みさと町立図書館分館

著者 :
  • 産業編集センター
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863111653

作品紹介・あらすじ

正直、ままならないことだらけの図書館業務。
でも、まあまあ楽しい毎日です。

みさと町立図書館分館に勤める遥は、33歳独身の実家暮らし。
本の貸借トラブル&クレーム対処をはじめ、
家庭内の愚痴聞きや遺失物捜索など色々ある図書館業務は、ままならないことが多い。

でも小さな町の図書館分館では、訪れる人たちの生活が感じられる。理解もできる。
だから、ここではちょっと優しくなれるのだ。

いなかの図書館を舞台に描かれる、
小さな町のハートフル・ストーリー。

[装画] loundraw

感想・レビュー・書評

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  • 母を亡くし父と2人生活を送る図書館勤務の遥。
    父との生活、彼女を取り巻く職場の人達や図書館へ足を運ぶ利用者達とのやり取りが綴られている。
    父とのちょっとぎこちなくでも互いが互いを思いやる、ほど良い距離感のやり取りが微笑ましい。
    妻を亡くし無気力になった父が料理をきっかけに自分を取り戻していく。
    妻を亡くし時にボーッとしたり娘、遥との距離を遠慮がちに詰めたり離れたり…遥も父との距離を同じように程良く保つ。互いが決して気を遣っているわけではなく見守っている感じがなんとも温かく心地よい。
    職場仲間の岡部さんとの関係性も可愛らしく微笑ましい。
    互いが互いの存在のおかげで気付かされたり少しクスッと出来たり…穏やかに微笑む日々を過ごしている感じが好き。

    初読みの作家さん。
    高森さんの他の本を目当てに図書館へ。
    貸出中の為、タイトルに惹かれ本書を借りた。
    特に何か大きな出来事があったり急展開があったりするわけではない。
    本当に日常のひとコマ!が描かれている。
    でも今はハードなものが読みたくない自分にとって心に穏やかに寄り添ってくれる本書は心地良かった。
    遥や周りの人達の何気ない自然な思いやりや空気感がとても良かった。
    他の本も読んでみたくなった!

  • 人との距離感って難しい。例えそれが家族であっても。

  • 旅行すら出かけることもなく
    母が亡くなってしまう。
    優しい言葉の一つでも、どうしてかけてあげなかったのかと問われた父は娘に答えるのだ。
    『いつものことが一番大事だ』『母さんは最後までいつものことをしたのだ』と。
    いつものことが出来るふつうの毎日の幸せを感じていた母と、そのことをちゃんと理解していた父。
    亡くなった母を不憫に思っていた娘の胸のつかえがとれる瞬間の会話が
    胸に深く深く染みわたりました。
    町の図書館の分館に派遣で勤める娘の日々もまた
    ふつうの日々の幸せにあふれていて
    読み終わった私は思わず本を抱きしめてしまうのでした。

  • 図書館で契約職員として働く遥の話。図書館が好きなので図書館で働くことに興味があったが、きっと私の知らないところできっとこの本にあるような苦労があるのだろうなと考えさせた。津軽弁(?)がルビ付きであったのが読んでいて楽しかった。図書館で起こる事よりも人間ドラマがメインだった。

  • 母を亡くして3年父と2人暮らしの主人公。図書館に来る人々とのエピソードというよりは主人公周り、父との日々とか亡き母への思いとかがメイン。
    タイトルからは図書館ものにありがちな図書館利用者との交流とかがメインなのかなと思っていたのでちょっと意外。
    大きな事件などがあるわけでもなく、なんとなく終わる。正直ちょっと物足りないような終わり方だった…。

  • みさと町立図書館分館に勤める遥は、33歳独身の
    実家暮らし。"図書館業務"は、ままらなないことが
    多いが、小さな町の図書館分館では、訪れる
    人たちの生活が感じられて…。

  • ほのぼの系。
    タイトルには”図書館”とあるけれど、母親を亡くした主人公と父親、家族の絆というのが軸になっている物語。

    主人公の勤務先が図書館分館で、そこの職員やちょっと困った利用者さんが登場したりはしますがストーリーのメインではない。後半は職員のうちのひとりがそこそこ存在感発揮してきますが。
    図書館はあくまで、主人公の日常の一部分のような書き方がされています。

    特別な何かが起こるような話ではないけど、あーこの気持ち分かるなぁと共感しながら読める。
    ちなみに、図書館は実際には怒鳴ったりクレームつけてくる利用者さんは少ないです。物語中に描かれるのは癖のある方ばかりなので、そういった人達は少なくて大半は普通に利用してる方のほうが多いですよ。

  • みさと町立図書館分館に勤める派遣社員の山本遙。 
    数年前に母を亡くし、今は定年を迎えてた父と実家で二人暮らし。
    図書館にやってくる人々は「クセのある人たち」もいるがそれなりに業務もそつなくこなしている。
    近所の小山のおばあさんと息子夫婦。調理本を片手に奮闘する父。図書館で一緒に働いている岡部さんや香川さん。
    そして自分にもさまざまな問題や悩みがある。 
    作中でお父さんが作る料理の数々が食欲をそそる。溝端さんは怖いなぁ~インベーダーか・・・。
    そして、今ある日常がどれだけ尊いものなのか。暖かく描かれています。北国の図書館をめぐるハートウォーミングストーリー。 
    なかなかおススメ。 

  • 出てくる青森弁が斬新なようでいて、関西人の私にはちょっとわかりにくい…
    オチもなにもない、淡々とした話。
    人の人生はいろいろあるなぁ

  • 図書館勤務の遥
    33歳独身
    墓守り娘

    図書館に訪れる利用者さんとのふれあい
    暮らしの中でのほころびや繕い
    思いが優しくてほっこり

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著者プロフィール

青森県出身。地元で勤務しながら創作活動を続ける。2014年『ジャパン・ディグニティ』で第1回暮らしの小説大賞受賞。2023年「バカ塗りの娘」として映画化。主な作品に『おひさまジャム果風堂』『お手がみください』『みさと町立図書館分館』『みとりし』『ペットシッターちいさなあしあと』『羊毛フェルトの比重』(すべて産業編集センター)、『藍色ちくちく 魔女の菱刺し工房』(中央公論新社)など。

「2023年 『[新版]ジャパン・ディグニティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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