野々さんの感想
2012年3月13日
暗い、重い、しんどい、と心理面にクリティカルヒット系。 『振り向かない相手を無条件に想い続ける』 という、攻の健気でせつなすぎる行動が見ててつらいです。 この教師である受の泉野が大嫌いなんですよね…。 自分はノンケなのに、攻めである吉川の一途な想いに甘えきって、 それを自分の寂しさを埋めるために利用し続けるんです。 ただ、本当は吉川の事が好きなのに、自己保身や体裁を考えて、他の 人と付き合ったり結婚したりするっていうのが、分かりすぎるだけに 泉野を嫌いきれないというか…最後の選択が、もの凄く好きだったりする。 弱りに弱り切った泉野が、ようやく見栄や体裁や全てを投げ捨てて、 本当に身一つで新幹線に乗って、吉川に会いに行く。 それも、姿を見ることが出来ただけで、もう十分だと引き返すわけですが、 足を引きずりながら、雪の中で家路につくこのシーンで、なぜかぼろりと。 読後感はすっきりはしないけれど、一筋の光が差し込んだ感じで救いが あります。
Sさんの感想
2011年8月11日
攻めいい男過ぎる包容力ありすぎる……後半に行くにつれ受けのだめさ加減がパワーアップして行くんですが、そのだめさ加減がリアルでいい。なんでこの人はこんなにひねくれた駄目男の描写が上手いのだろう。 苛々する人は凄く苛々するだろうけど、攻めがとても魅力的だからそこの部分だけでも私はまた読みたい。
yayayaさんの感想
2007年7月9日
年上の受けキャラは不幸度が高いし、攻めキャラ君は非常にいい人でけなげです。
高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。 「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」