ターミナルライフ 終末期の風景

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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861823527

作品紹介・あらすじ

20世紀文学の描く老いと死を読み解く、文学エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  •  1950年代生まれの著者は、世界文学に目覚めた青年期に空前の文学全集ブームを経験。それらの名作を十代で「制覇」した著者はしかし、「人生の峠を越した自分の中で」、それらが「どのような新しい相貌とともに甦る」のかを確かめたいと、人の終末期がテーマとなっている名作を再び手に取ることにした。その、「新しい相貌」への新鮮な驚きの記録が本書だ。
     古典とは、初めて読んでも懐かしい印象を受け、何度読んでも新しい発見がある作品のことだと聞いたことがある。であるならば、本書で取り上げられた19作品はすでに古典と呼べるだろう。
     変身後の<害虫>を<介護老人>の姿に重ね合わせる『害虫の生─変身(カフカ)』と、人間の「生」なるものが「腐敗」の過程であることを直視する『決壊─なしくずしの死(セリーヌ)』が秀逸。

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著者プロフィール

東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化博士課程中退。立命館大学先端総合学術研究科名誉教授。
専攻は比較文学。ポーランド文学、イディッシュ文学、日本植民地時代のマイノリティ文学、戦後の在日文学、日系移民の文学など、人々の「移動」に伴って生み出された文学を幅広く考察している。
主な業績に『声の文学―出来事から人間の言葉へ』(新曜社、二〇二一年)、『外地巡礼―「越境的」日本語文学論』(みすず書房、二〇一八年)、『バイリンガルな夢と憂鬱』(人文書院、二〇一四年)、『ターミナルライフ 終末期の風景』(作品社、二〇一一年)『世界文学のなかの『舞姫』』(みすず書房、二〇〇九)年、『エクストラテリトリアル 移動文学論Ⅱ』(作品社、二〇〇八年)などがある。

「2022年 『旅する日本語 方法としての外地巡礼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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