聖伝 (ルリユール叢書)

  • 幻戯書房
4.20
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864882057

作品紹介・あらすじ

その目はあまりにも死んだ兄の目に似ていた。あの時、逆賊のテントで、みずからの手で殺したあの兄の目に……

絶対平和主義を貫き、正しい生き方を求め、
最後には自死を選んだ伝記作家の名手ツヴァイク――
聖書、聖典を材に、時代の「証人」として
第一次大戦中から亡命時代に至る激動の時代に書き残した、
人類永遠の主題「戦争と平和」をめぐる四つの物語。
本邦初訳を含む新編新訳。

シュテファン・ツヴァイクは、自死する前に、世界が彼に何をあたえ、そして奪ったかを書きとめた。その記述は、まぎれもない絶望の冷徹さからくる容赦のない正確さをもってなされた。彼は名声の喜びと屈辱の災禍を記録する。彼は、自分がそこから追放された楽園について語る。
―ハンナ・アーレント

あなたこそは本当にわれわれの時代が必要としている、高潔なヨーロッパ精神の体現者です。このような人が現れるのをわたしは二十年来待ちわびていました。われわれロマンス語圏の国には、どうしてあなたほどのスケールの批評家がいないのでしょう!
―ロマン・ロラン

ツヴァイクの作品の多くは、無垢でありながら闇の領域に足を踏み入れてしまう人物の視点から語られている。わたしは常々、ツヴァイク自身は冒険をしないタイプの人、つまり彼が作品のなかで掘り下げて書いているのはあくまでも自分が興味をもった出来事で、彼自身の体験ではないのだと思っていた。だが事実はまったく逆のようだ。
―ウェス・アンダーソン

感想・レビュー・書評

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  • 「永遠の兄の目」が最も印象的だった。解説により、作者がその社会的・経済的な影響力にもかかわらず困難な時代において政治的な闘いをせず批判されていたことを知ると、より趣深いものがある。「罪を犯さない」ことと「正しきを行う」ことは必ずしもイコールではない、その狭間について思いを巡らされる。解説者の言うとおり、我が身に置き換えても気づきが多い体験となった。

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著者プロフィール

シュテファン・ツヴァイク(Stefan Zweig 1881–1942) 
1881年ウィーンのユダヤ系の裕福な家庭に生まれる。ウィーン大学で学びつつ、作家として活動を始める。第一次世界大戦中はロマン・ロランとともに反戦活動を展開。戦後は伝記小説等で人気を博しながら、ヨーロッパの人々の連帯を説く。ヒトラー政権の樹立後、ロンドンに亡命し、さらにアメリカ、ブラジルへと転居。1942年2月22日、妻とともに自殺。亡命下で執筆された自伝『昨日の世界』と、死の直前に完成された『チェス奇譚』(本作)が死後に刊行された。

「2021年 『過去への旅 チェス奇譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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