やさしいぴあの (新鋭短歌シリーズ12) (新鋭短歌 12)

  • 書肆侃侃房
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863851344

作品紹介・あらすじ

恋の歌は止まらない。
明るく無邪気な顔、ちょっぴり切ない顔。
表情豊かな歌たちが、恋する日々を語る。
加藤治郎

自選短歌五首
日曜のまひるあなたを思うとき洗濯ものもたためなくなる

世界には言いたいことがなくなって雪になれない雨あたたかい

ぴあのぴあのいつもうれしい音がするようにわたしを鳴らしてほしい

遠景の夕陽みたいな優しさでメールをくれる ずるい人です

待つことと待たされることの違いにも慣れて仄かなわたしのいのち

感想・レビュー・書評

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  • やさしくて、か細い。読むとちょっぴり寂しくなるのは、なぜ。

  • 明るくて、さっぱり。私にはちょっと薄味だったかも。明るい呪文のような、ひらがなと「〜したい」が多い、そういう描写が多い印象。もっとつきぬけてもらってもいい。なんというか、もうちょっと言葉に変態を見たい、こちらの野次馬根性のようなものを満たしてほしい。


    ぴあのぴあのいつもうれしい音がするようにわたしを鳴らしてほしい

    父に似た娘は父に似つかない男に嫁ぎ、もう似ていない

    目玉焼きみたいな艶と明るさで毎朝きみを照らしてあげる

    が、すきです。



  • ある時ふと思う
    そうだ、万葉集を読もう

    ――そうして

    嶋田さくらこ氏の「やさしいぴあの」がツイッターで目に飛び込んだ
    ――短歌

    万葉集で読まれていたあの歌が 今もこうして カタチを変えて 読まれている
    不思議に思う「やさしいぴあの」を探ってみる。

    ――通じるものが、あったのかもしれない

    吸い込まれるように、手に取った。
    手に吸い付くように 心に馴染んだ。

    短歌が嫌いだった

    あんな窮屈な世界にいたら 窒息死してしまうと思っていた
    狭い部屋から広い空を眺めるように

    でも、ここはおもちゃ箱のようで
    キラキラしたものがいっぱい詰まっていた

    狭い中で広がるそれは
    小さくても空みたいに広い 宇宙みたいな場所だった

    こんな世界があるのかと
    よし 自分も短歌を書こう

    ――とは ならなかったけど

    あの出会いがなかったら、それに続く数々の短歌の本にも
    きっと 出会わなかったと思うと

    最初に取ったのが、やさしいぴあので よかったと 思う

    やさしいぴあのは きっと とても小さい
    ハーモニカのようで でも、きっと 奏でたら

    音はどこまでも飛んでいく 蝶々みたい





    その声はどこから聞こえたのだろう

    ずっと遠くの声に耳を澄ませていた
    今よりも月がもっと近くにあって どんなに離れていても 愛しかった頃の歌

    無くてきたもの 零してきたものが ここにあったのかもしれない
    辿り着いたのは ずっと遠い場所

    なのにどこか懐かしい風景が 重なった場所

    心のどこかで耳を塞いでいた
    嫌いだったわけじゃない ただ―近づき方が分からなかっただけ

    それはやさしいぴあの 音色は風のようで 光のような 雨となって零れていく道の彼方

    すくいとっても失っていくことは止めることはできない

    でも流れて 繋いで 辿り着いた場所から それは続いていくもの

    どこかで目を閉じていたのかもしれない

    見えた景色は知らないはずなのに どこか知っている気がした

    決して触れられない場所なのに それは足元の花のように傍にあったから

    音色に耳を澄ませて 新しい風が吹く 陽が射して 花を一片摘んで 吹けば風が舞い
    それは踊るように揺れながら 青空に消えていく
    どうしてずっと忘れていたのだろう
    空は思っていたよりもずっと―――広かったということに

    聞こえた歌はどれも煌めいて 耳を澄ませば風景のようで
    指の隙間から零れ落ちても それは見えない場所に染み込んでいく

    それはどこかで捨てた夢だったのかもしれない ぴあのはやさしく響く
    目には見えない場所で 遠くの月のような場所で
    どんなに離れていても 愛しかった頃の歌を――奏で続けている

  • >(大なり)でも<(小なり)でもいい=(イコール)は奇跡みたいで怖くなるから。 日溜まりに置いてみようか やわらかくなるまで待てば解ける数式。 #返歌 >(大なり)も<(小なり)なりたたたないと=(イコール)という名前で呼ぶ式。解けないで数式弄り一時間日溜まり昼寝解く夢を見る

  • 日常的で自分自身にも重なる。
    同じ目線で読んでしまう。
    切なくなる。

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著者プロフィール

1975年滋賀県生まれ。95年京都府立大学女子短期大学部国語科卒業。ファッションアドバイザーとしてアパレル会社勤務後、家業の洋品店を継ぐ。2005年に洋品店を廃業し、新聞販売店へ転業。10年1月に作歌を始める。11年9月から「短歌なzine うたつかい」を企画し、編集長として9名の編集部員とともに発行している。

「2013年 『やさしいぴあの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

嶋田さくらこの作品

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