モエかん リニア編 (ハート・ノベルズ)

著者 : 館山緑 ケロQ

• 宙出版 (2003年10月1日発売)

感想・レビュー・書評

[キじばと。。さんの感想 · 2014年9月23日]

ケロＱ原作の美少女ゲームのノベライズ版です。

南の海に浮かぶ無政府資本国家「萌えっ娘カンパニー」に、旧式でドジっ娘のアンドロイドのリニアが、メイドの研修を受けるために届けられます。過去の記憶をなくしたリニアですが、彼女は時折、夢の中で時を刻む時計の音を聞く体験をします。

一方、リニアの主人となった萌えっ娘島の訓練所所長・神崎貴広（かんざき・たかひろ）は、表面上はリニアに厳しい態度をとりながらも、彼女を優しく見守ります。そんな貴広や、秘書の霧島香織（きりしま・かおり）、食堂のおばちゃん、整備班のおやじさんとの交流を通じて、一生懸命メイドとしての仕事をこなそうと努力するリニアですが、そんな彼女の体はあちこちにガタが来ており、しだいに調子が悪くなっていきます。

やがて彼女は、自分の記憶がかつて貴広と愛し合った庵原千歳（いはら・ちとせ）という女性の心を受け継いでいることを知ります。しかし、そんな彼女と同じ心を持って生まれた庵原隷（いはら・れい）は、貴広に追いつけなかった自分自身を許すことができず、貴広に全力でぶつかっていくことを選びます。隷によって貴広との再会を果たすことのできたリニアは、そんな隷の心を知るがゆえに、貴広と隷との戦いを止めようとします。

ゲームの方はプレイしていないので、今ひとつ過去に関する設定がつかめないところもあったのですが、それでも楽しんで読むことができました。リニアの健気な姿に心を打たれます。