衝動の現象学: フッサール現象学における衝動および感情の位置づけ

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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862850195

作品紹介・あらすじ

従来のフッサール研究は初期から中期の著作を中心に彼の理論的・論理的思惟の一貫性を強調することに主眼をおき、感情や衝動といった内面的な意識現象は単なる付随現象とか非合理なものとして、本格的に考察されてこなかった。これはハイデガーやアンリ、レヴィナスなどでも同様である。しかしフッサールの膨大な遺稿が刊行されるのに伴い、とくに中期から後期にかけて彼が多様な感情の働きや衝動的性為について分析しており、その成果を無視することができない状況となった。本書は著作とそれを背景で支えている遺稿における思惟を整合的に読み解くことを通して、フッサールの全体的思惟を理論的・論理的現象学から感情現象に裏づけられた実践的現象学への展開として再構築する試みである。現象学が客観的考察に終始するのではなく、現象学的還元を通した現象学運動として、認知科学や脳神経科学などの諸科学の成果を導入しつつ展開する可能性を示唆した意欲的作品である。

著者プロフィール

1974年、北海道生。東洋大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程修了。
文学博士。自治医科大学総合教育部門(哲学)教授を経て現在、東洋大学
文学部哲学科教授。専門は現象学・環境哲学・リハビリテーションの科学哲学。
著書に『大丈夫、死ぬには及ばない──今、大学生に何が起きているのか』
(学芸みらい社)『壊れながら立ち上がり続ける――個の変容の哲学』
(青土社)など多数。

「2022年 『絶滅へようこそ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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