あなたの知らない、世界の希少言語 世界6大陸、100言語を全力調査!
- 日経ナショナル ジオグラフィック (2022年6月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863135314
作品紹介・あらすじ
アフリカのハッザ語からパタゴニアのヤーガン語まで、歴史を作り、そして翻弄された、ことばの深みと面白さ!
ある地域で、同じ国のほかの住民にはほとんど理解できない言語が話されているのはなぜか。まったく関係のなさそうな遠い場所で、同じ言語が話されているのはなぜか。なぜ、どうやって言語は変化するのか――。
感想・レビュー・書評
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世界にはおよそ7,000の言語があると推定される。
その中で、世界6大陸、100言語の希少言語についての
成り立ちや歴史、民族や現状を解説している。
言語島とは・・・まるで海に囲まれた孤島のように、
多くの人々が使う言語に囲まれた、孤立している言語。
孤立した言語・・・バスク語、アイヌ語、タヤップ語、ズニ語など。
インド・ヨーロッパ語族の言語島・・・ソルブ語、ヤグノブ語など。
世界各地の言語島・・・ハワイ語、八丈語、ヒナルク語など。
用語集
著者は言語学者ではないけれど、よく調べ上げています。
それらはまるで、言語の絶滅危惧種。
遥か昔に消滅した言語の流れをくむ言語や、
系統関係のある言語が見つからない希少性があるものも存在。
孤立した地域、圧力や弾圧によって移り住んだ場所。
様々な歴史と人々の変遷の中で、
守り継がれ、受け継がれている言語があれば、
行政で公用語の一つになったり、学校の授業で使われたりと
守られている言語もある。消滅した言語復活の運動もある。
反面、周辺の言語の影響を受けての変化の中での、
消滅の危機のある言語の姿も。
バウンティ号の反乱が新しい言語の誕生に繋がった事、
八丈島や青ヶ島、大東諸島で話される八丈語は、
上代東国方言を今に伝える最後の言語である事、
北センチネル島の言語は現代になっても不明な事、
ニュージーランドでたまたま立ち寄ったプホイ村が
(美味しいチーズ工場がある)ドイツの珍しい言語を
受け継いだ場所だった事など、興味深い話も多く、
言語に関心を与えてくれる面白い内容でした。 -
孤立した言語、インド・ヨーロッパ語族、世界各地、とおおまかに3つに分けて希少言語を紹介する。実際どのような文法や文字なのかの説明はなく、地図と由来などが紹介される。「八丈語」なるものが紹介されている。著者は言語学者ではなく学術的著作ではない。各地の興味深い言語のコレクションとしてお楽しみいただきたいとある。
希少言語は狭い地域、少ない人数の話者になることが多いが、その話者はその居住地の回りを、自分達よりかなり多い人数の違う言語を話す人達に囲まれて暮らしている。それを「言語島」という言葉を使っている。
言語と方言の違い。まったく違うような言葉を話す2人が初めて出会って話しても、なんとか通じるものが方言。まったく通じないのが別の言語。
言語は、英語やドイツ語を含む、インド・ヨーロッパ語族とか、兄弟言語のようなグループがある。そのどれにも属さない語を「孤立した言語」とくくっている。例として、バスク語、アイヌ語など。
アイヌ語の説明のところで、アイヌの最古の祖先は1万5000年以上前に日本列島に渡ってきたと考えられており、それらは縄文文化であり、その後の弥生文化で朝鮮などから渡来日した人たちに追われ、北に逃れたのがアイヌ、南に逃れたのが琉球人だ、という説もある、と記述があった。興味深い。
世界各地の言語島で「八丈語」が紹介されていた。初めて聞く。八丈語はかつて使われていた上代東国言語を今に伝える最後の言語で、独特な語彙と古い要素を数多く残すという。流刑の島で孤立した状態が古い言語を残したとある。島の人口7500人のうち数百人の年配者がこの言語を話すとある。また青が島でもこの言語が残るとある。沖縄の大東諸島は明治期まで無人だったが、八丈島からサトウキビ栽培の入植があり、八丈語が残る、とある。
著者はゴルニ・ミラノバツ氏。旧ユーゴスラビアの現セルビア生まれで、ユーゴ時代の主要言語はセルビア・クロアチア語だったが、国家解体とともに言語も分裂し、セルビア語、クロアチア語、ボスニア語、モンテネグロ語に分かれた。ユーゴスラビアでは、スロベニア語、マケドニア語、アルバニア語、ハンガリー語、ルーマニア語、スロバキア語、チェコ語、イタリア語、ポーランド語、ルシン語などが話されていたと言う。どの言語もそれぞれの共和国や州や自治体の中で公用語という地位が与えられていた。
ユーゴスラビア時代には子供だったがテレビニュースではさまざまな言語で放送されていたという。
2021発表
2022.6.20第1刷 図書館 -
希少言語がたくさん書いてある本はあまりないと思うので、気になる言語がある人は面白いと思う。私はアジア圏の言語について興味があったが、もう少し詳しい内容が書かれているとよかった。ここで見つけた言語について調べていくのも良さそう。
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孤立した言語
孤立した言語とは
ヨーロッパ
アフリカ
アジア
ニューギニア
オーストラリア
北アメリカ
南アメリカ
インド・ヨーロッパ語族の言語島
スラブ語派の言語島
バルト語派の言語島
ゲルマン語派の言語島
ロマンス諸語の言語島
ケルト語派の言語島
その他のインド・ヨーロッパ語族の言語島
世界各地の言語島
オセアニア
東アジア
西アジア
ヨーロッパ
アフリカ
北アメリカ
南アメリカ -
802-N
閲覧 -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50288579
ある地域で、同じ国のほかの住民にはほとんど理解できない言語が話されているのはなぜか。まったく関係のなさそうな遠い場所で、同じ言語が話されているのはなぜか。なぜ、どうやって言語は変化するのか――。
(生命融合科学分野 大塚正人先生推薦) -
https://cool.obirin.ac.jp/opac/volume/902678
千駄ヶ谷にもあります。
とても興味深い著作ですね。
遊びで、NHKの語学番組を見ていますが、希少言語のことは、危機的状況にあるという漠然とした状...
とても興味深い著作ですね。
遊びで、NHKの語学番組を見ていますが、希少言語のことは、危機的状況にあるという漠然とした状況しか、知りませんでしたので、勉強になりました。
「八丈語」という言語の存在も、ご投稿で、初めて知りました。
世の中、わかっていない未開拓分野が、まだまだあるものですね。
実に面白い内容でした。
人が移動することは、言語も移動するということに、
改めて気付かれさせてくれた内容です。
元...
実に面白い内容でした。
人が移動することは、言語も移動するということに、
改めて気付かれさせてくれた内容です。
元の言語が消滅しても、移動先にその痕跡が残り、
受け継がれているというのも、興味深かったです。