京都の流儀 (翼の王国books)

著者 :
  • 木楽舎
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本棚登録 : 116
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240346

作品紹介・あらすじ

これが私の教科書。
唯一絶対、究極の祇園ガイド、満を持しての登場です !!
──千住博 京都造形芸術大学学長・日本画家

花街、京都・祇園の究極エッセイ。
「一見さんお断り」のシステム、お座敷を支える裏方、芸舞妓さんたちの習い事、お稽古事の厳しさ、祇園に伝わる行事の優雅さなど、あまり知る機会の少ない「京都の流儀」をご紹介 !

知れば知るほど、京都・祇園の粋の深さを感じさせてくれる一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • タイミング的にぴったりな本でした。
    舞妓の言葉、京都花街の経営学と2冊、社会学的、経営学的に
    花街を理解した後に、
    今度は贔屓衆・旦那衆サイドからの粋な語り口で
    花街をやわらかく理解を深めることが出来ました。

    日本というのは四季があり、それを愉しむような様々な
    行事が巡らされているんだなぁと、そういった風習が
    一部を除き廃れてしまったことを残念に思います。

    舞妓さんのかごの中身の、名入れされた無駄のない持ち物の
    洗練された美しさよ。
    芸舞妓さんが、一時の減少が収まり、増加傾向にある中、
    その周囲にいる職人の灯が消えつつあることに、
    危機感を覚えます。

    そういった文化を支えていくためにも、経済的に豊かな
    若い人が、拝金主義にならず、ご自身も教養を深め、
    芸舞妓さんを育てていくような関係になって頂きたいなと思います。

    なんと、すごいタイミング。
    来週新しい本が出るんですね。
    まあ、私がこの本を手にとったきっかけが、8月に乗ったANA便で
    翼の王国に掲載されていた連載を読んだから、なので、
    続編が出る良いタイミングだったのですね。

    ちょうど発売後、また飛行機に乗りますので、
    空港の本屋で出会えたら嬉しいな。

  • 10年くらい積読されていた本をやっと読めた。
    祇園甲部の舞妓・芸妓・お座敷のしきたりや年中行事など、一般人には伺いしれない世界を知ることができ非常に興味深かった。
    著者はこの花街の舞妓・芸妓さんをご贔屓にしている旦那衆と呼ばれる方で、京都で代々そのような文化を守って来られているらしい。
    一見さんお断りの世界だけれど、代々付き合いのある著者だけに、お茶屋さんとの信頼関係も深く、情報量も豊富なんだろうと思う。

    一見さんお断り、という閉鎖的な世界にネガティブな印象を持ってしまうけれど、やはり信頼関係を築くためには必要なのかもしれない。
    逆にお金だけで解決できる世界というのは深みもなく(お金があれば、だけど)簡単に手に入り面白くないとも取れる。

    また、贔屓にする旦那衆の振る舞いについての指南が随所にあり、「粋」というキーワードが随所に出てきた。結局のところはリスペクトであり、ノブレス・オブリージュということなのかなと思った。

    現代に生きているとどの風習も非合理的で前時代的に思える。(特にあいさつ回りとか。。。)けれど、こういった文化や伝統は素晴らしいと思うし、それを途絶えさせずに受け継いで行くことには意味があると思う。文化を守るということはコストや労力がハンパなくかかり大変だと思うのだけど、それを守り続けることにリスペクトの念を禁じえない。

    それにしても年中行事が多く、めちゃくちゃ忙しそう。。。というのは素直な感想。普段からお稽古やお座敷に忙しいうえ、こんなに行事があるとほんとにプライベートなんて一切ないよなぁ。。。

    本の要所要所に舞妓さんや街並みの美しい写真も掲載されており、うっとり眺めながら花街に思いを馳せられた。

    個人的には、京都のお店で見かける舞妓さんの名前が書いたうちわが謎だったんだけど、その謎が解けてスッキリ。舞妓さん達がご贔屓にしてもらってる方に挨拶代わりに贈るそう。(たくさんうちわがささっている=羽振りが良い、ということなのかな!?)

    この本をよんでから祇園に行くとより楽しめそう。コロナ明けたら行きたいなぁ。

    以下、個人メモ
    ・2/2-3の節分の年越しに「お化け」という行事がある(若手の芸妓さんがチームを作り寸劇や歌舞伎の1場面を演じる)
    ・八朔(8/1)と呼ばれる行事があり、舞妓・芸妓さんが黒紋付で挨拶回りをする
    ・南座の顔見世を花街ごとに観覧しにいく「総見」がある(12月ごろ)
    この頃は南座の看板を模した「まねきのかんざし」をさすが、この看板に役者さんのサインをもらう(楽屋やお座敷で)
    ・年末お正月の準備をするころに「事始め」と呼ばれる行事があり、挨拶回りをする
    ・大晦日には「おことうさんどす」と挨拶回りをするが、その際に「福玉」と呼ばれる縁起物をお茶屋さんから舞妓・芸妓さんに渡す(ご贔屓から預かったもの)
    福玉はお米の粉から作られており、紅白をはじめ色々な色があり、大きさも様々(大きいものは直径30センチ)
    元旦の朝にお雑煮を頂く際に割って中身の縁起物を楽しむ(宝船の置物、七福神、干支の置物など)
    ・「松の内」と呼ばれる正月元旦から15日まで、紋付(黒紋付・色紋付)を着て、稲穂に鳩が付いたかんざしを付ける。また誰かに鳩の目を入れてもらう。(ご贔屓さんや意中の人)また、稲穂を3粒もらってお財布に入れておくと商売繁盛、財を成すという縁起物になる。
    ・置屋さんで1年ほど「仕込みさん」として働き、その後「見習いさん」としてお茶屋さんのお座敷に上げてもらえるようになり、それを経て「お店出し」という舞妓さんのデビューとなる
    ・見習いさんになると舞妓さんの格好はできるが、帯は舞妓さんの半分の長さの「半だらりの帯」や袂の短い着物で、まだ派手なものは着けさせてもらえない。お化粧も白塗りですが、口紅は下半分にしか紅を引かせてもらえない。
    ・十代の後半を舞妓さんとして過ごし、およそ20歳を過ぎたくらいの年頃になると「襟替え」する(芸妓になる)
    ・舞妓である最後の数日間は「先笄(さっこう)」という髪を結い、黒紋付でお座敷に上がり、「黒髪」という舞を舞う(家によってはおはぐろをするところも)最後の夜に髪に刃を入れる
    ・芸妓になると地毛で結っていた髪は島田のかつらになり、着物の袖の長さが短くなり、だらりの帯もなくなり、帯締めの「ぽっちり」もなくなり、背の高い「おこぼ」という履物も使わなくなる
    ・舞妓デビュー当時はおこぼの鼻緒や小物入れなど赤色のものだが、替えたりするうちにピンク、水色と地味なものに替えていく
    ・雨の日は蛇の目傘。舞妓さんや若い芸妓さんは赤だが、おねえさんになると紺など地味なものに
    ・10年から20年すると「名取さん」になる
    ・舞妓さんや芸妓さんは「花名刺」という花街の名前と自分の名前を刷ったシールをお座敷ごとに手渡す
    ・花簪の種類
    1月 松に寒菊
    2月 梅
    3月 菜の花
    4月 桜
    5月 藤
    6月 柳と撫子(紫陽花)
    7月 団扇
    8月 薄(すすき)
    9月 桔梗
    10月 菊
    11月 紅葉
    12月 まねき

  • 京都で2回経験させて頂いた。舞妓さんの幅広い人生観はきっとお客さん方との会話を通して得られた経験だろうけど、話しをするだけでも大変勉強になる。

  • 祇園の教科書。写真もきれいでパラパラ見るだけでも楽しめる。祇園の伝統を支えているのは、お茶屋さん、置屋さん、舞妓さん、芸妓さん、地方さんなどなど、そして粋な旦那衆。お金があれば遊べる世界とは違う独特な世界。
    お茶屋さん、一度体験してみたいなあ。

  • 花街の礼節と美徳に古くからある日本の流儀を見る。舞妓さんの優美と花街のしっとりとした落ち着きが心を癒す。日本人の原点が京都にある。確信が思わず膝を打つ。

  • 知らない世界が覗けたようで楽しかった。
    京都行きたいなー

  • 京都に行くからって、遊びに行くわけじゃないですよ決して。…でも少しくらい常識がなきゃ! これ読んで日本が好きになった。さぁ、いざゆかん華の都京都‼

  • 一年って、こんなにも丁寧にすごせるのか。

  • 花街、そこは粋な土地。古来から独自の文化、しきたりが存在している。そしてそこに足繁く通う人々は暗黙のしきたりをいかに知り、しぐさに表しつつ、「遊ぶ」ことで御贔屓として初めて認識される。

    一つ一つのしぐさが京都においてはその人を計るバロメーターになっているのかなと感じた。また、京都においては有名な人やお金持ちが頻繁に海外からもやって来るため、舞妓さんたちの心を揺さぶるのはお金ではない。彼女らは”普通”の基準が違うというのは頷け、そんな彼女らの気持ちを掴むのは芸術家などの文化人のお金で買えない嘘というのには、ほほが緩んだ。

    一冊には抑えきれない京都の流儀。粋なしぐさを観察したいな。

  • 『一見さんお断り』で敷居が高い印象のある京都の花街。

    独自のしきたりやルールがあるが、そこをしっかり知っておき、『大人の遊び』を楽しむのが粋というものなのでしょう。

    街を優雅に歩く舞妓さんをはじめ、芸妓さん、女将さんやお得意様が利用する『お茶屋』といった、今まで全く知らなかった京都の文化を知ることができたことは良かった。

    京都に行く際は、寺院だけでなくこれら花街の文化についても目を向けて楽しんでみたいと思う。

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著者プロフィール

1960年、京都生まれ。代々、絵所を預かる画家筋の家に生まれる。毎夜、花街に浸り、各界著名人と酒を酌み交わす。自他ともに認める“祇園のプロフェッショナル”。

「2014年 『京都の流儀 もてなし篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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