なのはなごうしゅっぱつしんこう

著者 :
  • ひさかたチャイルド
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本棚登録 : 132
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865490961

感想・レビュー・書評

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  •  タイトルや表紙の絵を見ると、「なのはなごう」という、バスの乗り物絵本かと思いきや、家族愛や自然に生きるものたちとの素敵な交流を描いた、読んでいて気持ちが温かくなる作品です。


     女の子「なずな」ちゃんは、遠く離れたところに住む、「ひなの」おばあちゃんの畑で獲れるキャベツを使った、手作りロールキャベツが好きで、おばあちゃんちに行きたいと思いながらも、生まれたばかりの弟の世話で忙しいお母さんの事情もあって、それが実現できずにいました。

     その翌日、おばあちゃんからたくさんのキャベツの入った荷物が届き、その中には、おばあちゃんのお友達も一緒にいるとのことで、よくよく見てみると、キャベツの葉っぱの上で動く「あおむし」くんを、なずなちゃんは見つけ、それを育てることに決めた彼女は、その成長に合わせて、おばあちゃんに自ら描いた絵と手紙を何度も送ります。


     まるやまあやこさんの、うっすらとした、柔らかい風合いの絵は、色の穏やかさもあって、心地好さと幻想的な雰囲気が混じり合いながら、桜のつぼみから満開の花びらが散るまでの美しさと儚さに乗せて、ファンタジー要素のある物語を自然な形で描いており、それは、なずなちゃんのあおむしくんに対する、健気でひたむきな様子からも窺えて、特に、おばあちゃんから返事で届いた、菜の花の押し花を嬉しそうにあおむしくんに見せている絵は、おばあちゃんへのそれと同じ、心からの喜びに体が満ち溢れているのが感じ取れるようです。

     そして尾崎美紀さんの物語は、なずなちゃんのそんな健気な様子を、まるであおむしくんがずっと見ていて知っていたような、大切に育ててくれてありがとうといった、感謝の気持ちを思わぬ形で送り届けてくれた、そんな嬉しい驚きに満ちていて、そこに込められていたモンシロチョウの思いには、決して作り物めいた、わざとらしさ感の無さを感じられたことに、人と自然に生きるものたちとが同じ世界で共に生きていくことの素晴らしさを垣間見た気持ちにさせられ、それは、バスやおばあちゃんちを祝福するように取り囲む、たくさんのモンシロチョウの姿からも感じられながら、何気に、なのはなごうのナンバープレートの数字が「なずな」になっていることに、彼女への特別な思いが潜んでいたのでした。

  • 「弟が生まれたばかりで田舎のおばあちゃんの家に行けない女の子に、荷物が届きました。人を想う気持ちを蝶に託した春の絵本。
    はる、なずなちゃんのだいすきなおばあちゃんから、はたけでとれたおおきなキャベツがとどきました。キャベツのなかにはちいさなあおむしくんがはいっていて…。やがてとびたったちょうちょがとどけてくれた、すてきなおくりものとは…?」

  • 面白かった

  • 春にぴったり。なのはなごうに乗っておばあちゃんのところへ!

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著者プロフィール

兵庫県に生まれる。『まさかのさかな』(ひさかたチャイルド)で第2回日産 童話と絵本のグランプリ受賞、『あたしのいもうとちゃん』(ひさかたチャイルド)で第8回小さな童話大賞の今江祥智賞受賞。
主な作品に、『のどぼとけさん』『なのはなごうしゅっぱつしんこう』(いずれもひさかたチャイルド)、『ちょっと源さんおかりします』(文研出版)、『あ・し・あ・と』(汐文社)などがある。

「2021年 『坂の上のパン屋さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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