アメリカ大使館 神といわれた同時通訳者 ―英日通訳者・日英通訳者のカミワザ
- さくら舎 (2020年2月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865812350
作品紹介・あらすじ
同時通訳者の一流の英語&日本語!
1969年のアポロ11号の月面着陸の中継を同時通訳し、一般の人たちに「同時通訳」というものを知らしめ、神といわれた同時通訳者・西山千(セン)。その頃著者は大阪でサラリーマンをしながら英語の講師などもしていたが、西山千に声をかけられ、アメリカ大使館で同時通訳者として共に働くことになる。当時のアメリカ大使館はまるで植民地のようで、また人を機械のように使い捨てる風習、他人を蹴落としてのぼっていく実力主義から、殺伐とした空気が漂っていた。そのなかで著者は、センから猛烈な「しごき」を受けながら、同時通訳の極意を学んでいく。しかし、少しのミスも許されない環境で、やがてセンも著者も大使館を追われていく……。
「通訳とは単に言葉を訳すのではなく、そのウラにある思いや文化も汲んで訳さなければならない」「通訳とは、シンボルの交換である」通訳名人・西山千のきらめくような言葉から、同時代に活躍した村松増美をはじめとするほかの通訳者たちの言葉も交えつつ、同時通訳の神経をすり減らすような厳しさ、そのなかにある喜びを語る。戦勝国と敗戦国の狭間で生きる、同時通訳者たちの過酷な宿命!
感想・レビュー・書評
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冒頭で読んでいて胸が痛くなったので、あとは斜め読み。
半ばは著者の同通修行の記録、半ばは師匠的存在だった人物に関する記録といった印象。
心構え的な物に関しては、英日/日英以外の通訳者にも通じる話だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アポロ11号の月面着陸の同時通訳で、神といわれた西山千。
その西山千に声をかけられ、アメリカ大使館で同時通訳者として共に働くことになる松本道弘。
松本道弘氏の本は、大学時代から読んでいますが、この本は裏話のようなことが、たくさん書かれています。
ずっと読んできた著者の、今だから書けるというような内容の本書に、驚きもしましたが、人間味も感じます。
松本道弘氏の生き方にも、少なからず影響を受けた者として、本書は、新たな著者との邂逅でした。 -
Amazonのbotさんがオススメしてくれた本。
タイトルから、おもしろそう!とわくわくして読み始めたのだが・・・・驚愕した。あまりに支離滅裂で。
こんなに驚いたの、久しぶりかも。悪い方向に、という意味で。
同時通訳という仕事は、「大変に知性の高い人だけが就くことのできる職業」という固定観念が私の中にあったので、この本の意味不明さは私にとって震撼レベルの衝撃で、地球は丸いと初めて教えられた人のようなガリレオ的ショックを受けてしまった。我に返るのにちょっと時間がかかってしまった。
同時通訳って・・・もしかして、知性の高さとは関係ない仕事なの??? と思ってしまうくらいに支離滅裂だった。
魂を抜かれるレベルで驚かされた、という希少さで★を2つ付けたが、これは本の内容を評価した★ではないことをお断りしておく。(内容については★を付けられるような次元のものではない)
この間、NHKで「読むとおかしくなる?危険な奇書、ドグラマグラ」みたいなキャッチ・コピーで、夢野久作のことを取り上げていた番組を見たが、ドグラマグラより、この本の方がはるかにあなたの頭をおかしくします。まさに危険な怪書!
もう最初から最後まで論理がめちゃくちゃで、何を言っているのかまったく意味不明。途中でタスケテー!と何度か叫びたくなった。
たとえば、この文――
『英語界の天下人になるとは何か。教育界だけでなく、ビジネス界も制することだ。サラリーマンをしつつ英語講師などをするという二刀流で、英語道を普及することは容易ではない。英語道は、1.英語力(斬れる英語)、2.情報力、3.人間力の3点セットで、いずれが欠けても「道」としてのインテグリティを失う。だから、狂気に近い。』
「英語道を普及」というのがいったい何なのか、なんで「だから狂気に近い」のかサッパリ分からない。
こういう、やたら鼻息だけが荒い、意味不明かつ具体的根拠ゼロの話が延々と続きます。
しかも、「人間力」が重要、と何度も繰り返す割に、文章からにじみ出るこの人の品格というのが、なんかもう低レベルで、セコいというかあさましいというか。自分の師匠に対する悪口を一生懸命集めて嬉々として記録している。「誰ソレがこんな風に私の師匠のことを悪く言っていた」「師匠がこんなふるまいをして、高名な誰ソレが呆れていた」等々、何年も昔の客観的とは言い難いエピソードをよくもまあ、とあきれる。
いるんだよなぁ、人の悪口を「私じゃないよ、言ったのは」と一生懸命に吹聴して回る人。
その一方で、自分が褒められたエピソード(たぶんすごく数少ない)は、ものすごくプチなものまで細かく書き記している。
しかし、「この時の私の仕事はとても評判が良かった」などと誇らしげに長々と書いてある数ページ後に、その仕事先から苦情が届いていた、などとあって、「この人、文章力に問題があるだけでなく、事実を認識する能力も極めて低いのではないか」という疑惑が頭をもたげる。
本書のタイトルにある「アメリカ大使館」に華々しく転職した後、著者はどうも1年以内か1年そこそこかでクビになったみたいなのだが(この本にとっては重要な情報にもかかわらず、文章が意味不明すぎて、どれくらいの期間そこに在籍していたのかという単純な事実すら読者にははっきりとは分からない)、そのクビになった理由も、後輩が自分を「さん」付けで呼び、師匠に「自分のことを君づけで呼んでほしい」と頼んだにもかかわらず、呼んでくれなかったせいなのか!!!などと訳の分からないことをくどくどと書きちらしている。
英語ができる、というだけで自分をエライと勘違いする人がごく稀にいると聞くけれども、この本はそういう人のヤバさを教えてくれていると思う。
とりあえず、私の周りにはそんな輩はいないので、ありがたい。
「読むとおかしくなる」危険な書を求めている人にはオススメです。