- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784871541770
作品紹介・あらすじ
失われた世代、就職氷河期世代、貧乏くじ世代、非正規第一世代、自己責任呪縛世代、「戦争論」世代、
そして、一億総中流が崩れた社会を走るトップランナー世代…。
作家、研究者、運動家、いま注目のロスジェネ5人の論客が、
ロスジェネのすべてを語り合った、あまりにも刺激的な対話の記録。
「今から10年以上前、私たちは「ロスジェネ」と名付けられた。
現在の30代なかばから40代なかばを指す。
失われた世代。就職氷河期の影響をもろに食らった世代。貧乏くじ世代。非正規第一世代。呼び方はいろいろあるが、
どれも嬉しくないものばかりだ。(中略)
そうして周りを見渡せば、いまだ正社員の職がなく、結婚もせず子どももいないという同世代が山ほどいる。
一軒家を建てるどころか、ずーっと六畳一間の安アパート住まいという者もいれば、ネットカフェ暮らしの者もいる。
低賃金ゆえ実家から出られず親と同居するものの、「このままでは数年以内に介護離職かも」と怯える者もいる。(中略)
そんなロスジェネだが、「失われた20年」の中、厳しさを増す雇用環境の中を生きてきた私たちは、
一億総中流が崩れた社会を走るトップランナーとも言える。
ロスジェネと「今」について、存分に語った」
(本書「まえがき」より)
感想・レビュー・書評
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ここ3年ほど、就職氷河期や非正規のことでメディアから取材を受けることが増えた。取材といっても、特に個人の意見が表に出るものではない。特集や記事の基礎資料となるもので、匿名である。
度々インタビューを受けるので、資料のひとつとして読んだ。
宝塚市役所の就職氷河期枠雇用の話に始まり、遡って「就職氷河期世代」と呼ばれる人々が味わってきた辛苦とはいったい何なのか、複数の人との対談形式で綴られている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もともと書かれる文章に共感できるものが多かった、貴戸理恵さんとの対談が一番よかった。
正規と非正規の差は本当に大きい。 -
対談集の面白味は
その「人」の「人となり」が
どれほど表出しているのか
どれほど広がっているのか
がポイントになる
雨宮処凛さんの人選も
楽しい
それぞれの対談前の「はじめに」に
書かれた対談相手の四人の紹介も
また 楽しい
個人的には
松本哉さんの 八面六臂の
エピソード満載の章が
たまらなく 楽しい
この四人の、いや五人の方たちが
その人らしく
発言したり
行動したり
話題になったり
そんな日本であって欲しい -
初期「ロスジェネ」に属する一人として読みました。なにか忘れ去りたいと思っていた過去の記憶がいろいろとよみがえって来る本でした。本書では、ロスジェネの心の空白を埋めるサブカルチャーが歴史修正主義の隆盛につながったという主張や、ロスジェネ女性の境遇、またロスジェネに降りかかる「自己責任論」が日本のイエ、ムラ社会からの古い伝統であるという主張(ただしこれは江戸時代の日本全土の傾向であったかというとそれは疑問です)、そして資本主義の落とし穴にハマらず生きる生き方が提示されていました。
本書を読んで、また自分の人生を振り返って感じたのは、ロスジェネは昭和時代の価値観(=物質主義)からすれば間違いなく「ロスト(負けた)」世代ではありますが、平成、そして令和を通じてマジョリティになるであろう、新たな人生価値観(=脱物質主義)からすればフロンティア世代だということです。
エーリッヒ・フロムは、著書『生きるということ』のなかで、「持つ様式」の人生は不幸を生むだけだから、「ある様式」の人生を送りなさいと強く戒めています。「持つ様式」とはまさにロスジェネを「ロスト(負けた)」とみている人の価値観であり、自宅、配偶者、自家用車、お金、地位を「持つ」ことに価値を見出す考え方です。それに対して、本書の最後に対談されている松本氏の生き方は、一般的とはとても言えませんが「ある様式」の人生でしょう。私は個人的に、いまロスジェネと呼ばれている世代は、何十年後かわかりませんが、未来の社会学者たちに、フロンティア世代として再評価される時代がくるのではないかと思っています。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/775203 -
自分とは世代が違うのだけど、とても参考になる対談。
人によってぜんぜん違う。 -
●歴史の研究を深めたいと言うよりも、信奉するイデオロギーが先にあって、それに都合の良いパーツで組み上げる歴史というのが、歴史修正主義者のやっていることだと分析できる。
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