世界をゆるがしたアート クールベからバンクシーまで、タブーを打ち破った挑戦者たち
- 青幻舎 (2022年3月11日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861528767
作品紹介・あらすじ
常識に挑み、アート界に衝撃を与えた50人の物語!
1850年以降に制作され、美術史を塗り変えてしまうほど衝撃的だった50のアート作品をクローズアップして紹介。制作の背景や時代に投げかけた影響を丁寧に解説。
すべての創作行為は、第一に破壊行為である。
―パブロ・ピカソ
【紹介例】
オーギュスト・ロダン
フィンセント・ファン・ゴッホ
エドヴァルド・ムンク
グスタフ・クリムト
パブロ・ピカソ
エゴン・シーレ
ワシリー・カンディンスキー
マルセル・デュシャン
サルバドール・ダリ
フリーダ・カーロ
ジャクソン・ポロック
イヴ・クライン
アンディ・ウォーホル
草間彌生
ジャン=ミシェル・バスキア
ダミアン・ハースト
レイチェル・ホワイトリード
バンクシー
…etc.
感想・レビュー・書評
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アートが時代と共にどのように変わってきたかを、その変化の先駆となった作品を著者独自の視点で選出し、それらがいかに画期的だったかを作品写真と共に紹介した本。
その視点とは、「伝統を破壊する」、「戦争の恐怖」、「戦争と退廃」、「商業主義と抗議」、そして「枠を超えて」の五つ。
取り上げられている作家は、ロダン、ムンク、ピカソ等誰もが知る人たちから、私的には本書で初めて知った人までと幅広い。
また、ストリートグラフィティで有名なバンクシーや、日本人ではただ一人、草間彌生も取り上げられている。
意外だったのは、ルノワールやモネ等の「印象派」の記述が無いこと。
写実を排し、作者の印象を表現した印象派の出現はアート界においてはかなり画期的かつ、革新的だと思っていたが、本書の著者的には「世界をゆるがした」ほどではなかったようで、その辺の事情も本書内に記載しておいてもらえたら、スッキリするのにと思った。
そうはいっても、約150年にわたるアートの表現方法や、内容の変遷を手軽に一覧できる本書の存在は貴重。
アート好きにはぜひ読んでいただきたい一冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
西洋絵画史での驚き集。約50作品をとりあげた。
伝統の破壊 1850-1909
第一番はクールベ「浴女たち」1853 世界史の教科書にも載っていて、ナポレオンが会場で段々の尻をムチでたたいた、とあったのを覚えている。ん?これはナポレオン3世なのか?
アンソール「燻製ニシンを奪い合う骸骨たち」1891年
この本で一番インパクトがあった。二人?の骸骨がひとつのニシンを向き合ってくわえている。ニシンはアンソール自身で、向き合う骸骨はアンソールに批判的な記事を書き続けた美術批評家という。
戦後の恐怖 1910-1926
戦争と退廃 1927-1955
商業主義と抗議 1956-1989
ゲリラ・ガールズ「メトロポリタン美術館に入るには女性は裸にならなければならないの?」1989
1984年にニューヨーク近代美術館で行われた絵画と彫刻の国際調査をきっかけに女性アーティストと女性のアート関係者が結集。メトロポリタン美術館の19-20世紀の展示室では女性作家のは5%にも満たなくて、ヌード作品のうち85%は女性であることを発見した。
枠を超えて 1990-
最後の〆は、バンクシーの「風船と少女」 やっぱりバンクシーですか。
スージー・ホッジ
作家兼アーティスト。美術史を専門とし、大人向けから子ども向けまで100冊以上の本を執筆。イギリス在住。
2022.3.31初版 図書館 -
いくつか、印象的な言葉を
私は絵の夢を見て、夢の絵を描く
フィンセント・ファン・ゴッホ
自分の行くべき道から外れることなく、挑戦せよ。1日に2時間、大胆であれ
ポール・ゴーギャン
すべての創作行為は、第一に破壊行為である
パブロ・ピカソ
アートは見えるものを反映しない。むしろ、隠れいているものを見えるようにする
パウル・クレー
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まずびっくりするのが、絵が発表されると世間がそれに対して反感を覚え、展示が中止となることがあったこと。
現代では、表現の自由が認められていることもあり、不快感を覚える人もいるかもしれないが、展示が取り止めになるほど騒がれるアートはないと思う。
今、私が様々なアートを観ることができるのも、こういった世間に反感を買ったアートが存在してきたからこそだ。
もし、画家たちが"アートの決まり事"を破ろうとしてこなかったら、同じような作品ばかりが生産されていたことだろう。ありがとう、画家たち。
私の気持ちが波立ったアートは、『リズム0』だ。身動きしない表現者に観客が何をしても構わないという状況がそのままアートになっていて、しまいには銃で表現者を自殺させようとした観客もいたという。なぜこのような展開になるのだろうか。
人間は私が思っている範囲を遥かに越えて残虐になれるのだ。
この作品も発表されたときはきっと多くの人の感情を逆立てただろう。
どの作品にも作者の解説がびっしり書かれており、全てを理解しきれていないものの、楽しい時間を過ごすことができた。 -
背ラベル:702.07-ホ
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作品が持つ意味、社会への影響などをわかりやすく解説。読者に絵の見方への違う視点を教えてくれる美術書。
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刺激はあった。
でも、どうしてもこういうのは
現在に近づくにつれてよく分からなくなる。
それだけ芸術には時間がかかる、
という事なのかもしれない。 -
心の平穏のために芸術に触れようと思っていたら、この本が目についた。抽象的で何を表すか不明なものも多いモダンアート。しかし、想像力、可能性、社会の建設、問い、破壊。そういった引き起こしたいものが芸術家には必ずあるのだと思った。アートを見る目が変わりそうだ。