金原瑞人YAセレクション みじかい眠りにつく前にI 真夜中に読みたい10の話 (ピュアフル文庫 ん 1-10)
- ジャイブ (2008年11月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861765858
感想・レビュー・書評
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『サラマンダー』いしいしんじ
祖父がゆっくり本を読む理由について
『おどる洗たく虫』魚住直子
洗濯機の妖精さんが大好きな女の子のために健気に働くお話
『十月のルネッサンス』江國香織
自分の受け持つクラスに知らない子が混ざってる…
『飛び出す、絵本』恩田陸
絵本の漁師さんのお話
『「共栄ハイツ305」杉並区久我山2ー9ーXーX』角田光代代
ふわふわした同居男に当て付けるように体を重ねる女の話
『真夜中のタクシー』鷲沢萌
あるクラブで大人になることをひしひしと感じちゃった女と、現実を受け入れ諦めなきゃならなかった男の話
『踊りたいけど踊れない』寺山修司
自分の意思に従わなくなった頭と手と、足のお話
『タケヤブヤケタ』梨屋アリエ
人にはちょっと言えない親の事情を抱える二人の女子中学生のお話
『おれがはじめて見た、茜色の果実について』楡井亜木子
かっこよくてモテる俺の多分はじめての恋のお話
『小さき者へ』有島武郎
幼くして母を亡くした子供たちへ淡々と母について書き記したもの
すぐれた物語って100年近くたっても色褪せないんだってはじめて思った
2012/01/24詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
梨屋アリエを目当てに図書館で借りた本だけど、他の話もおもしろかった。
なんとなく避けてた恩田陸もすごいすきなストーリーだった!
というか本を題材にした話は結構どれもすきなんだけど。
だからいしいしんじの話もすきだなー。
江國香織もこの話はすきだし、初めて読んだ寺山修司の話もすきだな。
起承転結があんまりはっきりしてない方がすきなのかもしれない 笑 -
本当にみじかい眠りにつく前に読むのがちょうどいい短編集。全て好きだが寺山さんと江國さんと角田さんのが特にすき。
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恩田陸や角田光代、有島武郎などの作家が書いた短編集。
寝る前に読むのに適した長さの作品ばかりで、様々なテーマのものがある。
恩田陸『飛び出す、絵本』や梨屋アリエ『タケヤブヤケタ』が面白かった。 -
真夜中に読みたい10の話と昼下がりに読みたい10の話を立て続けに読みました。既知の作家はもちろん、様々な作品が読めて満足。
古典から引き抜かれたヤングアダルトへ薦めたい一篇が新鮮な感動を与えてくれました。
旧くて新しい。
特に昼下がりに読みたい10の話の方の花筐。青春とか情熱とか少年とか、そういった衝動が襲ってくるような作品。
中々良い体験をした。ただ、本人も認めている通り"苦み"は強め。流石は金原瑞人。彼の邦訳は力強くて激しくて痛い。と私は思っている。その中に美しさが垣間見えたりするのだけれど。
苦くて痛い。それでも素晴らしいと認めざるを得ない、作品群。 -
十月のルネッサンス(江國香織)、飛び出す、絵本(恩田陸)、タケヤブヤケタ(梨屋アリエ)、おれがはじめて見た、茜色の果実について(楡井亜木子)が好きだった。有島武郎は初めて読んだけど、ほかの作品にもチャレンジしたい。
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移動中やちょっとした休み時間などに読みやすい一冊。
それぞれに好き嫌いはあるけれど。
寺山修二が良かった。 -
翻訳・書評活動で日本に「ヤングアダルト=YA」を根づかせた第一人者・金原瑞人が選んだ傑作9編に、作家・森絵都が日本文学の古典から選んだおすすめの名作1編をくわえた、YAアンソロジーの決定版。明日のあなたを今日とはちがう“somewhere(どこか)”へといざなってくれる、文庫未収録作品を中心に集めた珠玉の短編セレクション第一弾。巻末には「選者」二人の特別対談を収録。
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金原端人は『蛇にピアス』の金原ひとみの父親、ということしか知らなかったため、彼のセレクトということや、ヤングアダルト作品ということにこだわらず、収録作家のそうそうたる名前にひかれて、読んでみました。
掲載小説は、
いしいしんじ「サラマンダー」
魚住直子「おどる洗たく虫」
江國香織「十月のルネッサンス」
恩田陸「飛び出す、絵本」
角田光代「「共栄ハイツ305」杉並区久我山2-9-××」
鷲沢萠「真夜中のタクシー」
寺山修司「踊りたいけど踊れない」
梨屋アリエ「タケヤブヤケタ」
楡井亜希子「おれがはじめて見た、茜色の果実について」
有島武郎「小さき者へ」
冒頭の「サラマンダー」の、美少女が古本屋の本の一冊に忍ばせた恋文を探すため、ひと夏かけて古本屋の本すべてのページをめくったという話がとても気に入りました。
この一作目で、がぜん続きを読む意欲に拍車がかかります。
「おどる洗たく虫」も、切なさとハッピーの合わさった、ポップな話でした。
江國香織、恩田陸、鷲沢萠は、短編でもさすがの彼女たちならではの物語世界を作り上げています。
角田光代の作品の、恋愛のひずみから身を持ち崩していく危うさがやけにリアルで、後味が良くないながら、尾を引く印象的なものでした。
最後に収録された有島武郎の「小さき者へ」。時代が違うのに、なぜこの選集の中に?と驚きましたが、胸を打つ、家族愛が凝縮された力強い作品で、読後の余韻が広がりました。
どれもサックリ読める長さのものばかりですが、それぞれに内容の濃いものばかりで、やはり選者のセンスが感じられます。
最後に、森絵都×金原瑞人の特別対談が載っていました。
そこに、全掲載作のコメントも載っており、楽しく読めました。
YA作品とはいっても、決してライトではなく、全てが読み応えがある短編集。
読み得感がある一冊でした。