敵とのコラボレーション――賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と協働する方法

  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862762634

作品紹介・あらすじ

気の合う仲間とだけでは、 成し遂げられないことがある。


職場でも取引先でも地域でも多様な人との協働が必要な時代。

政府、市民、ゲリラまでも巻き込み困難な状況に向き合った著者から学ぶ前進の方法。





「対話は必ずしも最善の選択肢ではない」

世界50カ国以上で企業の役員、政治家、軍人、ゲリラ、市民リーダー、コミュニティ活動家、国連職員など多岐に渡る人々と対話をかさねてきた、世界的ファシリテーターが直面した従来型の対話の限界。

彼が試行錯誤のすえに編み出した新しいコラボレーションとは。





・部署間や取引先との協働を進めたいと願う企業の担当者、マネジャー、経営者

・新製品・サービス開発、新規事業、イノベーションなどを担う担当者

・組織内外にネットワークを広げ、連携を図る人

・対話ファシリテーターや組織開発・コミュニティ開発のファシリテーター など


職場から、社会変革、家庭まで、意見の合わない人と協働して成し遂げなくてはならないことのある、すべての人へ。

相手と「合意」はできなくても、異なる正義を抱えたままでも、共に前に進む方法。



SNSを開けば自分と同じ意見が流れ、住む場所や働く相手も、自由に選びやすくなった現代。

仲間を見つけやすくなった反面、自分とは異なる人を「敵」にするのも容易になっている状況だからこそ、意義深い1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 黒人政権移行の難題を抱えた南アフリカのマンデラ大統領や暴力に揺れるコロンビアのサントス大統領が、のちにノーベル平和賞を受賞するに至る国家作りを支える基礎を支えた著者アダム・カヘンの本。

    超難題の解決に助力してきた中で、一貫して対話の重要性を語ってきた著者が
    「対話が最善の選択肢ではない」
    とさらに踏み込んだ内容になっている。

    「ストレッチコラボレーション」と題する、ただのコラボレーションではなく、お互いが柔軟に形を変えながら行うコラボレーション。

    どうやってこのストレッチを生み出すかが重要で、要点は3段階あり本文中から引用。

    “第一のストレッチ 、対立とつながりの受容では 、力と愛という補完し合う衝動を 、どちらか一方だけ選ぶのではなく 、両方とも使わなければならない 。力は 、自己実現の衝動であり 、断固として主張することで表現される 。愛は 、再統合の衝動であり 、相手と関わることで表現される 。この二つの衝動を同時にではなく交互に使う必要がある 。
    第二のストレッチ 、進むべき道の実験では 、現状を強化するダウンロ ーディングやディベ ートに偏るのではなく 、新しい可能性を浮上させる対話 (ダイアログ )とプレゼンシングを用いることが求められる 。つまり 、話すこと 、聞くこと 、特に聞くことを狭めずにオ ープンにしておくということだ 。
    第三のストレッチ 、ゲ ームに足を踏み入れるでは 、傍観したまま 、他者を変えようとしかしないのではなく 、活動に飛び込み 、自分が変わろうとすることが求められる 。”


    個人的にこの第二のストレッチが目から鱗で、個人の立場と全体の立場だけを意識するだけでは不十分で、「自分の」常識外の内容も受け入れるような、もう一歩心をオープンにしたコミュニケーションが必要なのだそうだ。

    全体にとっても、個人にとっても、ついつい自分なりの正解にこだわってしまいがちになるが、相手の意見も正しいのではないかと思うことが大切。

    そして、それだけではなく、ある課題に対して議論しているとき、その課題に関心あるのはもしかしたら自分だけかもしれない。そもそも、課題設定自体が人によってバラバラである可能性を忘れてはいけないということなのだろう。

    そういう意味では、課題ありきの会話だけでなく、その周辺の思考を探る会話、つまり雑談がとてつもなく重要なのだろう。

    言葉で言うのは簡単だか、実践するのはかなり難しい。
    それでも意識し続ければいつかはできるようになると信じて頑張っていきたい。

  • コラボレーションは互いに賛同したり、好きになったり、信頼したりすることではなく、たったひとつの答えに合意することでもなく、対立すら受け入れながら困難な状況において道を創ること、と言ってる気がしてハッとさせられた。

    それを実現するためのストレッチ・コラボレーションというやり方。

    部分や個に重心をおき、自己や内集団の実現を主張するための力、より大きな全体に視座を高め、合意の外で相手を受容し関わり統合するための愛を偏りなく交互に使うこと。

    部分と全体、既存の現実とこれからの軸で表現される会話の4つのパターン(ダウンローディング、討論、対話、プレゼンシング)を意識し、ダウンローディングや討論による行き詰まりを、共感を鍵にして、対話やプレゼンシングにシフトさせること。

    自分を演出家や観客のように状況の外におかず、演者のひとりとして状況を変えるために自分を変えられるところが何かを見つけ、実践すること。

    ひとは厳しい状況になると他者にその原因をつくってしまう。
    「ほかの人たちが考えや行動を変えれば問題は解決するのに」は
    コラボレーション初期にたいていの人が持つ考え。

    敵をつくりだしているのは、その状況において自分が変わらない理由を正当化している自分自身。しかし、自分が変わる選択肢に気づけば、敵は自分自身を成長させる機会とも取れる。そうすると、行き詰まりにも道が開けてくるかな。

  • 2018年65冊目。

    自社本のため割愛。

  • タイトルがとっても気になっていたアダム・カヘンの新作の翻訳。

    コラボレーションという言葉の持つもともとの両義性を確認しながら、コラボレーションは、いつもよい選択肢ではなく、強制、適応、離脱を加えた4つのうちの1つである、という衝撃の議論から話は始める。

    おお、と驚くのだが、話は、従来型のコラボレーションではなく、ストレッチ・コラボレーションが大事ということになって、やっぱりコラボレーションの方法論になっていく。

    こうした観点から、アダムのこれまでの本の紹介されていた南アフリカやガテマラ、コロンビアなどの事例が再検討されつつ、タイや麻薬撲滅の新しい事例が紹介される。

    まったく新しいコンセプトというより、これまでの本の内容を包含しながら、ストレッチ・コラボレーションという観点を加えてまとめ直したという感じの本かな?

    ここに、常に自分の失敗から学び続け、成長しつづけるアダムの誠実さが伝わってくる。

    具体的な方法論としては、
    ・愛と力を両方つかう
    ・U理論的な4つの話し方・聞き方を使う
    という従来のものに、新たに、
    ・問題の一因として、問題解決のゲームに参加する
    というものが加わっている。

    が、3つ目は、ある意味、システム思考がもともと提唱していた概念なので、そこまで新しい感じはしないな。

    もちろん、「信頼できない人」と一緒にゲームに参加しようというのは、勇気のいることだし、自分のメンタルモデルの大きな変革が必要なことはいうまでもないのだが、なんだか、スッキリしない読後感が残った。

    タイトルから期待しすぎたのかな?

    世の中的には、盛り上がっていそうだけど、みんなどこに反応しているのだろう?

    モヤモヤは残る。

  • 力(主張する)と愛(関わる)の両方を交互に使う必要
    話し方は4パターン(ダウンローディング、ディベート、対話、プレゼンシング)

  • ストレッチ・コラボレーション深すぎる…。

  • 独特の文章構成になっていて抵抗感がややありましたが、書いてある内容は興味深く、執筆者の悩みの軌跡というか紆余曲折が描かれている。ストレッチコラボレーション自体は実技としては難しそうだが、概念やねらいはとても参考になる。

  • 相性が合わず、途中で読むのをやめた。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB27159349

  • 「話せば分かる」のは「話さなくても分かる」間柄だけというコラボレーションの真実。

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著者プロフィール

レオス・パートナーズ社パートナー。オックスフォード大学経営大学院「科学・イノベーション・社会研究所」特別研究員。過去にはロイヤル・ダッチ・シェル社にて社会・政治・経済・技術に関するシナリオチームの代表を務める。1991~92年には南アフリカの民族和解を推進するモン・フルー・シナリオ・プロジェクトに参画。以来、企業や政府などの問題解決プロセスのオーガナイザー兼ファシリテーターとして、これまで50カ国以上で活躍している。アスペン研究所ビジネス・リーダーズ・ダイアローグ、組織学習協会(SoL)のメンバー。カリフォルニア大学バークレー校エネルギー・資源経済学修士、バスティア大学応用行動科学修士。2022年には、シュワブ財団の「ソーシャル・イノベーション思想的指導者2022」に選ばれた。著書に『敵とのコラボレーション』『未来を変えるためにほんとうに必要なこと』『社会変革のシナリオ・プランニング』『共に変容するファシリテーション』(以上、英治出版)など。

「2023年 『それでも、対話をはじめよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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