- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865062038
作品紹介・あらすじ
優しさに満ちたトランスジェンダーのリンコと彼女の心の美しさに惹かれすべてを受け入れる恋人のマキオ。そんなカップルの前に現れた愛を知らない孤独な少女トモ。桜の季節に出会った3人がそれぞれの幸せを見つけるまでの心温まる60日間を描いた物語。
感想・レビュー・書評
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今年100冊目の本。
育児放棄されているトモとトランスジェンダーのリンコ、その彼氏でありトモの叔父のマキオの話。
小さいときから心は女の子で体が男の子だったリンコ。その辛い体験が悲しかった。
リンコの
「お母さん、アタシね……オッパイがほしいの」
この魂の叫びのような一言が辛かった。
これに答えるお母さんのフミコ
「そうだよね。リンちゃん、女の子だもんね」
このやり取りが泣けた。
なぜ、LGBTの人達への偏見があるんだろうか?その人はその人であって、それ以上でもそれ以下でもない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おすすめされて読んでみる。
予想を裏切るような展開は無いのだけれども、現実はこうなのかなと。ちょっと以前読んだ本と内容が似ていたりもしていてこの先も知りたいと思うより前に話は終わってしまった。
映画も観てみようと思う。また少し話が違うのかな。 -
軽く読み始めたけど、想定外にいい本だった。リンコさん大好き。
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本を読んだ後にどうしても映画を観たくなり観ました。
どちらも考えさせられる良い作品でした。
児童相談所はどこを見ているのか…と
実際、あるだろうな…と思う場面があり、とても辛くなりました。
心の美しさを見た目だけで判断するような人にはなりたくないとも思いましたし、人としてどうかということを正しく見ていきたいとも思いました。 -
ひと目ひと目編み込む毎に、込められていく強い想いがありました。どんなに理不尽で持って行き場のない怒りでも、どうにもならない心と身体の叫びでも、決して誰かのせいにしてはならない。沸き上がる辛さも涙もぐっと堪え、私という人間が生まれてきた意味を、生きていく力をそのひと編みに強く込めていく。本当の自分を理解してくれる人が居たかどうかでその子の人生は大きく変わります。離れてしまったとしても、ご飯が温かかったことやお弁当が嬉しくて食べるのが勿体なかったこと、初めて抱き締めてくれた安心出来る居場所を、絶対に忘れることはないのでしょう。
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かもめ食堂にはまってから、荻上直子作品の空気感が大好きで映画もみたけどこれは何故か見てなかった。ストーリーとしては平凡な気はするけど、映像になればきっと印象も変わるだろうから映画見るのが楽しみ
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トモ、リンコ、マキオの夢みたいな日々。
ずっと続いてほしいと思った。
たくさん辛い思いをしてきたリンコとトモ。
その分いっぱいの幸せを味わってほしい。
久しぶりに小説を読んで泣いた。
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ネグレクト気味のヒロミに育てられたトモと叔父のマキオと恋人のリンコの疑似家族のお話
母親であるヒロミがお金を置いて突然家を出て、一人になったトモは叔父のマキオの元に身を寄せる
マキオの家にはトランスジェンダーのリンコが同棲していた
女性よりも女性らしいリンコの、母親から注がれたことのない種類の愛情に困惑しつつも次第に打ち解けていくトモ
原作は映画で小説は完全ノベライズ
監督は荻上直子
「かもめ食堂」「めがね」「レンタネコ」のいつものキャストはいないし、意味不明な設定はない
小説のオリジナル要素はない
映画では割とわかりやすい風景描写だったけど、それが明文化されることでより監督の伝えたかった情報がより明確になる
トモがシジミのしょうゆ漬けや切り干し大根が好きと言った理由とか
冒頭の下着の描写の意味とかね
あと、シーンごとの登場人物の心象が描かれるので、そこは映像では100%の人に伝えられない部分なのでノベライズで初めて知った事もあってよかった
全編通じて描かれてあるのは、カイが母親のナオミに問いかけた「普通って何?」なんだろうな
普通の親子、普通の性別とか
トランスジェンダーを取り扱っているのでそっちが目立つけど、母親と子供の愛情の認識のズレがそこかしこに描かれてある
愛情のかけ方の違いと受け方を知らない子供
トモとヒロミはおにぎりを始めとした様々なもの
サユリとヒロミは編み物
サユリとマキオは過干渉
ナオミとカイは普通の強制(矯正の方か?)
ナオミの行動に関しては、このお話ではネガティブに捉えられがちだけど
根本は子供の人生のためを思っての事なんだよな
と、気付けるのは今の自分だからなんだろうなぁ
昔だったらそこまでの考えに至れたかどうか……
なので、決して悪と言えるものでもないんだけどね
ヒロミが優先順位を間違えるように
ナオミも間違いをする
対称的にフミコとリンコは完全に受け入れという状態
果たしてこれが正解かというと一概にそうも言い切れないような気がする
でもまぁ、子供が救われるなら何でもいいんだ
「リンちゃん、女の子だもんね」という言葉にリンコがどれだけ救われたかを想像するとね
ってか、小説を読んで知ったけど、その認識はこのとき初めてだったのね
映画では昔からのような自然な振る舞いと受け取ったからなぁ
あと、リンコを傷つける人は誰だろうと許さない容赦しないと言い切るのはすごいなぁと思いつつ、自分の親からの愛情のかけられ方にも通じるものがあるなぁとも思う
親は自分の子供が一番かわいいと言い切っていいと思うよ
そんなフミコからリンコが受け取った愛情の象徴は偽乳の編み物
だからこそリンコがトモをどう思っているかという描写に繋げる演出はとても好き
ま、トモにとって偽乳は必要なものではないけど、愛情の象徴として受け入れるかどうかってとこなんだろうね
トランスジェンダーに関しては、ナオミと病院の病室と児童相談所あたりが偏見として表現されている
ってか、映画の江口のりこのはまり役っぷりといったらもうねw
感じ悪く描かれてあるけど、その体制によって救われる子供もいるのがわかっているから何とも言えないなぁ
映画の生田斗真の演技もうそうだけど、トランスジェンダーの人はより女性らしい仕草をするというイメージはある
リンコの同僚の佑香は口調も態度も女性らしさとは違う方向だけど女性に見えるというのは、やはりそこに壁があることを表現してるのかね?
マンガの「げんしけん」でも波戸が吉武とそんな比べ方をしてたよね
あと、トモがヒロミの服を破いて顔を埋めるとこと
リンコがトモのタオルハンカチで泣くところも対比になってるんだろうなぁ
親を求める子供と子を想う立場としての存在、そして母親の代わり以上にはなれたけど母親にはなれないということか
と小説を読んでて気づいた
このお話は映画を見たほうがいいな
私の想像力では小説を読んでもあの雰囲気はどうしても感じる事はできない
映画の追体験としてしか消費できない -
本書はトランスジェンダーのリンコ、彼氏のマキオ、マキオの姪っ子トモの3人を中心とした物語。
トモの母親のヒロミは自宅を留守にしがちで、トモはいつも置いてきぼりにされる。ある日、マキオが勤める書店に足を運ぶと、とても大切な人と住んでいるという事実を知ることになる。マキオにとっての大切な人がリンコという人物。最初は戸惑いを隠せないトモだったが、リンコの優しさに満ちた心に次第に心を開いていく。
結末についてはネタバレになるので詳しくは書けませんが、あの年頃の子どもにとって、どんなに甲斐性がない親でもやっぱり親なんですよね。リンコとマキオ、トモ、それぞれの気持ちが凄く伝わってきて切なかったです。