ニュー・アソシエーショニスト宣言

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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861828355

作品紹介・あらすじ

世界変革への“新たなる宣言”!

感想・レビュー・書評

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  • 20年前、私は30代半ばであった。世の中のことにやっと興味を持ちだしていた。子育ても始まっていたし、地域の活動に参加することも多くなっていた。そんな中で、触り始めたばかりのインターネットを通してNAMに参加した、はずである。具体的に何をしたのか、ほとんど記憶にない。地域通貨などがおもしろいと思っていたのは確かだ。(YEN(円)に対してQ(球)と名付けられたということを今回初めて知った。たぶん。)そのころ、地域の子どもの育ちを考える会で森毅を講演会に読んだ。その後の打ち上げで、先生にNAMのことをどう思うか訊いてみた。浅田彰とは仲が良かったはずだから。しかし、「その辺は追いかけられてへんねん」などと笑っておっしゃっていた。それくらいが、私のNAMに対する記憶のすべてである。今回本書を読むことでいろいろと振り返ることができた。東京に住んでいたころに、もっと高円寺商店街をうろつくべきだったと思う。中間勢力が解体されることで専制的な政治が行われるという理屈がわかったように思う。結局、国鉄や国立大学の民営化というのは、みなこの中間勢力をつぶしていく過程だったわけだ。時代の流れで自然に組合などの運動も衰退していったのかと、あまり意識していなかったが、どこかでだれかの意志がはたらいていたのかもしれない。脱原発の動きも鈍ってきているように思う。3.5%の中に入って、何らかの新たなアソシエーションに関われればと思う。あとがきの2つの弔辞がなんともやるせない。若くで亡くなられるのは本当につらい。

  • 1968年以降、日本では国家を脅かすようなデモが見られなかった。しかし、東日本大震災後の原発事故では、これまでになかったようなデモが生まれた。なぜ日本人はデモを起こしてこなかったのか。大衆社会だからとか、消費社会だからとかいった理由では説明できない。なぜなら、そうした要素は他の国にも見られるからだ。筆者は和辻哲郎や丸山眞男の分析から、日本は国家と個人の間の中間団体がないことに注目する。江戸期に都市は幕府によって解体され、明治期に教育機関としての寺院は行政の末端に組み込まれた。現代では、中曽根内閣によって国鉄が解体され、小泉政権においてそれまでの守旧派が弾圧された。このようにして2000年以降、中間団体はないと言って良い。筆者は、デモをおこすことでしかアソシエーション、寄り合いは構成できないのだとする。

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著者プロフィール

1941年兵庫県生まれ。東京大学経済学部卒業。同大学大学院英文学修士課程修了。法政大学教授、近畿大学教授、コロンビア大学客員教授を歴任。1991年から2002年まで季刊誌『批評空間』を編集。著書に『ニュー・アソシエーショニスト宣言』(作品社 2021)、『世界史の構造』(岩波現代文庫 2015)、『トランスクリティーク』(岩波現代文庫 2010)他多数。

「2022年 『談 no.123』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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