- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863291515
作品紹介・あらすじ
彼ら彼女たちの存在がなければ、戦後復興はなかった――
昭和30年前後から昭和50年代前半にかけて、〈集団就職〉という社会現象が存在した。中学卒の少年少女たちがまさに出征兵士のごとく、東北から関東方面へ、九州・四国・沖縄から京阪神・中京方面へ、企業側の求人に応じて就職していった。彼ら彼女らの存在がなければ戦後復興も経済成長もなかった。本書では、〈集団就職〉の実態を、主に西日本域出身者たちへの聞き書きにより明らかにし、現代史の中で正当に評価しようと試みた。さらに、働くことの本質を集団就職体験者たちの言葉から問い直した力作。
感想・レビュー・書評
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経験者の証言がたくさん読める。
辛くて逃げ出した人たちのことにあまり触れていないが、その人たちの事も、実情として知った方がいいのではないかと思った。
現代では、外国人労働者がそのような環境なのかもしれない。だとすると、外国人への偏見や差別は改善すべきだ。
単なる歴史の話ではなく、今との地続きであることと認識していくことでこの本を読んだ意味を持ちたいと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あまり語られることのない九州(沖縄)からの集団就職(広義の集団就職として年季奉公も含む)を取り上げて、経験者への聞き取りをまとめたもの。
「隔週定時制高校」というものを初めて知った。本書で取り上げられたのは主に大阪・泉南地域のものだが、1週間おきに早番・遅番を繰り返す繊維工場で働く中卒労働者を対象にした高校。
そもそも取材に応じてくれているという時点で、いわゆる「生存者バイアス」がかかっているし、著者も「事件など悲惨な話はできうる限り排除して記述した」とする。「働くことの意味を考える」のが本書のテーマだからという。
それはちょっと強引な印象があるけど。