- Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863320406
作品紹介・あらすじ
1950年代、世界中が戦後の復興に必死だった時代。1マイル=1609メートルを4分以内で走るという未踏の記録に立ち向かった若きアスリートたちがいた。英国の伝統とアマチュア精神を背負ったオックスフォードの医学生ロジャー・バニスター、高校時代に走りの才能を見いだされ、虐待から救われたアメリカのウェス・サンティー、豊かな自然の中で育ったオーストラリアの孤高のランナー、ジョン・ランディ。3人はオリンピックでの敗北をきっかけに、"4分の壁"に向かって挑戦を始める。自分を信じてひたむきに走りつづけたランナーだけがたどりつける、感動のゴールとは…。
感想・レビュー・書評
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1マイル4分の壁を破る――。
僕は咄嗟に計算した。
1マイル=1.6キロメートル=1600メートル
1600(m):240(秒)=100(m):x(秒)
x=15(秒)
単純に言うと、100メートルを15秒で16回走り続けなければならないということですね。いやはや、大変すぎです。人間による挑戦は4分02秒が最高記録だった。もう更新するのは無理なんじゃないか、そう思われていた。あの3人が登場するまでは。
オックスフォードの医学生「ロジャー・バニスター」、カンザス大学の「ウェス・サンティー」、オーストラリアの「ジョン・ランディ」、以上の3人だ。1952年のヘルシンキオリンピックで思うような結果を得られなかった彼らは、練習方法の見直しを図る。ある者は科学的にアプローチし、ある者は厳しい監督の指導を仰ぎ、ある者はコーチの元を離れ、独自の練習方法に励む――。
1マイル4分の壁を破ることが大事なんじゃない。大事なのは、”世界で最初に”1マイル4分の壁を破ることなんだ!
3人の男たちの魂のぶつかり合い。ここで、結果をバラすのは控えたい。それと、皆さんに【注意】です。本書を開くと最初の8頁にわたって、当時の写真が掲載されています。視覚的に理解できるのは大変有難いのですが、そこに結果が記載されています。僕はそれを最初に見てしまい、ドキドキ感が少し損なわれてしまいました。もちろん、過程をたどるのも楽しいですが。まあ、結果を知りたくない人は10ページからご覧いただくことをお勧めします。500ページ近いボリュームで濃い内容となっています。ドラマティックな幕切れにあなたも観客の一人になって叫んでいるはずです!この夏、お勧めの一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
No.746
1.目的
為末さんがオススメしていた。ロジャー・バニスター効果を理解したい。
2.得られたこと
「1マイル4分は人類の限界」という壁を打ち破ったのがロジャー・バニスター。
バニスターが打ち破ると1年に4分を切る選手が続出。壁と捉えるか、扉と捉えるかで人間の能力は変わる。
3.アイデア
TTS2016のオープニングでインスピレーショントークに利用する。 -
1マイル4分を切るという絶対に越えられないと思われていた壁に挑戦した3人のランナーの物語。当時の感覚からすると、ロケットもないのに月へ行くくらいの感覚だったと思う。4分を切るまでの信じ難いほど努力、葛藤、周囲からの期待と落胆の繰り返し、ライバルとの争いなどなど、スポーツノンフィクションの良さがちりばめられた素晴らしい作品。大きな壁に挑戦する人に読んでほしい。努力が必ず報われるわけではないが、努力しなければ何も起こらない。ところで面白いのは、実際に4分の壁が初めて破られたあと、同じように4分を切るランナーが何十人も出てきたこと。もちろん道具の進歩や科学的なトレーンングの効果はあったと思うが、もっと重要なのは、絶対に越えられないと思っていた「迷信」を破った事実なんだと思う。このようなことは他にもいろいろありそうだ。