世界の台所探検 料理から暮らしと社会がみえる

著者 :
  • 青幻舎
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861528200

作品紹介・あらすじ

世界の台所探検家による、初のエッセイ。世界16カ国/地域の台所を紹介!

インドネシア山奥の台所でココナッツオイルを作る幸福な香りに包まれ、オーストリアの台所で自慢のチョコケーキの秘密を教わる。中東パレスチナでは停電の中でチキン料理を仕上げるのに奮闘し、南米コロンビアではふわふわのホットチョコレートにうっとり————。

「世界の台所探検家」として世界各地の台所をめぐっている著者が、現地の人と一緒に料理や食事をして体験した、リアルな暮らしと文化のストーリーをたくさんの写真と共に紹介。コラムでは、台所を飛び出して、市場や調理道具、その地域ならではの食習慣も味わえます。

家庭の台所と食卓からは、その土地の歴史や社会背景までもが見えてきます。
観光ガイドブックとは違う、その国に住む“普通の人々の暮らし"の旅へ!
現地家庭で教わった、料理レシピ13品も収録しています。

【訪問国】
インドネシア・タイ・インド・中国・オーストリア・コソボ・ブルガリア・モルドバ・ウクライナ・キューバ・コロンビア・スーダン・ボツワナ・イスラエル・パレスチナ・ヨルダン

【レシピ】
●ココナッツオイルとタイミニャのサンバル/インドネシア
●レーリュッケン/オーストリア
●リュテニツァ/ブルガリア
●フリホーレス/キューバ
●フラン/キューバ
●チョコラテ/コロンビア
●バミヤ/スーダン
●チキンスープ/イスラエル
●モロッカンフィッシュ/イスラエル
●スィニア・ダジャージ・オ・バタタ/パレスチナ
●マクルーバ/パレスチナ
●マンサフ/ヨルダン

感想・レビュー・書評

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  • 二日がかりで読んだ「書物の破壊の世界史」だが、合間に読んだのがこちらの本。
    レビューを載せる気はなかったが、とても面白く読めたので記録することに。
    タイトルから皆さんはどんな国を思い浮かべるだろう?
    地図上で指差せない意外な国名もある。

    クックパッドに勤務する岡根谷さん。
    数日間のホームステイで体験した食リポは、食べるだけでなくそれぞれの家庭に溶け込んで、一緒に調理して味わっているのが興味深い。
    レシピ付きで、現地家族と食卓を囲む写真もたくさん。
    その土地ならではの素材と調理法。
    お話と暮らしぶりにそれぞれの国の文化と社会情勢が浮かび上がる。
    暮らしの中から生まれた、文字どおり家庭料理であり伝統料理だ。
    家族総出でつくり、全員で囲む食卓のなんと豊かなことよ。

    アジア:インドネシア・タイのアカ族・インド
    ヨーロッパ:オーストリア・コソボ・ブルガリアで二か所・モルドバ・ウクライナ
    中南米:キューバで二か所・コロンビアで二か所
    アフリカ:スーダンで二か所・ボツワナ
    中東:イスラエル・パレスチナで3カ所・ヨルダン

    「中東」のイスラエルとパレスチナの両国に入国している。私が驚いたのはここ。
    高い壁に隔てられたパレスチナには、イスラエルによる検問所を通らなければ入れない。
    難民キャンプでつくる料理の、なんと美味しそうなこと。
    イスラエルによる管理で、停電も多く水の供給は3,4週間に一度。それもわずか8時間。
    安易な同情などしない著者の姿勢も気持ち良い。
    他国に対して思い込みのハードルが低く、「美味しい」の現地語を覚えて素直に共感する姿は、まさに百聞は一見にしかずの実践版だ。
    「マクルーバ」というたき込みごはんに、チャレンジしたくてたまらない。

    スーダンの、オクラを入れた赤いシチュウ「バミヤ」。
    赤パプリカを焼いて煮詰めて、二日がかりでつくるブルガリアの「リュテニツァ」。
    ハーブの賢い使い方を、私はここで教えてもらうことになった。
    コロンビアの「チョコラテ」は、ふわっふわ。
    専用のポットとかくはん棒でつくる。
    モッツァレラチーズを溶かして飲むんだって!もう、ふわっふわ。

    行ったことのない国。見たことのない風景に出会いたくなる。
    旅情たっぷりのお料理エッセイ。
    コロナ禍が終息したら、またお出かけして続編を書いてほしい。
    クックパッドには著者による「世界の台所探検」のレシピがあるから、のぞいてみてね。

    • 夜型さん
      そういえば。
      数多の少年漫画は、血生臭くて物騒な闘いを描いていて、キャラクターにシンクロしていると、生殺与奪をも無意識下に浸透してしまいかね...
      そういえば。
      数多の少年漫画は、血生臭くて物騒な闘いを描いていて、キャラクターにシンクロしていると、生殺与奪をも無意識下に浸透してしまいかねませんが、ジョジョの登場人物は死んだら二度と蘇らない。
      別れを悲しんでいます。仲間の死を無駄にしない。
      そういう意味では、風変わりだったと思います。
      鉄腕アトムや鉄人28号やサリーちゃんやアッコちゃんの時代とは紙面が違う、とドン引きされた覚えがあります。
      イギーさんの死はけっこうドスンと来ましたね。
      猫の死を無駄にしないからこそ、研究に結びつくっていう、生命に対する尊敬の心は、漫画も現実も地続きですね。
      2021/03/12
    • 夜型さん
      ハンターハンターや鋼の錬金術師の物騒な場面を観られて、ドン引きされました。笑。
      ハンターハンターや鋼の錬金術師の物騒な場面を観られて、ドン引きされました。笑。
      2021/03/12
    • nejidonさん
      夜型さん♪
      イギーの死はシリーズ中で一番泣いたシーンです。
      仲の悪かったポルナレフをかばって亡くなりました。
      少年漫画の金字塔のような...
      夜型さん♪
      イギーの死はシリーズ中で一番泣いたシーンです。
      仲の悪かったポルナレフをかばって亡くなりました。
      少年漫画の金字塔のようなジョジョですが、
      ジャグが多いし言葉が下品で、なかなか気づかれない良いところが山のようにあるんですよね。
      20歳近くまで生きた我が家の子にもひとり、そういう子がいましたよ。
      私が病気になると、片時も離れないで傍にいるのです。別に呼んでもいないのに、なぜかそうするのです。治ると離れます。不思議でした。
      生命に対する尊敬の心は、漫画も現実も地続き・・良い言葉ですね。その通りだと思いますよ。
      長期にわたる腎臓病の治療は、にゃんこにとっても負担です。
      何とか助けたい一心でがんばって頑張って、、それが報われてほしいものですね。
      2021/03/12
  • 訪問国も一風変わった国が多く

    今まで旅行エッセイはかなり読みましたが

    紹介される家庭料理はすべて

    目新しいものばかりです



    ご当地では当たり前

    だけど見たことないという調理器具

    さしずめ 日本でいえば

    大阪のたこ焼き器みたいなもの

    名物料理を作るためだけに

    工夫されたものには料理への
    愛着が伝わりますね

  • 圧倒的な現場感とともに、世界の家庭の“台所事情”を読み解く - 料理王国(2020年12月29日)
    https://cuisine-kingdom.com/bookreport004/

    岡根谷実里 | 世界の台所探検家|note
    https://note.com/misatookaneya

    世界の台所探検料理から暮らしと社会がみえる | 青幻舎 SEIGENSHA Art Publishing, Inc.
    http://www.seigensha.com/newbook/2020/10/29174834

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「キッチン、お邪魔させて」世界中で台所探検 岡根谷実里、クックパッドでの挑戦:朝日新聞GLOBE+(2020.09.15)
      https://...
      「キッチン、お邪魔させて」世界中で台所探検 岡根谷実里、クックパッドでの挑戦:朝日新聞GLOBE+(2020.09.15)
      https://globe.asahi.com/article/13726520
      2023/04/16
  • 世界各地の家庭を訪問し、台所を探検、暮らしや文化を探る。
    ・アジアの台所・・・インドネシア、タイ、インド
    ・ヨーロッパの台所・・・オーストリア、コソボ、
             ブルガリア(2ヶ所)、モルドバ、ウクライナ
    ・中南米の台所・・・キューバ(2ヶ所)、コロンビア(2ヶ所)
    ・アフリカの台所・・・スーダン(2ヶ所)、ボツワナ
    ・中東の台所・・・イスラエル、パレスチナ(3ヶ所)、
            ヨルダン(2ヶ所)
    カラー画像多数。コラム、レシピ有り。
    世界各地の家庭にホームステイして、調理と食事の時間、
    食と繋がる日常を共に過ごすことで見えてくる世界の台所の
    魅力を語る、エッセイ的な探訪記です。
    都会から少数民族の村、お手伝いさんが料理を作る大家族、
    二人姉妹の路上料理屋等、様々な家庭や場所での料理。
    見えてくるのは、国の抱える内情(紛争や政治など)と
    暮らしとの関わり、一般の人々の生活や文化です。
    でも、台所で料理を作り、皆で食べる楽しみは、共通。
    だから画像の顔にはステキな笑顔が溢れています。
    著者は、大学で土木工学を学んでいたが卒業後、クックパッドへ
    入社した異色の経歴で、台所探検に巡った地域は60以上。
    その行動力が文章にも漂っています。
    なかなか情報が乏しい地域の食の様子の他、
    市場やご当地調理道具等を紹介してくれるのも、嬉しい。
    但し、小さい画像が少々見難いのが残念。

  • 気楽に読むことが出来ます。家庭や食に興味のある私は、楽しく読むことが出来ました。
    30代後半の私も、20代独身の頃は仕事の合間にたくさん海外に行ったなぁと懐かしく思い出しました。今は子供もいて、気軽に海外に行くことは難しいけれど、母となり家庭料理により関心がある今は、当時とは違った視点で読むことが出来ます。

    読んでいて思ったことは、私はやっぱりアジア料理に興味があるな〜
    やはり自分がアジア人(日本人)ということで、馴染みがあるんだろうな。
    グルテンフリーを意識しているので、米粉のフォーを今度食べよう!と思いました。

    著者はたくさんの国の家庭に訪問しているけれど、海外の人をもてなす経験はしていないのかな?
    日本のどんな家庭料理を出したか、とか、日本のどんな料理を食べに連れて行ったか、とかもてなす側の経験も最後に書いて欲しかったです。
    どんな物が喜ばれるとか、どんな感想を持たれたか、等を参考にしたいので。

  • 世界の台所探検家として過去の探検をまとめあげた待望の一冊。
    著者は過去の同僚であり、当時からこういう様々な場所にフットワーク軽くよく行っていたが、どうやら世界中にその活動の幅を広げていたようだ。

    当時、どうやってこういう外に出かけるために仕事をやりくりするかをアドバイスしていた日が懐かしい。

    本書では、著者が体験した様々な国の台所探検をエッセイ風に仕上げながら、その国の家庭や食文化などのあるのままを伝えてくれる類書をあまり見ない一冊に仕上がっている。

    もともと、土木関係の学問から、地理に興味を持ち、様々な国の食卓を訪れるきっかけが食の楽しさだという素直な理由も非常にしっくりとくる。
    文化、言語などは違えど、食を通じて分かり合えるのだということや、国のイメージでは、あまりよくないような地域も多いが、それは固定観念であり、その現地の人たちはきちんと生活をしていて、ちゃんと異国の人をもてなしてくれるのだなという感想を持った。
    ちなみに、出てくる国は下記の通りだ。

    【訪問国】
    インドネシア・タイ・インド・中国・オーストリア・コソボ・ブルガリア・モルドバ・ウクライナ・キューバ・コロンビア・スーダン・ボツワナ・イスラエル・パレスチナ・ヨルダン

    リサーチ手法にエスノグラフィー調査という調査手法があるが、文化や食卓のまさにそれを行っていて読んでいて非常に心地が良かった。
    文章の表現も非常に的確だったので、臨場感が伝わってきたし、雰囲気も伝わったように思う。

    また、各エピソードのまとめにはレシピも再構成されて掲載されており、この雰囲気を実際に料理で味わえるようおまけ付きだ。

    そういえば、著者がNHKに特集されたおり、久しぶりにあった際に本書に出てくるサマルダラ(ハーブソルト)とリュテニッツア(パプリカの料理)を少し味見させてもらった。
    そんな著者と会うときはいつも蕎麦を食べる。長野出身だし、日本にいるからこそ日本食なのだろうかと、そういう観点でも非常に面白かった。

    コロナの状況ではなかなか新たな探検には出にくいとは思うが、また探検した際にはそのエピソードを聞きたいものだ

  • 旅と食というのは魅力的な組み合わせ。各国で家の料理に参加させてもらう、というライフワーク。各国のお国事情を、台所を通して衒わず素直に紹介しているところに好感が持てる。珍しい料理でも「味付けのポイントは●●の素を使うこと」など、いかにも家庭料理の素朴さでいい。日本で「めんつゆ入れればいい」みたいなものだ。

  • 世界各国の家庭を訪れ、台所と家庭料理を写真とともに紹介。著者は台所探検家という肩書を持つ。アフリカや中東・中南米の国々などは家や台所・日常の食べ物など、あまり見たことがなかったので興味深かった。

  • 最初、もっと写真が大きかったらなぁと思ったが読み進めるとお腹が空いてきてしまい、作ってみたくなるものばかり...個人的にはキューバのフリホーレスが1番食べてみたい。

  • さまざまな国の台所に立つと、その国が見えるってこういうことなんだ!と思えるくらい、台所と国の風情は密接なんだなと感じた。1つ1つの文章にその国らしさが垣間見えて、私も筆者と同じように世界を探検している気分になった。また、料理があれば、言葉が分からなくても人と仲良くなれると書いてあったのだが、外国へ渡ることはまず言語を習得しなければ始まらないという、私の固定概念を覆すような新しい考えだった。言語の壁を超えてさまざまな文化の人と関わることのできる、筆者のチャレンジ精神を私も身につけたいな〜と思った。

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著者プロフィール

世界の台所探検家。1989年、長野県生まれ。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了後、クックパッド勤務を経て独立。世界各地の家庭で一緒に料理し、出張授業などで暮らしや社会の様子を発信。著書に『世界の台所探検』(青幻舎)、訳書に『世界の市場』(河出書房新社)がある。

「2023年 『世界の国からいただきます!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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