江戸文化から見る 男娼と男色の歴史

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862555281

作品紹介・あらすじ

江戸時代、男も女も溺れた
美少年との性の世界

かつての日本で「男色」は特別なことではなく日常だった。
江戸の町には「陰間茶屋」と呼ばれる店があった。
「陰間」とは、金品と引き換えに身体を売る男娼のことである。
性に開放的だった江戸時代、陰間茶屋も陰間も隠すような存在ではなかった。
なぜ陰間は公然と存在しえたのか、陰間茶屋とはどのような店だったのか、
陰間のマナーと性技とは──などなど。
当時の「男同士の恋愛」についても触れていく。
陰間という文化を知ることで、さらに江戸文化を堪能できる一冊。


【目次】
巻頭カラー 浮世絵・春画で見る江戸の男娼文化

第1章 江戸の男娼の起源
・起源は江戸幕府開幕と同時期にあった
・男娼の原点は神事にあり
・江戸時代以前の男娼
・なぜ男色を“衆道"というのか?
・男娼と若衆の違い

第2章 切っても切れない歌舞伎と男娼の関係
・『浮世物語』に見る男娼への熱狂
・男色は日本人の性の伝統
・もともと男娼は特権階級が買うもの
・最強の女形にのし上がった、売れっ子男娼・芳沢あやめ

第3章 江戸のウリセン「陰間茶屋」
・陰間茶屋の発祥
・陰間茶屋には「ウケ」ばかり
・陰間の年齢は20歳が上限
・男娼になるための努力
・若衆と若族
・「役者評判記」に見る陰間の実態
・客と誓約文を交わすことも
・現代版「出張ホスト」も存在した
・元禄までは女性客はとらないのが普通
・貴婦人の陰間買い
・陰間のマネージャー・金剛という存在
・三都以外の陰間茶屋

第4章 男娼の心得と性技
・男娼にとって髭は“恥毛"
・嫌な客にも我慢する男娼
・床入りの作法
・下着にも気をつける
・ウケの必需品
・男娼の前準備
・陰間の秘伝「すまた」
・陰間の床入りの状況
・床入りまでの座持ちの苦労

第5章 男娼と客をめぐる物語
・5代将軍・徳川綱吉の男漁り
・陰間に入れあげて身上を潰した大商人
・越後新発田藩主も入れあげた当代随一の女形・菊之丞

感想・レビュー・書評

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  • 歌舞伎界の人は女遊びが激しいとか、女遊びも芸の肥やしだとかのイメージがあったけどそもそもこの芸を売る人たちが同時に春を売っていたと知り、軽く衝撃を受けた。陰間や陰間茶屋の認知度は遊郭や遊女と同じくらいで、お値段は遊女以上。常に綺麗でいること、女性らしくいることと日常でも徹底していて凄まじい世界。男女問わず陰間を買う人たちがいる一方で陰間が痔を治しに来ることを嗤っている人たちもいて、春を売る人への態度は現代とあまり変わらないのかとも思ってしまった。

  • 日蝕つきるを読んで、男娼の仕組みについて知りたいと思い読んだ
    とても詳しく書いてあり参考になった

    歌舞伎の起源は出雲阿国まではぼんやり知っていたが、そこから女歌舞伎、若衆歌舞伎、野郎歌舞伎が発生したことは知らなかった

    最高すぎて殺すつもりかの感情は江戸からあったんだなと笑った

    欧米文化を否定するわけではないけど、江戸時代の性の寛容さを読むと
    同性愛部分は江戸のままの方が幸せだったんじゃないかなーと思ったりした

    最後まで面白い本だった

  • こちらで頻繁に引用されている井原西鶴の男色大鑑を先に購入しておりお薦めに上がってきたので読んでみた。
    著者は江戸時代の間取りについての本など江戸文化全般をさまざまな角度からみた本を手掛けているようでべつに男色研究の専門家ではない。
    歴史に沿った陰間茶屋の変遷など勉強になった。
    春画がとても多い。春画の中に描かれた文章の訳が読めたらいいのにと思った。
    江戸の人たちが今となっては考えられないくらい性に奔放で情熱的(歌舞伎役者に対する愛情表現がむちゃくちゃ過激だったり)なことに驚く。
    面白かったのはキリスト教圏からやってきた宣教師などの、男色が当たり前に行われる日本社会に対する論評。
    保守派の政治家が日本の伝統云々を盾に同性婚とか批判してるけど、あの人達の言う日本の伝統ってなんなんってなる。
    この本でわかる江戸時代の開けっ広げな空気が日本から無くなってしまったのが残念。

  • 春画(もちろん男色)の掲載枚数が多い!
    えっちな絵というより、江戸文化の一旦に触れているということに感動した!
    でもぶっちゃけドキドキした!(笑)

    男娼のルーツや、どんな人が働いて、どんなサービスを行っていたかまで細かく知れてビックリしました!

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