戦争論

  • えにし書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784867221044

作品紹介・あらすじ

歴史学、国際関係史の碩学が2018年BBCのラジオ講義「リース・レクチャー」をもとに書き下ろした2020年「ニューヨーク・タイムズベストブック10」入選の人文書、はやくも邦訳!
戦争を真正面からとらえ、世界中を古今東西、縦横無尽に駆け回り約400のテーマを簡潔、丁寧に論じた戦争全般についての基本図書。
「読みやすく説得力がある。マーガレット・マクミランの新たな傑作である」(ハーバード大学教授(ジョーゼフ・S・ナイ・ジュニア)
「重要な本であり戦争が社会のあらゆる面に入り込んでくる印象的な様を気づかせてくれる。読んで学ぶことが多い。」ジョージ・シュルツ(元米国国務長官)



〈目次〉

第1章 人間と社会と戦争
第2章 戦争の理由
第3章 方法と手段
第4章 近代の戦争
第5章 戦士をつくる
第6章 戦闘
第7章 一般市民
第8章 制御不能なもの(戦争)を制御するために
第9章 想像と記憶のなかの戦争
結び

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと腹が立つほど校正がひどい。
    読みはじめは誤字・脱字が多いかなと呑気に受け流していたんだけど、最後の最後までこのオンパレードで、中には意味がまったく真逆になっている部分もあったりして、ほとんど乱丁本レベル。
    大著であったり複数の訳者がいるならいざしらず、厚みも薄く一般向けに書かれた本でこれはないわ。
    訳者というより、出版社の問題。
    事前に読み直してみたのか聞いてみたくなるくらいの怠慢さを感じる。
    中身はほんと良書で、多くの読者が手を取るべきいい本なので、今後、出版社を替えて文庫化されないかと切に願ってしまう。

    BBCのラジオ講義用のもののようだが、何の予備知識もなく読むとよくわからないと思う。
    こういうこともある、ああいうこともあるといった風にただ羅列しているだけのように感じられて、結局なんだかよくわからない、と。
    ただ自分には戦争というものの本質を、実際に起こった出来事からだけでなく、手記や小説、絵画や映画などからも多面的に描き出していて、簡単に一言で表現できないほどの複雑な感慨を抱いた。

    戦争は、不正常に陥ったからでも、平和が破綻したから起こるのでもない。
    例外的な状態というより、どれほど戦争が社会に深く織り込まれているかを思い知らないかぎり、本質はなかなか見えてこない。
    決してわかりやすい事象ではないのだ。

    戦う理由は何だとか、「戦争を求めるのは平和を望むからだ」とか、戦争と技術開発の関係、「戦争が国民をつくり、果ては平等をもたらしたのだ」とか、ほんと多面的な部分に光を当てている。

    いかにたやすく我々が戦争に適応していくかや、なぜこれほど戦いに惹きつけられるのか、もっと言えば「なぜ戦争は興奮するのか」まで、包み隠さずすべてを明らかにする。
    人間性の最も高貴なものと最も卑劣なものが同時にもたらされる。

    「戦争は礼儀正しくやってくるわけではないし、巻き込まれたいのかどうか、一般市民に選択を与えるわけではない」

    「戦うことを拒否すれば戦争は終わる」

    「1939年、ポーランド人はナチ・ドイツとソ連の両方を相手に戦った。戦わなければ、もっとひどいことになると思ったからだ。占領したポーランドに対するドイツとソ連の扱い方を考えると、ポーランド人が間違った選択をしたとは言いがたい」。

    いまのウクライナとロシアをつい連想せずにはいられなかった。

    私たちが、戦争について真実にたどり着くことは決してできないのかもしれない。

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著者プロフィール

オックスフォード大学国際関係史エメリタス・プロフェサー、トロント大学教授。
オックスフォード大学で博士号取得。1975年ライアソン大学歴史学部、2002年トロント大学トリニティーカレッジ学長。2007年〜2017年オックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジ学長。
著書に2001年、Paris 1919 : Six Months that Changed the World (イギリスではPeacemakers、邦訳『ピースメイカーズ―1919年パリ講和会議の群像』(上・下)稲村美貴子訳、芙蓉書房、2007年)でサミュエル・ジョンソン賞、ダフ・クーパー賞、PENヘッセル・ティルトマン賞など受賞。また、2013年のThe War that Ended Peace (2014)(邦訳『第一次世界大戦―平和に終止符を打った戦争』滝田賢治監修、真壁広道訳、えにし書房)ではショーネンシー・コーエン賞、パディー・パワー・ポリティカル・ブック賞、インターナショナル・ブック・オブ・ザ・イヤーなどを受賞。他にWomen of the Raj (1988, 2007); Nixon in China: Six Days that Changed the World (イギリスではSeize the Hour: When Nixon Met Mao)、The Uses and Abuses of History (2008)(邦訳『誘惑する歴史』真壁広道訳、えにし書房、2014年); Extraordinary Canadians: Stephen Leacock (2009)、History’s People (2015)(邦訳『ヒストリーズ・ピープル』真壁広道訳、えにし書房、2018年)がある。
現在ロイヤル・ソサエティー・オブ・リテラチャー・フェロー、トロント大学トリニティーカレッジ名誉フェロー、オックスフォード大学レディー・マーガレット・ホール、セント・ヒルダ・カレッジ、セント・アントニーズ・カレッジ名誉フェローなどを務める。2015年にはカナダでコンパニオン・オブ・ジ・オーダー・オブ・カナダ、2018年にはイギリスでポリティカル・スタディーズ・アソシエーション賞など、数々の賞を受賞している。

「2021年 『戦争論 私たちにとって戦いとは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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