作品紹介・あらすじ
「場所」を手がかりに解き明かす、自然と人間の共生への根本思想
和辻哲郎『風土』を継承し、地理学者ベルクが提唱した、環境と人間の不可分の関係に根差す存在論=「風土学」とは何か。「モノ」と「文化」を包含するグローバルな経済史を構想する歴史家・川勝平太が、21世紀の「共生」を問う根本思想としての「風土学」を徹底的に解き明かす。
感想・レビュー・書評
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オギュスタン・ベルク氏のコスモス国際賞の受賞(2018年に)を記念し、川勝氏と共著として刊行されたもの。
川勝氏が書き下ろした「近代『知性』の超克」は大変面白く読ませてもらった。
和辻哲郎は、ハイデガーを批判的に止揚し、「存在と空間」という概念を打ち立てたという。それまでに、インドのウパニシャド哲学の影響を受けたショーペハウアーから、カント批判の流れで、ニーチェ、ハイデガー、和辻哲郎と思想の系譜が力説されていて圧巻である。
西田幾太郎の西田哲学についても解説されているがなぜかすっと入っってこない。また、ハイデガーの「存在と時間」から仏教の思想へと話が展開されていくが、また、勉強してからもう一度読んでみたい。
著者プロフィール
オギュスタン・ベルクAugustin Berque:フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)名誉教授。1942年モロッコ生まれ。1969年に初来日し、以降、北海道大学講師、宮城大学教授などを歴任し、通算数十年日本に滞在する。和辻哲郎の著作『風土』から大きな影響を受け、自然にも主体性があるという「自然の主体性論」を提唱。2018年コスモス国際賞授賞。
「2021年 『BIOCITY ビオシティ 88号 ガイアの危機と生命圏(BIO)デザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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