漫画 人間とは何か? 自己啓発の劇薬 マーク・トウェインの教え

制作 : 妹尾武治 
  • 文響社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784866514611

作品紹介・あらすじ

100年前、匿名で出版するしかなかった名著は、生きづらさを抱える現代人に必要な劇薬だった!!

『トムソーヤの冒険』『ハックルベリーフィンの冒険』
世界的文豪マーク・トウイエンが匿名で遺した伝説の名著がついに漫画化 

「人間は機械である」だからこそ、自由に生きられる

東京大学教授・マーク・トウェイン協会理事の石原剛が監修
九州大学准教授 妹尾武治がコラムを執筆「AIと人間は何が違うのか?」
「サバイバル・ウェディング」「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください」の大橋弘祐が企画・脚本
「嫌われる勇気」「僕は君たちに武器をくばりたい」の吉岡さんがブックデザイン

感想・レビュー・書評

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  • 『トム・ソーヤーの冒険』でお馴染みのマーク・トウェインさんの原作である『人間とは何か』を漫画化したもの。
    九州大学准教授の妹尾武治さんの寄稿文が読める。妹尾さんは『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。心理学的決定論』という書籍を書いているお方。
    本書と併せて、読むことをお薦めする。妹尾さんの書籍の内容の一部は、本書の寄稿文でも知ることができる。最初に読んだ時には衝撃を受ける人もいるかと思う。ただ、同様の内容の書籍はいくつかあるので、気になる人は学びを深めることができる。
    さて、本書では著者の卓越した人間観察眼と哲学から、人間は設計図通りに環境からの刺激で反応する機械であるという考えを知ることができる。この主張に反論したくなる人もいるだろうが、果たして著者を論破できるのだろうか?それほどにも説得力ある主張になっている。科学的にも、マーク・トウェインさんの思想を補強する実験結果が示されたりしている。
    人間は機械だとしても、どう生きていけばよいかを考え行動できるのではないか?
    というのが、本書のテーマだ。漫画は気軽に読めて、初心者にとってとっつきやすいものだ。岩波文庫の『人間とは何か』も読んでみたいと思った。

  • 「人間は機械である」

    人間は自らの心をコントロールすることはできず、全て気質と環境により受けた影響に自動作用で働いているに過ぎない。
    他人を助けることはとても美しいことであるが、それも自己満足でしかない。
    人間は自らで何かをすることのできない無力な存在である。しかし、無力を自覚した時、人間は他者にも自分にも寛容になれる。

    現代においては、先人たちの発見により様々なものがより便利に変化している。そのため、環境も目まぐるしく変化していき、自動作用で生きづらさを感じるようになっている人も多くいると感じる。
    しかし、どうしようもない絶望であってもそれは環境からくる自動作用である。死にたくなったとしても、そのことを自覚していればまた違った選択ができるかもしれない。

    自己満足であったとしても自分の人生をより良くすることを大切にしていきたい。そう思える本であった。

  • 『とりあえず人間は機械』だということが書いてある。
    様々な角度から書いてある。
    そしてそれを理解できた時、自分は少し人間になれた気がした。


    以下全てメモ。







    人間は自らの承認を求めて動く単なる機械。
    設計どおり作用する。生まれた環境、外的要因、遺伝、生息地から作られた存在で、あるのは質の違いだけ。行動や思考は集積によって生み出された自動作用。

    事実として脳波は意志よりも先んじる。意志よりも先に脳。よって後付けの錯覚。外部からの刺激→意志でなく脳。機械と同じ。

    心理学的決定論。
    人間は環境に変化するカメレオン。
    自分で自分を変えることはできない、あくまで外的要因で。ただ気質を教育で抹消することはできない。

    人間は自己満足のためだけに行動する。

    人間は自らの心もコントロールできない、独立した機関。
    人間は経験したイメージを勝手に結合する機械、それがひらめきであり、発見である。よって人間が発明したものなどない。

    いまAIにできず、人間にできることとは?
    意識とは結局のところ情報の統合、生命の本質は情報。
    本能とは、昔は考えて行動してたことが遺伝的に受け継がれ習慣化し考えなくても体が動くもの。いわゆる石化した思考。

    動物や蟻も観察や推理もできる。人間は彼らより少し複雑な機械というだけ。

    金も宝石も悪評も地位も名声も、誰かが価値があると思っているから価値がある。誰も見向きもしなくなったら一文の価値もなくなる。

    人間は「わたし」が全てを支配している王のような存在だと思っている。しかし知性と感情は独立して動くし、心が悲しければ勝手に涙を流す。「わたし」とは至極あいまい。これを自動作用という。教育や環境から「知的プログラム」「道徳的プログラム」を設計している。「わたし」はその集合体。

    機械とは「設計どおり作用するもの」つまり人間は機械。
    良心は自己満足。反対に苦しむことも全て自分が悪いと背負い込むことも人間の驕り。

    そして無力だと感じれば他者に自分にも寛容になれる。
    気質。

    人類は数多の人間の影響や偶然の発見を機械的に取り込み自動で繋ぎ合わせ、この世界を創り上げてきた。
    心理学的決定論は弱者の救い。
    成功者も犯罪者も自由意志でなく、環境からの刺激を受け起こした行動の帰結の享受者でしかない。

  • 漫画だから読みやすかった。

    人間は機械であるという主張、その理由は
    ・満足したいという機械的な心だけで人間は動いている。家族の愛や社会的称賛や自己犠牲をする人も結局はそのひとが何を優先してるかが違うだけで自己満足の奴隷である。
    ・人間の心は自分でコントロールできていると思いがちだが、実は経験したイメージを勝手に結合するだけの機械である。
    ・「私」とは私が全てを支配してると思いがちだが、実際は教育気質や環境の外的要因からプログラムを設計する内なる主人の満足を満たす自動作用である。

    良心を持ってやったことも自動作用だが、逆に、苦しみや悲しみ、他人と比べたりプライドなども全ては自己満足であり設計通りに作用しているだけだと思えば他人にも自分にも寛容になれると言って最後を締めているのは救いがあるなと思った。

    つい先日読んだ種の起源と同じような主張をしてるることも興味深かった。種の起源では人間は遺伝子の奴隷、この本では自己満足の奴隷。

    時折で良いので、この考え方の引き出しを開けて世界を眺めてみることでより広い視点でモノを考えるできるのではないかと感じた。

  • 漫画だけでなく、所々挟まれている妹尾教授の解説もよかった。

    人間は意思決定に基づき、選択をしていると思いがちだが、実は身体が先で意識が後付けで動いているらしい。
    また、”自由意志”という考え自体が、ある種、作られた概念という話も面白かった。曰く、洋の東西を問わず、宗教は善いことをすれば天国に/悪いことをすれば地獄に行くと教えているが、それは社会秩序を保つ上で都合が良かったから。そして、その教えが成り立つには「人々は自由意志に基づき行動しており、行動の責任は行動した人にある」という前提が必要となる。そうして、ある種自由意志という概念が作られた。ただ、科学によって宗教の教えが弱められたように、自由意志も、その信憑性を科学が切り崩しつつあるという話だった。
    確かに、生まれた環境や遺伝によって人々は制約を受けており、ある状態に置かれている人の責任をその人の行動に全て帰することはできないという論調は高まっている。それが昨今の、ダイバーシティの流れにも繋がっている気がした。

  • 人間は機械だ
    生まれ持った気質と環境などの外的な要因によって行動が左右される
    そしてすべての行動は自己満足

  • 「生きるとは何か」と考え、訳がわからない状況になっている私にとって、過去も未来も色々な要因で決まっている、人間は機械であるという考えは案外腑に落ちた。

  • 「トムソーヤの冒険」「ハックルベリーフィンの冒険」等、一度は聞いたことがある様な少年向けの冒険譚の著者、マーク・トウェイン。
    その彼が「匿名」で残したとされる「人間とは何か?」が漫画化された本です。

    『人間とは機械である。』

    ある青年は人間には自由意志が存在すると主張し、ある老人は人間は機械であると主張する。それらの問答を通して、人間とは何なのかを考えていく物語です。
    人間が持つ意志やそれに基づいた行動とは、それまでの環境や経験から蓄積されたものから導き出された自動的な行動であり、自己欲求を満たす為だけに弾き出された主衝動である、と本著では語られている。
    それはつまり、人間は全て考えてから行動する生き物ではなく、過去の蓄積したデータを基に最適解を自動的に導き出す、機械だと述べている。

    内容の哲学感の強さにも驚きだが、原作が書かれたのは今から100年以上前ということも驚きだった。
    そして、本著は『人間とはどうあるべきか』を、AI化していく未来の人間に当てたメッセージの様に感じた。

  • 足元がぐらつくような、人間観でした。

    人間は機械であり、生まれ持った気質と外部環境の訓練で、自己満足を目指して自動的に作動している。

    だから絶望かというとそうでもなく、自分のためでもそれで他人が喜ぶならそれでいいじゃないか。

    自動的なアウトプットなのだから、うまく世の中に適応できない人もその人が悪いわけではない。成功者もたまたま運が良かった上に本人の努力が乗っかっただけ。

    『実力も運のうち』と通じる感じがしました。

  • 人間とはと新たな見方を教えてくれる本でした。
    環境が人間を創る。
    だから、良いものに触れて、良い人間関係の中に見を置く。のが大切だなと改めて思った。
    もっと良いものに触れていこうと思えた本でした。

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著者プロフィール

Mark Twain 1835年-1910年.
邦訳された自伝に、
時系列順に並べられている
『マーク・トウェイン自伝 〈上・下〉 ちくま文庫 』
(マーク トウェイン 著、勝浦吉雄 訳、筑摩書房、1989年)
や、トウェインの意図どおり、執筆順に配置され、
自伝のために書かれた全ての原稿が収録されている
『マーク・トウェイン 完全なる自伝 Volume 1〜3 』
(マーク トウェイン 著、
カリフォルニア大学マークトウェインプロジェクト 編、
和栗了・山本祐子 訳、[Vo.2]渡邊眞理子 訳、
[Vo.1]市川博彬、永原誠、浜本隆三 訳、
柏書房、2013年、2015年、2018年)などがある。



「2020年 『〈連載版〉マーク・トウェイン自伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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