ソ連を崩壊させた男、エリツィン: 帝国崩壊からロシア再生への激動史

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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861828805

作品紹介・あらすじ

ソ連崩壊/ロシア連邦誕生30周年
この男がいなければ、世界史的転換は起きなかった。
新たな歴史史料・当事者の回想をもとに、20世紀最大の激動史の真相を描く。

ちょうど30年前、核を持った社会主義の超大国が、世界地図からなくなる衝撃的事件が起こった。人口3億近い大国が、共産主義という理念とともに消え失せ、代わりにエリツィン率いるロシア連邦が後継国家となる事態が、なぜ起こったのか? 20世紀最大の政治運動・体制であった共産主義を終わらせたエリツィンとは、いかなる人物だったのか?
その背景には、共産主義と自由、イデオロギーとアイデンティティ、世界戦争と東西冷戦という20世紀的なリアリティをめぐる対立が介在する。それらを一挙に転換し世界の次元を変えた、矛盾に満ちた政治家エリツィンを通じて、現代ロシア政治の位相を捉え直す試みが本書である。この30年間に現れた歴史史料や同時代人の回想を取り込みつつ、エリツィンとロシア再生の苦闘を再構成しよう。(「はじめに」より)

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:312.38A/Sh54s//K

  •  ソフトカバーながら中身は予想以上に詳細で、消化不良気味。大きな流れを思い出しながら読む。
     91年8月クーデターなど、「敵」が出現した時に街頭を含めた行動で対抗するスタイルを著者は「エリツィン現象」と呼ぶ。同時にトップとなった時には制度改革には全く弱い、とも指摘。本書を通じほぼこの指摘で読み解ける。
     ソ連末期の政治改革から主権国家ロシアの台頭、ソ連との二重主権。8月クーデターからソ連崩壊。議会との対立を経て、93年憲法で大統領の権限強化。オリガルヒの台頭と不安定な政治、そして無名のプーチン抜擢。
     現在に繋がる問題の1つがウクライナ。ペレストロイカ末期にクリミアでのロシア人「主権意識」の覚醒。また著者は、NATO東方拡大がウクライナとの接近を促したことも否めない、と指摘。この時代から大きな課題だったわけだ。
     また、エリツィン時代末期の国内混乱により、「国家の復権、市場経済維持、保守主義」を掲げるプーチンが求められた、とも言えそうだ。これも現在のロシアに繋がるだろう。

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著者プロフィール

法政大学法学部国際学科教授。
1948年生まれ。東京大学法学部卒業、同大学法学博士。成蹊大学教授をへて1988年より現職。専門:ロシア政治、ソ連史、冷戦史。
主な著書:『ソビエト政治と労働組合─ネップ期政治史序説』(東京大学出版会、1982年)、『ソ連現代政治』(東京大学出版会、1987年/第2版、1990年)、『ゴルバチョフの時代』(岩波新書1988年)、『「ペレストロイカ」を越えて─ゴルバチョフの革命』(朝日新聞社、1991年)、Moscow under Stalinist Rule, 1931-34(Macmillan, 1991)、『スターリンと都市モスクワ─1931~34年』(岩波書店、1994年)、『独立国家共同体への道─ゴルバチョフ時代の終わり』(時事通信社、1992年)、『ロシア現代政治』(東京大学出版会、1997年)、『ロシア世界』(筑摩書房、1999年)、『北方領土Q&A80』(小学館文庫、2000年)、『ソ連=党が所有した国家─1917~1991』(講談社、2002年、2017年文庫版『ソヴィエト連邦史』予定)、『アジア冷戦史』(中公新書、2004年)、『モスクワと金日成─冷戦の中の北朝鮮1945~1961年』(岩波書店、2006年、露版、2010年)、『図説 ソ連の歴史』(河出書房新社、2011年)、『日本冷戦史─帝国の崩壊から55年体制へ』(岩波書店、2011年)、『ロシアとソ連 歴史に消された者たち─古儀式派が変えた超大国の歴史』(河出書房新社、2013年)、『プーチンはアジアをめざす 激変する国際政治』(NHK出版新書、2014年)、『日ロ関係史─パラレル・ヒストリーの挑戦』(共編著、東京大学出版会、2015年)、『宗教と地政学から読むロシア─「第三のローマ」をめざすプーチン』(日本経済新聞出版社、2016年)。論文に「クバン事件覚え書」(『成蹊法学』No.16、1982年)、「労働組合論争・再論─古儀式派とソビエト体制の視点から」(『法政志林』No.1-3、2016年)など。

「2016年 『ロシアの歴史を知るための50章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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