少年フィデル

  • トランスワールドジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862560100

作品紹介・あらすじ

地方の農園に生まれ、学校でスポーツと探検に明け暮れた少年は、愛国主義者、ゲリラ戦士、キューバ革命の指導者へと成長していく。家族とともにすごした幼いころの田舎での生活から、政治に目覚め、理想のために行動を起こす青年期までの軌跡。

感想・レビュー・書評

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  • ガルシア=マルケス著の序文、インタビュー、母校での演説、写真、監獄で書いた手紙などを収録。主に幼少期から学生時代、モンカダ襲撃と投獄、釈放まで。
    フィデル・カストロの主義思想の土台、革命家となっていく過程がわかる。

    子供の頃から聡明で、感性豊かな理論家。それにすごい勉強家。
    自然に起こったボゴタの暴動と無秩序な様子を見て、抑圧された民衆というものを認識するとともに、運動を組織化することに力を注いでいくのが印象的。

    監獄からの手紙はエッセイのようで本当に面白くて全部読んでみたい。それで一冊の本にしてほしい。

  • 『戦争報道とアメリカ』(柴山哲也 PHP新書)を読み終わる前に次に
    読む本は決まっていたのだが、フィデル・カストロの訃報に接して
    急遽、読書予定を変更した。

    モンタガ襲撃以降のカストロについてはいくつかの作品を読んで知って
    いたが、それ以前のカストロについては知らない。

    カストロ本人がプライベートについてはあまり語っていないのが原因で
    もあるのだが、本書はカストロへのインタビューや本人の演説で革命家
    以前のカストロの姿を描いている。

    いや~、びっくりしたわ。モンタガ襲撃の時に死んでいてもおかしくない
    状況だったのだけれど、その前にも何度か命を落としていたかもという
    状況があったんだな。

    特にコロンビアを訪れていた時に発生した民衆蜂起。混乱はキューバ人
    のせいだとされ、相当に危険な状況なのに宿を提供してくれた人と口論
    して夜間外出禁止令が出ているのに宿から放り出されちゃってる。

    インタビューで本人は「若気の至り」と語っているけれど、この時、キュー
    バ領事館が保護してくれなかったらどうなっていたことか。

    カストロは非常に強い「運」がついて回っているのではないかと感じる。
    だって、ギネス記録だと言われるアメリカ・CIAによる600回を超える
    暗殺計画のどれもが成功していないのだもの。

    強運の持ち主としか言いようがないんじゃないだろうか。

    他にも新興地主であった父のこと、無学だけれど熱心なキリスト教徒
    であった母のこと、幼いころから親元を離れて通った学校のことなど。
    演説と一緒で「語り出したら止まらない」感じでインタビューに答えて
    いる。

    インタビュアーは楽だろうな。一言聞いたら、百倍くらいの答えが返って
    くるんだから。

    モンカダ襲撃で投獄された時に書いた手紙が巻末に収録されている
    が、この手紙にもカストロが革命家として何をどう考えているのかが
    反映されおり参考になる。特に没収された2冊の本について、刑務所
    当局に返却を求める手紙が理路整然としていて、カストロという人は
    地頭がいいんだなと思った。

    学生時代もスポーツや探検に明け暮れていたけれど、一夜漬けでも
    いい成績が取れたというのだから。

    暗殺したいほどアメリカから憎まれようと、亡命キューバ人たちにその
    死が祝われようと、やっぱりカストロは魅力的な人物であり、私の英雄
    のひとりでもある。

    摘んでおかないで、もっと早く読めばよかった。でも、まだキューバと
    カストロ関連の作品は積読の山にあるんだけど。

  • <a href="http://loggedreviews.blogspot.com/2008/11/natural-born-revolutionist.html" target="_blank">read review: レビューを読む:</a>

  • キューバの最高司令官フィデル・カストロがインタビューで少年時代を語った記事。

    厳格で、教養があり、献身的で有能で規律ある先生から学んだ真の教育とは・・・

    カストロ10歳・・・  「時々、山に登って2時間ほど待たせたことがありました。しかし、そんなことをしているときに批判などされませんでした。私が遅れてきたのは大変な努力をしてきたからだということになれば、先生方はそれを冒険心や粘り強さの証明だとみていたのです。危険や困難な活動でも、それをやめろと言ったりしませんでした。」

    「彼らがどうやって私にやる気を出させたかですって? 私がそれをやろうとするのを決して邪魔しなかったのです。 ときには他の生徒が乗ったバスを2時間待たせていたのに、なかなか戻ってこなかったということがありました。 別の時には、突然のどしゃ降りで増水した川を、危険を承知で渡ったこともあります。 それでも彼らは待っていてくれて、しかりもしませんでした。 つまり彼らは、生徒の中に彼らが好意をいだくなんらかの特徴をみとめたならば、それを奨励したのです。 冒険心や自己犠牲の精神、努力する意思などを伸ばして、生徒を弱虫にしないとの覚悟だったのです。」

    これを読んで感じたこと・・・


    現在の日本の教育といえば危険や困難を徹底的に取り除きます。

    園庭や公園の遊具ですら取り除かれています。 子供達の冒険心を大人達が狭めてしまっていると言えるんじゃないでしょうか。

    外で遊ぶ子が少なくなって家に引きこもることで、グループ、集団での協調性の中で育まれる自己犠牲の精神なども生まれにくい環境なのかもしれない。


    リスクはいたるところにあるしそれなくしては成長はないんじゃないかとも思います。

    本来、教育の本質ってチャレンジさせることなんじゃないのでしょうか?


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