チェヴェングール

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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861829192

作品紹介・あらすじ

ロシア文学の肥沃な森に残された最後の傑作、本邦初翻訳。

「私もプラトーノフのようになれたら」――ピエル・パオロ・パゾリーニ
「20世紀には、重要な作家が3人いた――ベケット、プラトーノフ、そしてカフカだ」――スラヴォイ・ジジェク

感想・レビュー・書評

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  • 文学ラジオ第119回紹介本https://open.spotify.com/episode/116qCuPj9qPKOA1yNrezTu?si=5a05864dbacd4dce

    紹介するために駆け足で読んでしまったのが勿体なかった。600ページもあるので読み返すのが大変かもしれないが、これはいつかゆっくり読みたい。いろんな登場人物の迷いや生き方が自分の人生に響くはず。
    ページ数に躊躇して、手を出しにくいかもしれないが、文章・展開が面白いので時間さえあれば読み進めていける。そして読み終えたときの達成感がすごいので是非味わって欲しい。

    すごい作品。不条理で、意味不明なところが多々あるが、壮大でドラマがある。すごい世界を見れた気がする。最初は笑って読んでいたけど、最後は泣けてきた。100年前の作品なのに斬新に思えた。プラトーノフが書いてから数十年後に脚光を浴びて、さらに100年ほど経って日本で読まれるようになり、それで評価されるのが感慨深い。

  • 20世紀初頭に書かれ、長らく発禁となっていた本。
    ペレストロイカ以降、出版が許されたものの、原稿が散らばっていて、正本がみつからず、翻訳がなかなかなされなかった。それだけでなく、未定稿のため、話の辻褄があっていなかったり、話が急に飛んでいたりしたのも翻訳の障害となっていたと思われる。さらに文章が難解、プラトーノフ独特の表現が駆使され、扱っている題材も共産主義そのもの意思という抽象的。読むのに苦労した。
    それでも文章やレトリックは随所に素晴らしい輝きをみることができ、なによりも社会主義がソ連でただ上から押し付けられたのではなく、民衆がプロレタリアートが考え模索していたということが現実感を持って描かれていることであろう。
     ソ連崩壊後の歴史を知る私たちは社会主義革命の意義を軽視しがちである。しかし本書の意義は、個々人がその人生を生きる中で、何に価値を認めるのかということを問っている。共産党政権下で発禁になったのは、社会主義活動が、あまり頭の良くない人によって担われ、変な方向に進んでいく様を戯画化しているようにとられたからであろう。
     20世紀初頭の珠玉の作品を日本語で読める喜びを感じた。
     しかし、読むのは大変だった。
     共産主義革命は科学的に証明され、歴史の必然と目されている。必然ならば人の努力は意味があるのかという根源的な問いが隠れている。
     自然現象として共産主義がおこるなら、労働も必要ないのではないのかという考えが一部で支持される。
     利潤を追求するのはブルジョア的態度であってよくないが、利他的な行為なら労働も良いのではないかと展開する。
     共産主義が成就した世の中にあって男女の関係さえ変革されるような気分がある。一方個人的には女性の魅力に抗えないという側面もある。
     共産主義という科学的に正しい運動に従うということは科学原理に従って動く機械を正常に動かす精神と通じるものがあるはずという考えがある。

    そして共産主義を成就するにはこれまでの習慣や因習から自由でないといけないという考えが通奏低音のように響いている。

     よみとれたテーマはこんな感じです。

  • 難しすぎて、読んでいると底なし沼にはまってるような気分になる。文章も難解で、何回も二度読み直した。だけど読み進めていくうちに、その難解さが面白くなっていった。気力があれば再読したいな。

  • 課題本。
    高い壁。
    詩のような文体。語られなかったロシア革命って。。為政者に嫌われて出版もままならなかった作者の唯一書き上げた長編で、一体どんな本かと。霧の中を進んでいるような読書体験。してホモソーシャルな社会に女性が入るとなしてそうなる?という終わりを迎えた。ごぼうや鳥などが色を添える。

  • ロシア文学。“プロレタリアの力”という名前はいつか何かに使ってみたい

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著者プロフィール

アンドレイ・プラトーノフ(Платонов, Андрей Платонович)
1899年、ロシア南西部ヴォロネジに生まれる(出生時の姓はクリメントフ)。中等教育修了後、鉄道工場などで働いたのち、鉄道技術専門学校で電気工学を学ぶ。ロシア革命後の内戦では赤軍側で参戦した。1920年代前半には、ヴォロネジ県の土地改良・灌漑事業などにおいて指導的な役割を果たす。作家としては、10代から地元の新聞・雑誌上に評論や詩を発表して頭角を現し、1922年に詩集『空色の深淵』を出版してデビュー。1926年にモスクワに移住し、以降は職業作家として活動。短・中篇や戯曲を中心に執筆するも、短篇「疑惑を抱いたマカール」(1929)や「帰還」(1946)、ルポ「ためになる」(1931)などが権力者や批評家からの苛烈な批判の対象となり、出版がままならない状態が生涯つづいた。後半生には創作童話や民話の再話、従軍記者として第二次世界大戦の前線に取材した短篇、文芸批評などにも取り組むが、不遇のまま、1951年に結核によりモスクワで死去。死後、娘マリーヤらの尽力により遺された作品が続々出版され、20世紀文学の主要作家としての地位が確立されつつある。

「2022年 『チェヴェングール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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