海、悲歌、夏の雫など (現代歌人シリーズ)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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本棚登録 : 22
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863851788

作品紹介・あらすじ

海は海 唇嚙んでダッシュする少年がいてもいなくても海

「ちばさと」の歌は汗の匂いがする。
元気がありすぎるクラスの担任として
ドラマがありすぎるバスケ部の顧問として
小さな黒板に毎日短歌を書く。
国語教師として
情熱が空回りしてばかりの駆け出し歌人として
ひたすら汗をかき続けた
ひと夏のものがたり。

感想・レビュー・書評

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  • 千葉聡さんの歌集ですね。
    千葉さんの短歌の案内書は何冊か読みましたが、歌集は初めてです。
    千葉さんの歌集は、勤務先の高校の風景が多いですね。教室の黒板に毎日短歌を書かれているそうです。
    クラブ活動の顧問もされていて、部活を詠まれた短歌も数多く出てきます。
    あとがきに「2014年四月から十月まで、夏の始まりから終わりまでを詠んだ歌を中心に、二〇八首を集めて一冊にしました。」と綴られています。第五歌集になるそうです。

     落ちていた本は『夏への扉』だった
       第一読者は窓辺のひかり

     放課後の廊下は夕陽に染められて、
       染められはしない隅っこを愛す

     空色の切手を貼ろう遠い遠い
       知らない町までひとすじに飛べ

     雑誌社のロビーに雑誌の壁はあり
       新しい紙の匂いあらたに

     波音の聞こえ始める坂道にある
       旧式の赤いポストは

     古いピアノ その前に座る人たちに
       音楽を許し続けるピアノ

     まだ君と一緒にいられる
       胸に手を当てる 未来はまだここにある

     いつか住む部屋のこと旅のこと思う
       セイタカアワダチソウの道にて

     友あての手紙にオレンジシャーベット色の
       夕陽も同封したい

     千葉さんの教師生活は充実しているようですね。生徒さんとの交流が目に見えるようです。国語の先生としても様々活躍されていて、ますます短歌生活にも熱が入るようで、微笑ましいです。
     この歌集から、短歌がかなり身近なアイテムである事を感じました。なんとなく嬉しいですね。

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著者プロフィール

1968年、神奈川県生まれ。高校教諭。
1998年、第41回短歌研究新人賞受賞。歌集に『飛び跳ねる教室』『今日の放課後、短歌部へ!』『短歌は最強アイテム』『グラウンドを駆けるモーツァルト』、小説に『90秒の別世界』、共編著に『短歌タイムカプセル』、編著に『短歌研究ジュニア はじめて出会う短歌100』などがある。歌人集団「かばん」会員。國學院大學、日本女子大学の兼任講師。

「2021年 『微熱体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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