〈未来像〉の未来: 未来の予測と創造の社会学

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861827822

作品紹介・あらすじ

「今こそ社会科学は、〈未来〉を考える時である…」
ジョン・アーリ遺作

新たな社会科学のパラダイムを切り開いた
“アーリ社会学”の最後の課題は
〈未来〉だった!

ジョン・アーリは、2015年、ランカスター大学に「社会未来研究所」を設立し責任者となり、人生の最後の時間を“未来研究”にかけ、翌年の2016年に亡くなった。
本書は、その最後の研究成果として結実したものである。


 社会科学は、これまで〈未来〉について論じることから逃げてきた。
 未来については、技術決定論が幅を利かせ、社会科学がまともに取り扱ってこなかった。しかし、国家や企業、技術者に委ねてすむ問題ではない。さまざまな“社会的未来像”が、現在の人々の生活を決定づけている。そして今、多くの人々が、より良きそれを求めている。未来像を予測するのに適した理論や研究は、社会科学にも数多く存在する。われわれは、それらを検証し、再び“社会的未来像”を展開させなくてはならない。
 今こそ〈未来〉を考える時であり、社会科学は機を逸してはならない。(序章より)

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/730776

  •  訳者によれば、モビリティ=移動の社会学研究の泰斗であった著者の遺著。
     〈未来像〉の(歴史)社会学というか、〈未来〉を語る言説をめぐる政治に関する議論を期待していたので、その点ではやや期待外れ。しかし、現在から出発する〈未来〉像のさまざまなバリエーションと、「気候変動」にもとづくディストピアの語りが新たなフェイズを迎えている状況が見えてきた。

     本書の著者の問題意識は重要だと思う。現在、〈未来〉のイメージを構想する力は、一部の国家や巨大企業、エンジニアたちの専売特許のようになってしまっていて、かれらは、かれらにとって望ましい〈未来〉を「楽園」のごとくに描き出し、反対する立場の者たちを「ラッダイト」的に悪魔化していく。〈未来〉が本来的に非線形的で予測が困難なものであるからこそ、多くの人々にとって望ましい〈未来〉を編み上げる作業自体を「民主化」していく必要がある――。
     著者は、社会科学者が学術的に社会的な未来像の構築に参与すべき、と主張する。では、そこで文学(者)や映画(人)たちが果たす役割とは? 芸術家たちは、「社会的な未来像」というプロジェクトにどんな役割を果たせるのだろうか?

  • 東2法経図・6F開架:304A/U86m//K

  •  経済成長優先の政策は、気候の変動を起こすことがわかっていても人々は何ひとつ手を打たない、カサンドラ症候群の状態であるという。
     本書では、未来を起こりそうな未来、起こりうる未来、好ましい未来に区別するが、好ましい未来が最も起こりそうもないであるという。
     本書は、「いったん魔人がボトルの外に出てしまうと、それが元にもどることはありえず、好ましくない未来へと発展していく経路依存パターンが用意されてしまう」と主張する。

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著者プロフィール

(John Urry)1946~2016年。ロンドン生まれ。英国の社会学者。ランカスター大学社会学科教授、英国王立芸術協会のフェローなどを務めた。21世紀における「移動」をめぐる新たな社会科学の中心的人物として、世界的に著名。
日本でも『観光のまなざし』『場所を消費する』『社会を越える社会学』『モビリティーズ』などの邦訳で広く知られ、その著作について、社会学者の北田暁大は「具体性と抽象性を往還するなかで理論が生成していく現場を読者は目撃することになる。……スリリングであると同時に論争的でもある」と評し、作家の髙村薫は「20世紀を生きた者なら誰でも身体感覚としてもっている感覚を初めて言葉にしてもらった驚き」と述べるなど、アカデミズムを超える広い読者層を獲得している。
2003~2015年、ランカスター大学に「モビリティ研究所」を設立し責任者を務めた。2015年、新たに「社会未来研究所」を設立し共同責任者となり、人生の最後の時間を“モビリティーズ・スタディーズ”の集大成としての“未来研究”にかけ、翌年の2016年に亡くなった。本書は、その最後の研究成果として結実したものである。

「2019年 『〈未来像〉の未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョン・アーリの作品

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