Lean UX 第3版 ―アジャイルなチームによるプロダクト開発 (THE LEAN SERIES)

制作 : エリック・リース 
  • オライリージャパン
4.07
  • (5)
  • (6)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 147
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784873119984

作品紹介・あらすじ

リーン・スタートアップの思想やコンセプトをUXデザインに応用する手法「Lean UX」について解説!
Lean UXのプロセス、MVPやプロトタイプを使った仮説の検証、さらにユーザーからのフィードバックを効率的に得る方法などLean UXの全体を解説します。旧版から5年経ち、その間のUXの最新情報をアップデートしました。プラクティスを「実践と継続」するための方法や考え方を解説し、さらにプロダクト開発にまつわる課題解決を紹介します。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  プロダクトマネジメントやソフトウェア開発に携わっていない自分が読んでも興味深く読めた良本だったと思います。

     本書は会社にて主にプロダクトマネジメントにかかわる技術者が集まる「輪読会」に参加した際の教材として選ばれた本で、自分の担当範囲では発表も行いましたが、約2か月半で読み切った本でした。輪読会では、だいたい2-30ページを一つの区切りとして担当し、前半30分で概要共有、後半30分でディスカッションを行っています。私は顧客課題へ解決策を提案するソリューション営業の立場なのですが、越境してこういう輪読会にも参加し、知の探索を行っています。

     さて、本書ですが、プロダクトマネジメントに関わられている方や、アジャイル開発にかかわられている方、UXデザインにかかわられている方、実に幅広い読者に対して学びを与えることができる素晴らしい書籍だと思いました。二度読みして、一度目に気になってラインを引いた部分が二度目には浮き出てくる、本書後半でラインを引いていたことが二度読みすると、もうすでに前半部分に触れられていたりする、多くを学ぶことができる書籍でした。

     VUCAと呼ばれる不確実な時代に、「顧客の行動の変化」を「成果(アウトカム)」として導くためには、実験と検証、イテレーション(繰り返し)でしかない、というキーメッセージを力強く発信されています。 「顧客とともに検証する」「ヒーローは不要」「スピードが第一、美しさはその次」など、たくさんのわかりやすいキーフレーズを与えてくれ、さらにLeanUXキャンバスという具体的なプロセス・メソドロジーも提示し、LeanUXという概念を非常にわかりやすくまとめてくださっています。

     せっかくなので、第2章「Lean UXの原則」からの抜粋とりまとめを紹介したいと思います。

    =============
    ■Lean UXの基盤 
     Lean UXは、多くの重要な概念を基盤にしています。(中略)

     Lean UXの1つ目の基盤はユーザーエクスペリエンス・デザインです。Lean UXの本質は、ユーザーエクスペリエンス・デザインを実践する方法です。(中略)

     Lean UXの2つ目の基盤はアジャイルソフトウェア開発です。(中略)アジャイルのコアバリューがLean UXと完全に調和しているのは間違いありません。
     1.プロセスやツールよりも個人との対話を
     2.包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを
     3.契約交渉よりも顧客との協調を
     4.計画に従うことよりも、変化への対応を

     Lean UXの3つ目の基盤は、エリック・リースが確立したリーン・スタートアップです。リーン・スタートアップとは、「構築(Build)-計測(Measure)-学習(Learn)」のフィードバックループを用いてプロジェクトのリスクを最小化し、開発と学習を迅速化するサイクルのことを指します。チームはできるだけ早く学習プロセスを回すために、「MVP(実用最小限のプロダクトやサービス)」を短期間で開発し、リリースします。
     (中略)
    「リーン・スタートアップのプロセスは、ユーザーとの接触頻度を増やすことで無駄を削減する。これにより、マーケットにおいて速やかに仮説を検証し、間違っていた場合はそれをすぐに回避できるようになる」 Lean UXは、この思想をプロダクトデザインに適用します。


    ■Lean UXの定義とは?
    ・Lean UXとは、コラボレーティブ、部門横断的、ユーザー中心の方法によって、プロダクトの本質を素早く明らかにするためのデザインアプローチである。
    ・Lean UXの手法は、ユーザー、ユーザーのニーズ、ソリューション案、成功の定義についてのチームの共通理解を構築する。
    ・Lean UXは、チームの意思決定に求められる根拠を築き、プロダクトやサービス、価値の提供を絶えず向上させるために、継続的な学習を優先させる。
    =============

  • 第2版と第3版は、指し示す方向(Lean UX)こそ同じではあるが、中身は大幅にアップデートされている。その変化を感じさせる主要なものは、かなりのページを割いて解説されるLean UXキャンバスだ。
    第2版を読んだときには、なぜLean UXなのかについては詳しく解説される一方でHowの記述は淡白であるという印象があった。だが、3版はLean UXキャンバスの解説が象徴するように、Howについても丁寧に触れられている。(だからなのか、2版より判型が大きく、厚い)
    個人的に響いたのはアジャイル開発との融合、組織での実践。甘い言葉はそこにはないが、OKRも援用しながらいかにそこと向き合っていくか、という点には実際に試したくなる魅力がある。

  • Lean UX、是非導入してみたい。
    成果物主義から脱却していくのはすごく難しいとも思うが、色々試行錯誤しながら頑張ってみる。



    ====

    ▼基本原則

    ・Getting Out Of The Building!
    ・go and see!

    ・Lean UXとは、「成果物主体のビジネスからの脱却」
    - 納品物から成果(アウトプットからアウトカム)へと仕事のあり方をとらえ直す。
    - 成果の定義:人間の行動変化による価値創造。


    ▼プロセス

    ・Lean UXキャンバス(Ver.2)
    1 ビジネスプロブレム
    2 ビジネスの成果
    3 ユーザー
    4 ユーザーが得られる成果とメリット
    5 ソリューション
    6 仮説
    7 最初に学習する必要がある、もっとも重要なものとは何か?
    8 次に重要なことを学習するために必要な最小限の労力は何か?
    ┌─┬─┬─┐
    │1 │ │2 │
    ├─┤5 ├─┤
    │3 │ │4 │
    ├─┼─┼─┤
    │6 │7 │8 │
    └─┴─┴─┘


    ▼コラボレーション

    ・「ユーザーエクスペリエンス」とは何か?
    →「ユーザー」と「プロダクトやサービス」の相互作業の総和。

    ・チームメンバー間の主なコミュニケーション手段として、対話を推奨。

    ・「構築すべきもの」ではなく、「解決すべき課題」として再構成する。
    - 「何が作れるか?」と考えていはいけない。
    - 「どうすれば課題を解決できるか?」について考える。

    ・Lean UXにおけるユーザーリサーチは、「継続的」かつ「コラボレーティブ」に行う。

    ・「完了」の再定義。
    - ソフトウェアが「意図した通りに動作する」ことを保証するだけでは不十分。
    - そのソフトウェアが価値を創造しているかどうかも知る必要がある。「リリースした機能を、ユーザーは見つけることができたか? 試したか? 使うことでメリットを得たか? 再び使ったか? 対価として支払いをしたか?」
     =私たちは、その機能が成果を生み出したかどうかを知る必要がある。

    ・デュアルトラックアジャイル
    デュアルトラックアジャイルとは、プロダクトディスカバリとデリバリーを1つのプロセスに統合するモデル。


    ▼Lean UXを自分の組織で実践する

    ・Lean UXでは、部門横断的なコラボレーションが欠かせない。
    - プロダクトマネージャー、エンジニア、QAエンジニア、デザイナー、マーケティング担当者が連携することで、チーム内に共通理解が生まれる。
    - 全員が同じレベルでコラボレーションをすることも重要。ある部門が他の部門に指示するのではなく、全員が共通の目的に向けて取り組む。

  • 請求記号 007.63/G 71

全4件中 1 - 4件を表示

Jeff Gothelfの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
エリック・リース
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×