武田信虎 (中世武士選書42)

著者 :
  • 戎光祥出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864033350

感想・レビュー・書評

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  • い‥一応(人物像(地元?で噂の人物像)の評のみですが)…これ(→ https://www.facebook.com/100000602172840/posts/3412949775401728/?d=n &↓Via #Facebook Specialized for the…#ブクログ & #AppleStore at #iOS)でステルスですが…記述して視ました…合ってる⁇哉(かな)⁇…。

  • 武田信玄の父、信虎の生涯を丹念に追う内容。苦難の甲斐統一への道のりもさることながら、追放後の長い余生も興味深い。誇張が多いとはいえ悪評の要因についても記述されているが、むしろこの状況下でよく勢力を強大化させたものだと感心させられる。

  • 平山優さんは安定的に武田家関連の素晴らしい著作を出されている。この本では悪逆無道として知られている信虎について、最近の関東や東海の戦国史の研究の進展という補助線をいれて、内政軍事外交などの面からまとめている。
    1400年代初期に上杉禅秀の乱で守護不在となった甲斐だが、その後信濃守護の小笠原氏の支援を受けて武田家が守護に復帰。しかし信虎の祖父、父の代は関東の動乱に関連して甲斐は乱れていた。信虎も幼くして家督を継承し、国内の有力豪族を次々と屈服させ、甲斐を統一した。デモンストレーションとして富士登山も果たしている。1519年には甲府を建設、家臣の集住化を図り反発する国人が反乱を起こすこともあった。佐久郡へ領土拡大したが、晴信に駿河へと追放され、その後は京都に登って足利家に仕えた。義昭時代には信長に対抗して伊賀入りしたものの、劣勢を悟りどうにか信濃まで逃げている。文化人としてもそれなりの教養を持っていたらしい。
    記録にある物価動向の分析も面白い。物価高騰や飢饉から当時の甲斐が過酷な経済状況にあったことが読み取れ、それが信虎の悪評の根源にあったのかもしれない。

  • 武田信虎の事跡について、天災や飢饉、国内の争乱に見舞われながらも、甲斐統一を果たし、甲府移転を果たし、信濃経略を進めた前半生から、追放後の後半生までおっている。困難な甲斐統一を成し遂げた豪腕ぶり故に追放されたというべきか。駿河から京、晩年の信濃帰国までの後半生も興味深い。

  • 武田氏滅亡の対となる武田氏誕生を描く

    ■はじめに中世武士選書としては最も分厚いが中身も濃厚ということである。武田信虎のみ詳しく解説した一般書は少ない。近年で読んだ限りでは柴辻氏の書いた「武田信虎のすべて 」しかない。丸島氏の名著「戦国大名武田氏の家臣団 」や「郡内小山田氏」でも若干動向が載せられているが全体が見えてこなかった。また鈴木将典氏の「戦国大名武田氏の戦争と内政 」では勝山記から見える武田信虎の事績や災害にも触れ当時の人びとの目を通して状況を解説している、ものの"父と子の関係"に対しては一切触れていないので良い回答が得らていなかったと言える。

    ■本書と比較して違いを表すなら甲斐の国内の情勢だけに留まらず、関東争乱や管領両上杉家、今川氏親と伊勢宗瑞といった周囲の勢力の間でどのような位置を占めていたか"広範囲かつ多角的"、わかりやすく言えば"内と外からみた信虎を解説したものであると言える。平山氏は存じの通り勝頼を持って「武田氏滅亡」の著者であるがこの本は対となる「武田氏誕生」を描いたものとみる。甲斐と言えば信玄であるが信虎の存在は無いに等しい評価であった。(例 信玄の本なら手にするが信虎の本を手にして読む人は少ないだろう)

    ■武田家が世代に渡ってどのように変化を遂げていったのか見れば興味が湧いてくるのではなかろうか。本書の最終課題は信玄はなぜ"信虎を追放したか"また"親子の関係は?"これまで一般的に知られるように家臣の不満を持って追放の一言に片付けられ、実際に明らかにしているのか疑問であった。その疑問に対しての回答は本書で確認して頂くとして武田国内の構造の変化とともにそれらを補完する形で最新の研究成果が表れていると言えよう。

    ■ここまで本書の長所ばかり述べたので短所とも言えるものも伝えておく。当時の国衆の分布図がないのはマイナスであり各地で起こった合戦、並びに各城との詳細図等が数点ほど一部分だけ載せてあるがそれでも少ない。これはどの歴史本にも言えるが初心者目線で見る上でも相互の位置と状況を具体的に教えてあげないと理解出来ず置いていかれる。著者方々はつい上級者目線になりがちでこれらの地図は把握する上で必須であり載せるべきである。


    ■主な内容と感想
    1部 主に武田誕生前夜と題し甲斐の国内だけに留まらず関東争乱を呼ばれる永享-享徳-長享の乱の中で武田氏はどのような動きがあったか外の情勢と共に多方面から見て甲斐武田家を解説している。

    2部 信虎時代の内訌と甲斐争乱、国衆(国人)について述べている。※若干、国衆の知識が無いと置いていかれる。個人的には国衆の分布図がないのが残念である。また本拠地となる躑躅ヶ崎の館の初期に見える移転に関して城館を解説する。


    3部 信虎の文書や史料である勝山記を丹念に読み甲斐の内状と内政また家臣団編成。武田信虎の生涯だけの評論に限らず小山田氏、穴山氏、真田氏といった後に信玄の譜代家臣になる人物の世代前後の関係にも注視していかにして従属して編成されて譜代家臣となったのか構造を明らかにしている。


    4部信玄と信虎 追放と足跡。信虎追放を持って終わったとするがむしろ、追放後からの人生にも光を当てその後の信虎の形跡も少なからず史料から伺い知れる。先の講演でも述べたように滅亡に導いた武田"勝頼と信虎"誕生から武田家を受け継いだ"世代を超えた二人"の対面は果たしてあったのかにも触れて特筆すべき点であった。

    以上

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著者プロフィール

平山優(ひらやまゆう)
一九六四年、東京都生まれ。立教大学大学院文学研究科博士前期課程史学専攻(日本史)修了。専攻は日本中世史。山梨県埋蔵文化財センター文化財主事、山梨県史編さん室主査、山梨大学非常勤講師、山梨県立博物館副主幹、山梨県立中央高等学校教諭を経て、健康科学大学特任教授。二〇一六年放送のNHK大河ドラマ「真田丸」、二〇二三年放送のNHK大河ドラマ「どうする家康」の時代考証を担当。著書に、『武田氏滅亡』『戦国大名と国衆』『徳川家康と武田信玄』(いずれも角川選書)、『戦国の忍び』(角川新書)、『天正壬午の乱 増補改訂版』(戎光祥出版)、『武田三代』(PHP新書)、『新説 家康と三方原合戦』(NHK出版新書)などがある。

「2023年 『徳川家康と武田勝頼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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