3.11とアイドル アイドルと被災地、ふたつの「現場」で目撃した1096日間の「現実」 (コア新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864366007

感想・レビュー・書評

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  • 厚めの紙にたっぷりの行間と、見た目に反し量が少ない。

    東日本大震災前からアイドルブームとなる土台はあったとする前半は面白かったが、後半のあまちゃんの話はあまり心に響かなかった。あまちゃんを見てないからストーリー知らないし。

    東日本大震災によりアイドルがブームとなったわけではないという論調と、自身の被災体験と親戚が被災者だというプレ被災者の立場、あまちゃんの話とアイドルの被災地訪問と話題が散漫している。
    小島和宏さんの文章は好き。筆者の心意気を含め、読んでいて涙ぐむことが何度かあった。ただ東電や役所に対する対応は疑問。末端の人間をいじめてどうする。

  • 読了。とりとめのない文章になっている。だが逆に遅々として進まない復興の状況が、リアルに感じられる。

  • アイドルなんて、震災のような大規模な災害の前ではまったく意味がないように思えてしまうが、本当のところはその存在が予想以上に大きい。

  • 2011年3月11日から3年が経った。津波と原発事故の影響はあまりに大きく、未だに復興は進んでいない。被災地に関わる人間として、アイドルイベントに関わるライターとしてこの3年間を生きてきた小島氏の思い。

    前半部は、地震が起こった当時の不安と東京電力の原発事故への不満が語られる。
    中盤から終盤にかけて、ももいろクローバーZ、AKB48、ドラマ『あまちゃん』を通して、被災地への想いを語り、2020年開催予定のオリンピックに向けての問題定義をして締めくくる。

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    3.11直後は不謹慎という言葉が邪魔をして、アイドルだけなく多くのバンドやミュージックイベントが中止になった。電力不足という言葉が一人歩きしていたようにも思う。

    当時からずっと被災地で公演を続けるAKB48はやはり偉大な存在だ。間違いなく今の日本のトップアイドルが毎月被災地に通っているという事実を知らなかった自分が恥ずかしい。10億円を超える義援金も尊敬に値する。

    (地震とは関係ないと本書では書かれているが)地震後、大ブレイクを果たしたももいろクローバーZも、彼女たちのやり方で被災地に出向く。「頑張れ」とか「応援してます」とかそういうセリフじゃなく、友だちのような感覚で何度も被災地に出向く彼女たちの姿勢が、彼女たちの終わりなき革命なのだ。小島さんが最後の文章を2014年の3月の国立競技場で書いているのもきっと、彼女たちの革命のとりこになっているからだろう。

    NHKの朝ドラ『あまちゃん』のストーリーは2008年の岩手で始まる。主人公のアキがアイドルに憧れ、成功をつかみかけた頃に第2の故郷岩手が被災し、彼女は成功を手放して岩手に帰り、地元の復興に参加することを決意する。
    現実のアイドルが背負えない「現実」を虚構の存在である天野アキに背負わせた、と作中には書かれていた。それも地震のストレスが視聴者にかからないように、うまい構図をつくっていた、と。
    プロのライターはそういう目線でドラマを見るんだなと唸ってしまった。自分もあまちゃんを見ていたが、地震のシーンはあまりに悲しかったし、復興にお金がかかるという負の場面は少なからず描かれていたと思う。
    それでも、クヨクヨしてる場合じゃないといって海女カフェを復活させ、イベントを開催するクライマックスには大きな感動をもらった。


    アイドルを見るときに感動を求めている自分がいる。
    10代20代の若い女の子たちにエモーショナルを要求するのは間違いなのかもしれない。しかし、汗だくで負けずに輝こうとするアイドルたちの成長に、被災地の復興を重ねているのは個人的な感情として事実だ。
    現在のアイドルブームが終わったとしても、被災地の支援が続くことを願う。

    被災地、という呼び方が3年以上続いてしまったことがひどく悲しい。もっと早く元の生活に近い形に戻せないのだろうか。津波の被害に遭った地域の高台への移転も難しいと聞く。汚染水漏れを繰り返す原発と東京電力は信頼をなくしたままだ。

    心の復興にはアイドルや音楽、娯楽がある。
    物質的な復興というか、生活。以前の暮らしに少しでも戻せるような支援をもっと進めてほしい。普通の生活を必要としている方々がまだたくさんいる。

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著者プロフィール

1968年10月、茨城県生まれ。1989年、大学在学中に『週刊プロレス』の記者としてデビュー。同年に旗揚げしたFMWは旗揚げ戦から取材にあたり、翌年以降「大仁田番」として大仁田厚の引退興行まで密着取材を続ける。現在はアイドルの取材をメインに活動。ももいろクローバーZの公式記者として10冊以上の著書を出版し、HKT48の歴史を編むために東京と博多を往復する日々を送る。プロレス関連の主な著作に『ぼくの週プロ青春記』(朝日新聞出版)、『ももクロ×プロレス』『アイドル×プロレス』(ワニブックス)、『ゴールデン☆スター 飯伏幸太~最強編~』(小学館集英社プロダクション)、『誰も知らなかった猪木と武藤闘魂Vスペシャル伝説』(メディアックス)、『憧夢超女大戦 25年目の真実』(彩図社)、『W★ING流れ星伝説 星屑たちのプロレス純情青春録』(双葉社)など。

「2022年 『FMWをつくった男たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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