芥川賞物語

著者 :
  • バジリコ (2013年1月25日発売)
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862381941

作品紹介・あらすじ

特異で滑稽、けれども絶対気になる日本一有名な文学賞。その第1回から第147回までの受賞作と候補作の選考過程にまつわるエピソードを網羅した「権威」と「喧騒」のドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • ☆著者は、直木賞研究家らしい。頼まれて本書を作成したものという。
    いや、よく調べたものだね。

  • 芥川賞第1回から第147回までの受賞作、候補作の紹介と、選好委員や選考基準の変遷を綴った1冊。著者は直木賞贔屓ということもあり、1歩下がった視点で賞の変遷が捉えられていて興味深いものがある。

  • 本好きも、そうでもない人も、みんな踊らされる文学賞。

    芥川賞という賞がどれだけ大きいものなのか、それに対して、どれだけゆらゆらとした賞なのか、そういうまさに踊らされている芥川賞現象というようなものを書いていて、興味深く読んだ。実際読んだことある作品は少ない。レベルとかよくわからない。芥川賞が純文学で、直木賞が大衆小説っていう大雑把な分類がありつつ、分類なんて意味があるんだろうか。実際、どっちの候補にもなっている人いるし。

  •  加藤幸子さんの受賞時のことが知りたかったので図書館で借りました。『佐川君からの手紙』と同時受賞だったのか~。それは『夢の壁』影が薄かっただろうな……。後は興味のあるところだけ拾い読み。『日蝕』に関して、佐藤亜紀との騒動に触れられていないのは何か物足りない。

  • 第1回から第147回の芥川賞すべてを網羅。受賞者なしの年も経緯を漏らさず書かれている。時代ごとの背景や出版業界の立ち位置を追いながら、ポイントなる選評を軸にこれまでを振り返る。秘話的な裏話や選に漏れた作品も掲載されており興味深く読んだ。

  • 選考委員のコメントがたくさん収録されていて、選考過程が垣間見えるようでオモシロかったです。選考委員が作風の異なる作家なので、推奨する基準や価値がばらばらな中、なんらかの合意を得て選ばれた作品はやはり毎度読んでみたいと思っています。容姿端麗であったり、若年の受賞であったり、ユニークな経歴であったりすると、派手な報道があることも含めて発表を楽しみにしています。だけど、受賞までに候補にあがること数度という経緯を見ると、受賞作だけを読むというのも、著者に失礼かなと反省しました。

  • 普段あまり本を読まないような人でも知っている「芥川賞」。
    半年ごとに、何やかやと話題にされるこの文学賞を、創設から候補作、受賞作、選考委員、および選評など一つ一つ丹念に追い、賞の正体を解き明かそうと試みた本書。

    今回初めて分かったのは、作品そのものに与えられるだけでなく、作家に対して贈られることも少なからずあるということ。
    その回の候補作があともうひと押しという評価だったとしても、何度も候補に挙がっているとか、前作、前々作よりよくなっているとかいった理由で授賞が決まることがままあるらしい。
    また加えて、他の候補作との比較ではこっちが良いとか、さらには、何回も受賞作なしできているからそろそろ出したいといった思惑(時には逆のケースも)までもが、選考の際の検討事案の一つに、表立って意識せずともなることがあり、ある意味、運も大きく関わっていると言える。

    一般読者からもマスコミからも文壇関係者からも、ああでもないこうでもないと批判や横槍をいれられ、権威があるようでないような、馬鹿にされているような面もありつつ、その実、注目は集め、ひとたび受賞作受賞作家となれば時代の寵児かのようにもてはやされるなど、わかったようなわからないような不思議な文学賞である。

    伝統もあって有名だけど批判の種には事欠かない話題の提供性こそが、この賞の持つ役割なのかも。

    以下、なるほど、とか、言い得て妙、と思ったものをいくつか引用。

    「十把一からげに、芥川賞候補として並べられただけで、得意げである。受賞者は受賞者で、「芥川賞に輝く」といふのがいつまでも通り相場である。著書を一つ出せば出したで「芥川賞に輝く」著書といふレッテルを貼られ、作品を一つ書けば書いたで「芥川賞に輝く」作者といふ刻印を捺され、時には「芥川賞候補」のレッテルや刻印すら適用し、心ある人達をして「文学的羞恥」を感ぜしむる風景を現出してゐる。」(上林暁氏の評)

    「芥川賞に対する悪評の定番でもある、<あげるべき作家にあげ損ねている>話題が語られる時には欠かせない存在」(村上春樹氏について)

    「芥川賞は<権威>の皮をかぶせられた道化の役として、十分に機能していたのである。」

    「芥川賞が他の賞に比べて優位性があるとすれば、若い作家を見つけ出す慧眼でもなく、ブームを生み出す力でもない、最大の武器は<伝統>しか残っていない」

    「大半の日本人は芥川賞を注視しているわけではなく、細かい話を気にしない。」

    「芥川賞は、元来、純粋に小説を評価する場として機能してきただけではない。<周辺>の事項があってこその歴史を築いてきた。その<周辺>にインターネットが加わる時代が到来した。それはネットで発言する人びと、それを見る人びとが、芥川賞をさらに一段と<楽しい見世物>へと押し上げる時代、と言い換えていいかもしれない。」

  • その後に残った作品のあまりの少なさに驚く。

  • 第一回から丹念に、芥川賞の選考過程や話題となったことを追い、賞の持つ意味を考えたもの。一部の例外を除いてさして売れない「純文学」の、しかも新進作家に与えられる賞が、なぜこれほど注目されるのかを解き明かそうとしている。

    おお!と驚く目新しい考えが述べられるわけではないけれど、知らない時代のものは興味深く、また、近年のものは、ああそうだったなあと面白く読める。

    芥川賞ってほんと、文壇ゴシップと切っても切れない縁があるんだなあ。候補者の名前を追っていくだけでも面白い。

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