力の△4四銀
(8)危険な場所に活路
(9)6筋交換には△5四金
(10)それでも△5四金 (11)中央に援軍
(13)最強の構え
(14)作戦のバリエーション
・定跡と実戦から 5
第6章 手順を尽くすということ―― 左美濃の急所
・戦型の急所
(1)天守閣美濃 (2)銀冠に組めるか (3)不自然な苦しさ
(4)居飛車の猛攻 (5)新しい発想 (6)藤井システム (7)久保新手
・定跡と実戦から 6
第7章 最新最強の布陣―― 棒銀の急所
・戦型の急所
(1)歴史ある戦法
(2)角交換作戦
(3)袖飛車作戦
(4)古典的手法
(5)定跡への疑問
(6)終盤勝負へ
(7)軽い反撃を狙う
(8)万能の最強布陣
・定跡と実戦から 7詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
藤井先生の代表作であり名著。四間飛車を系統化したすばらしい作品。第一巻では四間飛車の歴史を語りつつ、居飛車穴熊、左美濃、ミレニアム、玉頭位戦法、などの持久戦を中心に書かれてある。また急戦でも一部棒銀などが掲載されている。他の急戦は二巻以降。
またなによりも右四間対策も書かれてあり、貴重である。ただし右四間対策は現在の藤井先生初めプロの対策手順とは少し異なるので注意。
それにしてもこの系統化はすばらしい。内容は複雑であるために、ある程度の棋力が必要と思われる。