最後のローマ皇帝 大帝ユスティニアヌスと皇妃テオドラ

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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861821004

感想・レビュー・書評

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  •  著者はきっとイスタンブールが好きなのであって、ユスティニアヌスとテオドラが好きなわけでもなければ、歴史小説を書くのが好きなわけでもないのだろうと思った。…というわけで評価は厳しめ。

     私はこの時代にプロコピオスの『秘史』から入ったので、テオドラに対する偏見が無い本を読もうと思って読んでみたんですが、なんか違いました。女性が書いてるからもっとジェンダーっぽいというか、テオドラをポジティブに書いてるのかと思いきや、何だか中途半端!実は聖職者の娘っていう過激な一次史料もあることだし、小説なんだから自由に書いて良かったのではと思います。…史実に則っていると主張するにはちょっとお粗末すぎる気もするし。

     かといって初心者向けかと言うとそうでもなくて、時系列が前後するシーンが頻繁にあるのですが、その時間のずらし方が読者を混乱させる役割しか果たしていません。
     おそらくテオドラを書きたかったのだとあとがきを読むとわかりますが、筆者の訴えたいものが最後まで良くわからず、文芸作品として読むとモヤモヤとした気分にさせられます。

     これを読むぐらいだったら初めからギボン読んどけば良かったと深く後悔しました。おそらくこの小説の“時代考証”と仰っている部分はギボンと海外の伝記系の文献を数冊読んでなさっているんだと思います。

     所詮フィクションなので細かいことは置いておくにしても、実在人物の人間像に関して読みが浅すぎて憤りを覚えます。

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著者プロフィール

1965年高知県生。関西学院大学文学部卒。トルコ評論家・トルコ語通訳。学生時代に「トルコ」の魅力と潜在性を発見し、以降一貫して単独の徹底取材により、リベラルでフェアな着眼点からトルコの社会、政治、歴史、文化などを論じる著述発表を続ける。社会を映す媒体としての現代トルコ映画への傾倒も深く、東京国際映画祭などでの通訳・字幕監修他、トルコ映画評論などにも携わる。日本開催のトルコ関連の文明展カタログ翻訳多数。慶應義塾大学非常勤講師、NHKワールドニュース・トルコTRT通訳。著書に『ビザンツ、オスマン、そしてトルコへ 歴史がつなぐ社会と民族』(彩流社)、『寛容なる都 コンスタンティノープルとイスタンブール』(春秋社)、『最後のローマ皇帝 大帝ユスティニアヌスと皇妃テオドラ』(作品社)、『アジア映画で〈世界〉を見る 越境する映画、グローバルな文化』(作品社、共著)、『アジア映画の森 新世紀の映画地図』(作品社、共著)、『「対テロ戦争」とイスラム世界』(岩波新書、共著)、『イスタンブール歴史の旅』(小学館、共著)、『ゾーリンゲンの悲劇 トルコ人労働者移民放火殺人』(三一書房)他。

「2015年 『史跡・都市を巡るトルコの歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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