- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865780314
作品紹介・あらすじ
"鶴見和子が切り拓いた熊楠研究の地平とは
アカデミックな熊楠研究のフロンティアを拓いた鶴見和子の名著『南方熊楠――地球志向の比較学』から35年余、南方熊楠をめぐる資料の発掘・整理が飛躍的に進んだ今、何が見えてきたのか? 最新資料を踏まえた研究者たちと鶴見ががっぷり四つに組み、多くの謎を残す熊楠の全体像とその思想の射程を徹底討論、熊楠から鶴見へ、そしてその後の世代へと、幸福な知的継承の現場が活き活きと記録された鶴見最晩年の座談会を初公刊。
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感想・レビュー・書評
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わたしの熊楠好きを知っているサンタがクリスマスにこの本をプレゼントしてくれました!
映画「太陽の塔」を見て気になり始め、大学の安藤礼二先生の授業で更に興味が倍増されて、「猫楠」を読了。まだ全集など手をつけてない本は山ほどあるこのタイミングで「南方熊楠の謎」を読んで更に興味にブーストがかかっています。
粘菌も動物の身体も、死を内包して、それによって全体が生きているという話が特におもしろかったです。
「また医者などによると死と生ほど分かち難きものはなしと呆れかける。ゆえに生死の境は善にして、なるものにして、けっして人体も死に、分子も死すというにあらず」
なんとも魅力的な言葉です。
鶴見さんがずっとおもしろいという言葉を繰り返していて、なぜかわたしはとても嬉しくなりました。
男性的理論構築と女性的直感の対比の話もおもしろく、わたしはデッサンを7年やったあと、心象みたいなものを描き始めて4年経つのですが、デッサンは理論構築的で、後の絵は直感的で、そこになにか性転換的なものがあったんだなぁと、振り返りの視点がひとつ増えました。
この直感のようなものをまた再び理論にして、両性具有的なところに落ち着けたらいいな〜と考えています。
熊楠が一見脈絡のないような話を続けていくなかに、なにか全体を取り込むようなあいまいな理論があるという話と、ここでまさに対話をしている人たちがそれに耳を傾けている様にも勇気づけられました。
いつか南方熊楠顕彰館にも行ってみたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示