- Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862280060
作品紹介・あらすじ
<なぜ人はレイプをするのか。進化生物学が解き明かすレイプ分析が、この地上からレイプ犯罪を撲滅する>
本来、愛の到達点であるべき「性行為」を、暴力的に、あるいは抵抗できない支配的状況下で強いる「レイプ」は決して許されるべきではない。このような非道な行為をどうすれば防ぐことができるのか。レイプは男の「業」なのか、永遠になくならないものなのか。
著者たちのレイプに対する進化論的研究がこの問題の根本的解決の道を指し示している。レイプの原因の間違った捉えかたが、いかにこの犯罪行為を助長し、さまざまな防止活動を妨げてきたか。レイプに対するはじめての科学的研究の成果がここに明らかにされる。
子育ての労が少ない男は、繁殖のために多数の相手に関心を向けることになった。こうした男のセクシャリティの進化が、レイプの根本的要因だと著者はいう。
レイプは動物界に広く存在する。しかし人間の場合、この根本要因を科学的に見極めることで、はじめてレイプ予防の道も開かれるのである。
米国でフェミニストとの間に大論争を巻き起こした問題の書。
長谷川眞理子氏(総合研究大学院大学教授)が本書を推薦(解説文担当)
感想・レビュー・書評
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2017.06.25 スゴ本の『利己的な遺伝子』経由で。
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人はなぜレイプするのか―進化生物学が解き明かす
本書で「社会科学者」「フェミニスト」と表現されている人々の手法の問題を明らかにするのが主題であるように感じた。
その題材としてレイプが使われており、レイプを防ぐための教育プログラムが提案され、現行の教育の問題点が指摘されている。
原書は 2000 年、訳書は 2006 年のものだが、長谷川眞理子氏の解説によって2006 時点までに陳腐になった点は指摘されている。
著者が「生物学恐怖症」と呼ぶ拒否反応により、進化生物学の成果である個体レベルの淘汰に対する知見を理解することすら拒んできた歴史が見えて、絶望的になる。訳書出版後に事態が好転していることを祈るが、少なくとも法律に反映されてはいないだろう。
本書の分析は納得できた。他方、自然主義の誤謬、遺伝決定論の神話、究極要因についての説明と至近要因についての説明の混同、学習による行動と遺伝による行動という誤った二分法などを含む「典型的な社会科学」の著述が引用され、その問題点が読者にもわかる。人間を他の動物と同じ手法で分析することを拒絶する態度に至っては、暗黒時代の非科学的態度そのものに見える。 -
図書館2F閲覧室 368.64||Th8
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「進化論は後だしじゃんけんだ」というのが私の持論である。進化論は生き残った種を勝者と位置づけ、残された機能を有利と判断する。しかしよく考えてみよう。淘汰という概念から見ても、果たしてヒトが進化しているかどうかは不明だ。人類が地球の歴史に登場してから高々700万年しか経っていないのである。恐竜のようにならないとは誰も保証できないだろう。要はこうだ。過去を振り返れば現在生きている生物は勝者となるが、未来から見れば滅びつつある種になっているかも知れないのだ。
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