- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863855151
作品紹介・あらすじ
チベット文学を牽引する作家ラシャムジャ。
代表作「路上の陽光」をふくむ日本オリジナルの短編集。
日本を舞台にした短編「遥かなるサクラジマ」も収録!
感想・レビュー・書評
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短編を一通り読んだあと、巻末の解説を読み、もう一度読み返すと違った味わいになる。特に「四十男の二十歳の恋」はチベットの社会的背景を念頭に置くと本当に切ない物語であった。3部作の完結編を早く読みたい。
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チベットに馴染みのない方は著書を読む前、若しくは読んだ後に訳者解説を読むと一層理解が深まると思います。
表題の「路上の陽光」はひたすら切ない。ただ物語に出てくるラル橋でチベットの風を感じてみたいと思いました。「四十男の二十歳の恋」も切ない物語。もうあの頃には戻れないという時間の残酷さを感じました。 -
文学ラジオ空飛び猫たち第84回 https://spotifyanchor-web.app.link/e/5t2a6RwYhwb 日本人が読んでも共感や感情移入ができる。 文学が描くものって普遍的なんだとあらためて感じた。 気づくと夢中でよむことができる作品が多かった。誰かに紹介したくなるような話ばかり! きっと作者の人は前向きだけど、影の部分をしっかりと見つめることができる人なんだと思った。
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「絶縁」の中の短編がとってもよかったので、この本に辿り着いた。遠いチベットを想像しながら、読んだ。表題作と「西の空のひとつ星」が特に好きかな。翻訳も素晴らしく、全く違和感なくて、訳者さんに感謝です。あと、サクラジマが見える所に住んでいるので、物語に使ってもらってビックリ&嬉しい。
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とりわけ印象に残ったのは『サクラジマ』。
確たる故郷のないダワ・ラモの寄る辺なさや、安寧とは程遠いタカシとの結婚生活からのニマとの心躍る初めての恋愛、そして…。
主人公ダワ・ラモの人生が濃縮されていて短編でありながら、こんなに濃くて深い表現ができるんだ、と圧倒されました。
とても切ない物語ですが、希望を予感させるラストシーンに胸をなでおろしました。
ダワ・ラモに幸あれ!
チベット文学、初めて読みました。巻末の訳者あとがきが内容を理解するうえで役立ちました。なかでも『サクラジマ』誕生の経緯にぐっときました。 -
最初読んだ時は、登場人物の内面が伝わってくる情緒溢れる文章や比喩表現の面白さばかりに目が入って、面白いけど自分が何に面白いと感じているのかが全然掴めなかった。たぶんこれはチベットに関する前知識が全くないまま読み進めてしまって、自分の中でイメージを上手く作れなかったことに起因すると思う。でも同著者の長編作品『雪を待つ』を読んだ後に『路上の陽光』に収録された諸作品に目を向けると、都会と田舎の対比だとか、都会に出ることによって自由を得た一方で空虚感もまた生まれてしまうジレンマだとか、変化が加速する中で何か絶対的というか自分のアイデンティティの根拠となるものを必要としてしまう心情だとか、もちろんチベット独自の文化や歴史を背景にしてるけど日本に住む僕たちにも共通する題材(テーマ)で小説を書いているように感じた。それと何となく思うことだが、恋愛もまたそうした変わりゆくものの一つだという描き方をしてる(この作品だけでなく『雪を待つ』でも)ように思えて、ここら辺はちょっと村上春樹に通じるものがあるように個人的には思うところ。この本単体としてももちろん面白いが、同著者の他の本や他のチベット文学を読むとまた自分の中でのイメージがまた広がってより面白く読めるのだろうなという感覚が掴めて大変楽しい。アンソロジー本『絶縁』に同著者の短編が収録されてるのでそちらも近いうちに読みたいと思う。
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週刊金曜日2022624掲載 評者:長瀬海(ライター、書評家)
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チベットからの風を感じる短編7編+ニホンが舞台書き下ろしひとつ。
最初の2篇のその後が気になるがそれはまた次のお楽しみだろうか。
そういえば、ジャニーズの滝沢秀明が、「火山を見ると生きている感じがする」というようなことを言っていたのを思い出した。