親友王子と腰巾着~推しの王子に求婚されて困ってます~ (2) (POLARIS COMICS)
- フレックスコミックス(株) (2021年11月15日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784866751740
作品紹介・あらすじ
ヴィーから男の姿に戻る解呪の指輪を渡されたレノア。
結婚する気マンマンになっていたのに「お前の幸せのためだ」と、レノアを頑なに男に戻そうとするヴィーに反発心が芽生えてきて、「決めた…告白しよう!」 レノアは初めて主人の命令に反し、親友への告白を決意する――!?
(元)男の従者と俺サマ王子の溺愛ラブ・ストーリー、すれ違いの果てに二人が出した答えは…!?
感想・レビュー・書評
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王道――、ウエディング・アイルは曲がりくねったからこそいとおしい。
おおまかなところは一巻のレビューで語らせていただきました。
そういえば漫画と連動しての企画でYoutube上でボイスコミックが公開されていたりもしましたね。
補足しておくと、主役ふたりを演じられた声優さんは両名ともに男性でした。
ヴィンセント役の「梅原裕一郎」氏の演技にドキドキさせていただけたのもそうです。
が、それ以上にレノア役の「榊原優希」氏が特に違和感なく性転換前後、男女を演じ分けられていることに驚きを隠せなかったりもしたのですが、それはさておき。
完結となるここ二巻は、おそらく万人が思い描く、あるべきところに落ち着いたハッピーエンドといってしまえばそれまでです。奇をてらっていないので、経緯を含め驚きという意味では薄かったかなと。
実際、過程を抜きにして急ぎ足で行けば一巻でまとめることは可能といえば可能だったと思います。
ただし、多少の足踏みを挟みましたが、なんの違和感もないまま葛藤を経ることもなくエンディングに辿り着いても物足りない。イマイチしっくりこないと思ったことも確かでした。
結果として、通しで読む分に多少間延び感は出ようとこの上なく必要だった全二巻だと思います。
物語の基本は葛藤、対立するふたつの要素の相克あってこそとも言えますが、この場合は――。
(同性だった)親友を慮っての「男に戻れ」という王子「ヴィンセント」の君命。
対するは個人的なわがままだと知っているけれど「戻りたくない」と願うヒロイン「レノア」の抗命。
です。
ただし身分の差や庇われた弱みなど、ふたりを隔てる壁は複合的であるものの、結局のところ心理的な壁に過ぎず問いかけとしてはシンプルです。「当人同士の意志はどうだろう?」という一点に尽きます。
読者視点だと本当にまるっきり透けてるんですが、どうしてすれ違うのかは実際に読んでいただければ。
もっとも、簡単な問いかけですけど、いざ口に出してしまって何かが壊れる、否定されるのが怖いというのは普遍の心理だと思ったりもしましたけどね。
完璧な王子も、卑屈気味な忠僕も同じと思えばなんだか親近感が生まれるようです。
ただ、なんにせよ。男が女に変わってしまう呪いを周囲がポジティブに受け止め盛り上がっていたからこそ、いったんブレーキをかけて当事者同士で胸襟を開いて話し合う過程は絶対に必要だったと思います。
障害を祝福だと捉え直して応援してもらえるのは普通ならありがたいことですが、周囲に流されるばかりだと確実に後悔していたと感じますから。幸運を掴むのは当事者の手でなければ。
同性の親友から異性の恋人へ関係を新たにしたからこそ、気持ちに蓋をして温め直す過程は確かにいる。
言うならば、結論はわかっているのだとして過程を楽しむ漫画でもあったのだと思います。
もっといえば、「王道のハッピーエンドはこうだ!」――、というジャンルとしては先行例が積み重なったからこそ取れた作劇だったのかもしれません。終わり方に安心が保証されているのも悪くないですね。
といったわけで、レビューとしては以上です。
それと作中でも示唆されていますが、親友として培ってきたお互いの信頼の上にまた新たな男女としての絆が主役二人の間に加わると解釈すれば、本当に様々な客層を狙った作品なのだと思いました。
過程に比重を傾けたためかまた違った読書体験を味わえ、既視感があまり生まれなかったのも嬉しい。
また、私としても今後の活躍を大いに待望している「流星ハニー」先生が作品を完結まで持って行っていただけたことに謝意を表したいところです。よって次なる企画も待ち望んでおります。
と、この旨をもって結びの挨拶に代えさせていただきますね。ありがとうございました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原作は未読ですが1、2巻とも最後までとても楽しめました!某映像コンテンツでのマンガ動画も相まって非常に満足度が高いです!ぜひマンガと共に観ていただきたいです!