湯川秀樹 量子力学序説

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  • 大阪大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872597332

作品紹介・あらすじ

本書は湯川秀樹『量子力学序説』改訂増補版、新装版を底本として現代表記に改め、出来る限り原著を忠実に再現しながらも湯川の加筆訂正も参考に適宜修正を加え、新たに組み直した新版である。底本は絶版となって久しく、現役の量子物理の研究者ですら見たことのない教科書であるが、その内容は現代の読者にとっても相応しいものとなっている。量子力学の概念を把握しておきたい学生におすすめする。
初版は量子力学の黎明期に若き湯川が京都帝国大学と大阪帝国大学で教鞭をとった際の経験をもとに執筆された。京都帝国大学で湯川はこの教科書にチョークでしるしをつけ、書き込みながら授業を行っていた。本書の構成は湯川が独自に考え出したものであり、改訂増補版から第8章が追加された。量子力学が出来上がってきた時代に、誰がどのように考えて新しい理論作りに挑戦していったかが、手に取るように分かるのも興味深い。
湯川は序文に、

「量子力学は今日、物理学のみならず化学においても、もっとも基礎的な地位を占める理論体系である。さらにそれは工学の諸分科や、生物学・生理学・心理学ないしは哲学にまでも重大な影響を及ぼしつつある。本書はこれらの点に鑑み、一方では物理学を専攻しようする学生に対する量子力学の入門書であるとともに、他方ではこの方面の問題に関心を有するもつ広い範囲の人達にも読んで頂くつもりで、この理論の本筋だけを平易に述べたものである」

と記している。湯川の執筆から長い年月が過ぎても、生命には解明されない謎が多数残されている。そしてその解明には量子力学の導入が力になるに違いない時代となった。AIが全ての分野で全盛期を迎えている今、確率統計的な考えを把握するためにも、量子力学を基礎から丁寧に執筆している本書を読み込むことは、時代を超えて現代に学ぶ学生の確かな知と力となるだろう。付録は比較的多く、量子力学を学ぶにあたって予備知識として必要な、古典物理学および古典量子論の概要も収録されている。

感想・レビュー・書評

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著者プロフィール

理学博士。専門は理論物理学。京都大学名誉教授、大阪大学名誉教授。
1907年に地質学者小川琢治の三男として東京生まれ、その後、1歳で転居した京都市で育つ。23年に京都の第三高等学校理科甲類(16歳)、26年に京都帝国大学理学部物理学科に入学する。33年からは大阪帝国大学講師を兼任し、1934年に大阪帝国大学理学部専任講師となる(27歳)。同年に「素粒子の相互作用についてⅠ」(中間子論)を発表。日本数学物理学会の欧文誌に投稿し掲載されている。36年に同助教授となり39年までの教育と研究のなかで38年に「素粒子の相互作用についてⅠ」を主論文として大阪帝国大学より理学博士の学位を取得する(31歳)。1939年から京都帝国大学理学部教授となり、43年に文化勲章を受章。49年からコロンビア大学客員教授となりニューヨークに移る(42歳)。同1949年に、34年発表の業績「中間子論」により、日本人初のノーベル物理学賞を受賞。1953年京都大学基礎物理学研究所が設立され、所長となる(46歳)。1981年(74歳)没。『旅人―ある物理学者の回想』、『創造への飛躍』『物理講義』など著書多数。

「2021年 『湯川秀樹 量子力学序説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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